2015年12月16日のブログ記事一覧-原発問題

『原発ゼロ』＜「復興」はゼネコンと建設会社への贈り物＞ ※１３回目の紹介

2015-12-16 22:05:52 | 【原発ゼロ】著者：小出裕章

＊『原発ゼロ』著者小出裕章　を複数回に分け紹介します。１３回目の紹介

『原発ゼロ』著者小出裕章

原発を廃絶させるまで、私は闘いたい。

　原発は、都会では引き受けることができない寛大な危険を抱えています。「原子力マフィア」はまさか大事故は起きないだろうと高を括り、人々に対して「原発は決して大事故を起こさない」と嘘をつきました。それでも不安を払拭できない彼らは、原発を過疎地に押し付けたのです。私は破局的な事故が起きる前に原発を廃絶させたいと活動してきましたが、福島第一原発事故が起きてしまいました。私の人生すべてが否定されてしまい、自分の非力を無念に思わずにはいられませんでした。しかし、この事故を忘れまいとする人々もまだ大勢いてくれることを、本当にうれしく思います。被害者の苦しみを少しでも減らし、嘘をついてきた巨大な権力を処罰するために、私自身も決して挫けずに闘いたいと改めて思います。

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＊＊『原発ゼロ』著書の紹介

「第２章　もはや東京の一部も放射線管理区域」P92～　より

「復興」はゼネコンと建設会社への贈り物

　２０１３年の９月下旬に、「環境放射能除染・廃棄物処理国際展」という展示会が東京都内でありました。この展示会は、除染あるいは放射性廃物の処理・処分業務にかかわる国内外の企業や研究機関が集まり、自分たちの持っている技術や製品を紹介するというものです。１００社以上が参加して３日間行われるという、大変大規模な展示会です。

　それで出展者の一覧を見てみますと、５０音順に並んでいるのですが、まず、フランスのアレバ社、それから鹿島建設、清水建設、大成建設、東芝、日本原子力研究開発機構、日本原子力発電、日立、前田建設工業、三菱マテリアル・・と、揃いも揃ってこれまで日本の原子力発電の推進に加担してきた企業や団体がそっくりそのままです。

しかも、政府が除染にかかる費用を支払う財源は何かといえば、先ほども書きましたが、電源開発促進税です。これはもともと原発を推進するために設けられた税金です。これまで原子力発電所をつくることで儲けてきた人たちが、同じ図式で今度は除染ビジネスで儲ける、ということをやっているのです。原子力を推進しようというロビー勢力が、今も同じ場所に居座り続けています。

　一方、国が直轄で除染を行わない被災地では、市町村の役人が政府の方針に従い、現場の除染作業を地元の業者に優先的に発注しています。それで福島県内の除染を請け負う建設会社は、原発事故後から「除染特需」になっており、客観的に見ればそのお礼ということになると思いますが、２０１２年には福島県建設業協会と傘下の７支部が、自民党の政治資金団体に４８８万円を献金したと言います（『週刊朝日』２０１３年１２月１３日号）。

　除染に限らず、被災地では公共施設や集合住宅の建設、インフラ整備など、多額の国費が落とされる仕事がいくらでもあります。「復興」は、ゼネコンにとっても地元の建設会社にとっても、思いがけない贈り物になりました。そして贈り物を一度もらえば、またもらえるように、当然お礼がしたくなります。

２０１４年度の復興予算で除染ビジネスに贈られるのは約５０００億円。「まちの復旧・復興」というプレゼントに使われるのは約１兆７０００億円。合計すると、２兆２０００億円。この某大な贈り物に群がる利権の奪い合いが、今後も続いていくことは言うまでもありません。

※続き『原発ゼロ』著書の紹介は、12/17(木)22:00に投稿予定です。