*『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』著者 雁屋 哲 を複数回に分け紹介します。22回目の紹介
美味しんぼ「鼻血問題」に答える 雁屋 哲
何度でも言おう。
「今の福島の環境なら、鼻血が出る人はいる」
これは”風評”ではない。”事実”である。
2年に及ぶ取材をへて著者がたどりついた結論はこうだ。
「福島の人よ、福島から逃げる勇気を持って下さい」
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**『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』著書の紹介
放射線が作り出すフリー・ラジカル
なぜ低線量の方が高線量よりリスクが大きいのでしょう。
それは、ペトカウによれば、次のようになります。
「酸素が溶け込んだ細胞液で、イオン化(電離)放射線は酸素分子に衝突して、活性酸素、フリー・ラジカルというものを作り出す」
これを、わかりやすく説明してみましょう。
原子とは原子核の周りに電子がまわっている形です。
私たちの体を作る筋肉でも骨でも、たった一つの原子で出来ているものはありません。すべて、二つ以上の様々な原子が結合して作る分子によって作られています。
細胞の中に必ず含まれている水の分子の一つ一つは、水素原子二つ、酸素原子一つで出来ています。
分子記号でいえばH二つとO一つです(H2O)。
放射線はこの水素と酸素の結合で必要な電子を吹き飛ばし、あるいは自分に取り込んでしまい、HとOだけの非常に不安定な物質を作ってしまいます(・OH)。
これが、フリーラジカルの典型、活性酸素(ヒドロキシ・ラジカル)と呼ばれるものです。
なぜラジカルと呼ばれるかというと、このラジカルはもとの安定的な状態に戻りたいのです。
安定した状態に戻りたいから、周囲の分子を攻撃して、自分が安定化するために必要な電子を奪いとるのです。取られた方は自分が壊れてしまいます。
壊される方から見れば、壊す相手はラジカルで、放射線ではないのです。
(ラジカルは、英語ではradicalと表記されます。元々はラテン語の「根」を意味するradixからきた言葉で、国の体制の根っこまでひっくり返そうとする人たちを「ラジカル」と呼んだことが、ラジカルは過激、という意味に捉えられるようになったようです。)
ペトカウによれば、
「フリー・ラジカルが細胞膜に引き寄せられて、細胞膜を次々に酸化する連鎖反応を起こし、細胞膜を弱らせ破壊する」
「このように、細胞膜の場合はDNAと違って、受ける被害は放射線の直接の結果ではなく、放射線の作り出す活性酸素、フリーラジカルによって間接的に起こる」
というものです。
ペトカウ効果によれば低線量の被曝は極めて危険である、ということになります。
(次回は「訳のわからない疲労感」も説明がつく」を紹介します)
※続き『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』は、11/19(木)22:00に投稿予定です。