ギリシャの次に日本は「もし」ではなく「いつ」
28日(金)夜、いや29日(土)朝と言うべきかテレ朝の「朝まで生テレビ」、全部は見なかったが、その一部でまた日本の財政問題を日銀出身の高橋とやらを交えてやっていた。前回に引き続き、「資産と負債を比べればその差は小さい」、何時までも借金(負債)を増大させてはならないと言いながら、「喫緊の問題ではない」と言うような議論にまとめ上げ、勝間とかいういま流行りの女性評論家もそれに話を合わせていた。
彼らがこういう話を分らない筈はないので、集団でこういう結論に誘導している筈であるから「嘘つき集団」による共同謀議の番組と言わざるを得ない。
何時もの繰り返しになるが、問題は借金と資産のバランス問題ではあるが、その借金が近い内に国内で手当て出来なくなり、国外の資金に頼らざるを得なくなる資金繰り問題であり、それは家庭でいえばサラ金からの借金同様となる。そうなると高金利で借金は管理できないほどに急激に増加する。ギリシャ国債のように10年10%の金利となれば、5年もたたないうちに900兆円の借金が国債を増やさないでも借り換えが続けばさらに500兆円近く増加し1400兆円になる、と言うことである。
日銀は紙幣の印刷に手を付けざるを得なくなるが早晩ハイパーインフレがおき、国の財政は破たんする。国が借金出来なくなり、例えバランスシート上、黒字と成っていても(赤字ではあろうが)、黒字倒産すると言うことと同じだ。
しかし、実際におきることは、こうした事態がおきる前に投資家・投機筋はこのような日本国債の価値の下落を予想して、国際買いの忌避、手持ち国債の売却ということが先行してくる。今回のギリシャ危機をみて、一部にそうした国債下落の動きが有ると言う記事もあった。
国内では、財政危機が喫緊の課題でないかの様な話となっているが、日本でもロイター、ファイナンシャル・タイムス、ニューズウィーク等は正反対の報道をしている。これまでもそのような報道を幾つか紹介してきているが、今日は6月2日付のニューズウィークを取り上げる。
タイトルは「日本は次のギリシャに成るかー国家債務 日本が財政危機に陥るのは時間の問題という声が強まり始めた(ギャビン・ブレアー東京)」。以下に要約するが、これまでもこのブログで言って来ていることだが、記事は段々正確に、且つ多くの人たちが同じようなトーンで語り始めている。
<ギリシャの財政危機を機に「政府の借金」が世界の関心事に成ったが、その中でも特に日本に注目が集まっている。少なくても数字の上では、日本の財政はギリシャが健全に見えるほどの危ない情況にあるからだ。(日本の公的債務はGDP比200%-ギリシャ115%、日本財政の健全化時期は2084年ーギリシャ2031年、IMFは日本に11年度からの財政再建を提言)
「もし」ではなく「いつ」の指摘。ギリシャとは情況は異なるが、日本が財政危機に陥るのは「もし」ではなく「いつ」の問題と言う見方が、エコノミストや投資家批評家の間で増えている。早稲田大学大学院野口悠紀夫教授は「国家債務の情況からすると最終的にハイパーインフレ(超物価高騰)に陥る恐れがあると。「起こり得る唯一の結果はインフレで、唯一の問題はそれがいつ起きるかだ」
富士通総研のマルティン・シュルツは言う。「10年国債の利回りが(現在の1.2%から)1.6%に上昇すれば、日本は第2のギリシャなのかと問う報道が増えるだろう。国民がパニックになり資本逃避が始まる。そうなれば政府は国外の投資家に国債を買ってもらわざるを得なくなり、従来より高い利回りでの国債発行となる。国債の利子も払えなくなり、支出にも支障が出るだろう。日本の財政危機が起きればEUのような「白馬の騎士」はおらず、日銀は紙幣の大量増刷しかない。
資産1400兆円の幻想。国内の1400兆円という個人金融資産が巨額の政府債務を保障しているようなものだとよく言われるが、野口は「ナンセンスだ」と一蹴。日本政府は多額の米国債、対外純資産が有る為に油断しているのかもしれない。もし、金利がギリシャの危機前の半分にも達すれば、米国債と対外純資産でも全く足りないであろう。>(了)