1876to1945さんのツイート(2013年10月01日~)を順に紹介します。30回目の紹介
【フクシマ見聞録】
男性は電話で自分に言った。
「保険会社は癌の状況について知ってるんですよ」
Akira Tsuboi@1876to1945さん 2013年11月05日のツイートから
福島行-自分たちがそんな話をしていると、
後ろの席に勤め人の集団がスーツケースをひいてやってきた。
自分はコーヒーを飲んで言った。”世界で同じようなことが起きているんですね。
若い層が社会のあり方に不満をもっている。だが、
それがひとつのまとまったかたちになるころには、それは元の-
-”かたちとは異なったものになってしまう-”
「、、、」中核派の男性はその意味がよくわからないようで返答がなかった。
福島市に住む男性から、11月10日に告示、17日に投票される
福島市長選挙についてメールをもらった。
元市議の大内雄太氏の立候補について書いてあった。-
-大内氏は市議会で福島市での学校給食に福島県産の米を使うこと、
オリンピック参加について慎重な立場をひとり貫き、
自ら除染活動に参加した経験もある若干30歳の男だという。
その大内氏と話す機会があり、メールをくれた男性は
こどもの緊急時の避難計画、ヨウ素剤の備蓄、配布体制、子どもの保養-
-甲状腺、血液尿検査の導入などを訴えたのだという。
「当選は、厳しいかもと思いますが、全国から助けてほしいと思います。」
そんなことが書かれてあった。
この市長選には11月5日の福島民報を読むとこの大内氏のほか
三人の立候補者の名前が書いてある。現職瀬戸孝則氏(66)。-
-新人小林香(かおる)氏(54)。新人山田裕氏(58)。
選挙立候補者を伝える新聞の例にもれず、無所属の字が愚かしく並ぶが、
このうち現職の瀬戸貴則氏は平成3年12月からの三期、
およそ12年にわたって市長を務めてきた。
市長のプロフィールを見ると平成9年5月に自由民主党県連・総務会長-
-とあり、無所属という言葉が以前書いたような錯覚をもたらす効果しない事がわかる。
被爆防護には関しては期待できるはずがない。
この瀬戸氏は一端四金目出馬を取りやめる方向だったのだが、
やはり四期目を目指すことにした。
小林香氏は、元環境省東北地方環境事務所長。-
-環境省ということろがいかにも妙な思惑がありそうに思える。
元官僚になにかを期待できるとは思えない。
これも無所属だが、官僚が政治へ降りてくると自民党になり、
土地土地の有力者と一体になりこの国を動かしてきた歴史を考えれば、
進めることは自民と変わりはないと言えるだろう。-
-あと無所属でないのが山田裕氏。共産党福島相馬地区委員長だったと書かれている。
あと、メールに書かれていた大内氏。新聞には”複数の市民団体の支持を受けている。
30歳という若さを前面に出し、子育て世代などを中心に支持層を広げる。
大規模な集会などは開かず、草の根戦術で浸透を目指す。”-
-と書かれている。草の根、というのを具体的に書くと、福島市の男性との
被曝防護をめぐる話し合いということになる。
この新聞には大内氏が立候補する予想が書かれているが、
先日その男性が自分に電話をかけてきた。
大内氏は出馬を辞退することになった、という。-
-聞いてみると、共産党の山田氏が立候補を表明し、原発の即時ゼロ、
再稼働反対、市民のがん検診無料化、国保税引き下げなどを実現目標として挙げたことにより、
大内氏がやはりおそらく目指そうとしていた被曝防護体制の実現と、
主張が方向性として(実はちがうのだが)重なってしまった。-
-また現職の瀬戸氏を、福島市の労働組合団体、連合福島が推薦することを決めた。
この連合には、電力会社の労働組合もふくまれている。
大内氏の後援者達は、票のとりまとめができないと判断し、
大内氏に出馬を断念するように働きかけた。
大内氏自体は出馬する意向を持っていたのだが、-
-後援者たちがその方向で動いてしまった。選挙ポスター、
公約を印刷したプリントもすり終わった時点で、「もう自分にはどうにもできない-」
そう福島市の男性に語ったという。
大内氏は、元環境省の役人だった小林香氏に政策提言してゆくことになった、という。-
-共産党系の医師会が現在、福島からのこどもを避難させる必要はないと
した方針で動いているのは前述した。
共産党の掲げる反原発という言葉には、奇妙なことに被曝防護は含まれない。
癌になるまえに手をうたねばならないのだが、癌の検診の無料化という。
それで、いいのか。-
-反原発という声のもとに、被曝という問題が切り捨てられてゆく。
3.11は、戦後60年続いてきたこの国の制度疲労を白日のもとに暴露した。
暴露されたものは、原発を進めてきた層自由民主党、官僚の問題だけではない。
その対立軸として振舞ってきた共産党も、実は同じ病巣なのではないか。-
-その対立軸もふくめた構造そのものが、もはや、こどもを守る方向には動かない。
形骸化した己の社会的な立ち位置をただひたすら、維持することにうごく。
壮大な茶番じゃないのか。
3.11がなければそれでもまだ誤魔化せたのだろう。
だが、3.11後はちがう。-
-こどもの被曝問題は、すべての集団、人間の欺瞞をたちどころに暴く。
福島市長選で反原発を掲げるのは、結果として共産党だけになった。
今度の市長選で共産党がたとえ勝ったとしても、
それは被曝の被害を気にかけながら福島市でこどもを育てる母親の声とは
まったくかけ離れたものになる。-
-彼の妻のもとに、保険会社の人間がやってきたという。
二ヶ月先が更新にあたり、それに臨んで保険会社の人間が説明に彼の家にやってきた。
これまで懇意にしていた人間だったという。なにを言ったか。
「2ヶ月後の更新から癌の保険料があがることになりました。女性は2割。男性は1割-」-
-彼の妻はおどろいて言った。「なんでですか、癌のひと、増えてるんですか」
「増えているんです。とくに女性の乳癌が」懇意にしていたところもあり、
彼の妻は率直に聞いた。
「これって、放射能の影響なんですかね」
保険会社の人間はてらいもなく言ったという。「そうです-。」-
-男性は電話で自分に言った。「保険会社は癌の状況について知ってるんですよ。
保険料支払いの時にどんな病気になったか言わなくちゃいけねえから。
でも、どんなことになってるか、ぜんぜんわからねえ。どうしたらいいんですかね」
自分にも術がない。ただこうして伝えることしかできない。-
-3月17日に丸木美術館に福島市の一般人の母親、ふくしま共同診療所の医師、
千葉で保養活動をされている女性を招いて話してもらった。
結果として、その会は当初の自分の意図からはなれてごく
偏った色合いのものになったことは否めなかった。
三者が三様に話し、最後に自分が言ったことは-
-”発想をかえることが必要だと思います-。”それは、全方位的に言った言葉だった。
これ以上、この中核派の男のやりとりは各必要がない。
なるべく自分というものは押さえて話を進めてきたのだが、
市井人の感覚の一事例として書いた。
そのまま自分は彼とそんな話をしてホテルに帰り、眠ってしまった-
-随分観念的なことを書いたことをお詫びする。2013年9月7日、
自分は以上のような見聞をした。
次の日は、ふくしま共同診療所の半年を経た報告会だった。-
※次回に続く
2016/11/10(木)22:00に投稿予定です。