*『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』著者 雁屋 哲 を複数回に分け紹介します。20回目の紹介
美味しんぼ「鼻血問題」に答える 雁屋 哲
何度でも言おう。
「今の福島の環境なら、鼻血が出る人はいる」
これは”風評”ではない。”事実”である。
2年に及ぶ取材をへて著者がたどりついた結論はこうだ。
「福島の人よ、福島から逃げる勇気を持って下さい」
----------------
**『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』著書の紹介
福島の人たちはなぜ怒らないのか
X線撮影を行う場所、業務として放射性物質を扱わなければならない研究室などは、「放射線管理区域」とされていて、そこの基準値は、年間5.2ミリシーベルトです。
法律では、5.2ミリシーベルトの放射線を放射線管理区域の外に出してはいけない、と決められています。
さらに、放射線管理区域に指定されたところでは、18歳以下の人は働くことはできないとも決められています。しかも、その放射線管理区域では飲食が禁止されているのです。
ところが、年間20ミリシーベルト以下だから帰還しろと勧められている田村市、川村氏の住民は、子供も妊婦もそこで暮らし、普通に飲み食いをしろというのです。
こんな馬鹿な話があるでしょうか。
①一般の基準値は年間1ミリシーベルト。
②放射線管理区域の基準値は年間5.2ミリシーベルト。
ここには18歳以下の人間は立入り禁止で、飲食も禁止。
③そして、田村市、川内村の基準値は年間20ミリシーベルト。
子供も、幼児も、妊婦も住むことができ、飲食も自由。
日本という一つの国に3つの基準があります。
②の放射線管理区域は世界中どこにでもあります。
放射線を使用しなければならない職業の人たちだけは、犠牲になってもらうといったら語弊がありますが、研究と職業のために我慢してもらうためのぎりぎりの数字として、認めるしかない。仕方がない。
しかし、①と③を一つの国で認めるとは、どういうことなのでしょう。
福島の人たちだけ、他の県の人たちより放射線に対する耐性が高いとでもいうのでしょうか。
途方もないことです。
これは、福島の人たちに対するとんでもない差別でしょう。
福島第一原発の事故で苦しんだ福島の人たちを完全に救済するのが東電と国の義務なのに、これからさらに長い間苦しめ、というのですか。
福島の人たちはなぜ怒らないのか、私には理解が行きません。
(次回は「高線量より怖い「低線量被曝」とは」を紹介します)
※続き『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』は、11/17(火)22:00に投稿予定です。