*『原発ゼロ』著者 小出裕章 を複数回に分け紹介します。8回目の紹介
『原発ゼロ』著者小出裕章
原発を廃絶させるまで、私は闘いたい。
原発は、都会では引き受けることができない寛大な危険を抱えています。「原子力マフィア」はまさか大事故は起きないだろうと高を括り、人々に対して「原発 は決して大事故を起こさない」と嘘をつきました。それでも不安を払拭できない彼らは、原発を過疎地に押し付けたのです。私は破局的な事故が起きる前に原発 を廃絶させたいと活動してきましたが、福島第一原発事故が起きてしまいました。私の人生すべてが否定されてしまい、自分の非力を無念に思わずにはいられま せんでした。しかし、この事故を忘れまいとする人々もまだ大勢いてくれることを、本当にうれしく思います。被害者の苦しみを少しでも減らし、嘘をついてき た巨大な権力を処罰するために、私自身も決して挫けずに闘いたいと改めて思います。
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**『原発ゼロ』著書の紹介
「第2章 もはや東京の一部も放射線管理区域」P71~ より
放射線管理区域とは
ここで、少し私の職場の話をしたいと思います。私が働いているのは、京都大学原子炉実験所というところです。原子炉があります。実験所の敷地は10万坪あります。おもちゃのような小さな原子炉ですけれども、それを動かすためにはこれだけの敷地を囲わなければいけないのです。
さらに、放射能を取り扱う時には10万坪の敷地内のどこでやってもいいということにはなりません。特別な場所でしか取り扱っていはいけないということになっています。その特別な場所は、放射線管理区域と呼ばれています。この場所には一般の人の立入りは許されません。
一般のみなさんが放射線管理区域に接する唯一の可能性は病院です。病院のエックス線撮影室とか、最近ではCT撮影室というものがありますが、そういうところが放射線管理区域となります。それは、「関係者以外立入りを禁じる」というプレートや張り紙です。特殊な人間のみが立入りを許される、それが放射線管理区域です。
この放射線管理区域に入ったら、水を飲むことが許されなくなります。食べることも許されません。そこで寝てもいけません。管理区域の出入り口のドアは常に閉まっていますが、ドアを開けて外に出るためには、一つの手続きが必要です、
私が中で仕事をしていたということは、衣服が放射能で汚れているかもしれない、手が汚れているかもしれない。そんな汚れのついたまま外に出てしまえば、一般の人々を被曝させてしまうので、その汚れを落とさないとドアが開かない仕組みになっているのです。
もし衣服が汚れていたら、それを脱いで棄てなければならない。手が汚れていれば、落ちるまで水で洗う。水で落ちなければお湯。それでも落ちなければ、少々手の皮が溶けてもいいから薬品で落とすことになります。そこまでしなければ、開かないシステムになっているのです。
その基準値が、一平方メートルあたり4万ベクレル。つまり放射線管理区域の外には、どんなことがあっても、一平方メートルあたり4万ベクレルを超えた放射能を持ち出すことは許されないのです。
※続き『原発ゼロ』著書の紹介は、12/9(水)22:00に投稿予定です。