杉並の純一郎(3)

2009年12月で68歳に!
先の戦争が一体なんだったのかを今一度勉強し、次の世代に伝えてゆきたい。

気になる国、トルコ。EU加盟交渉凍結!

2006-12-30 19:27:49 | Weblog


 12月30日の産経は来年一月一日にルーマニア、ブルガリアが新たに加わりEUは27ヶ国になる。一方、長年EU加盟を待ち望んでいるトルコの加盟はEUが加盟交渉を一部凍結するなどで、残念ながら更に遅れる情勢に成っている。
 記事に加えて、一橋大学大学院教授の内藤正典氏の寄稿が掲載されている。要旨を書けば、
「キプロス問題に関するヨーロッパ諸国のトルコへの要求はダブルスタンダードであり、トルコにしてみれば加盟交渉というゲームが始まってから、新条件を突きつけられたに等しい。
 その要因としてはフランス、ドイツ、オランダ等のEUの牽引車だった国々が、拡大によって統合を図るというEUの理念から距離を置いたことがあり、加えて今、西ヨーロッパのEU諸国は急速に内向きな方向に転換しつつある。反イスラム感情やイスラム移民に対する不満もトルコの疎外を後押ししている。
 一方トルコはあからさまなダブルスタンダードを突きつけるEU諸国に反感を募らせ、EUはキリスト教クラブに過ぎないと思い始めている。この反感が過激なイスラム主義や偏狭ナショナリズムを生まないよう、EUがトルコを疎外することが中東の安全保障にとってどれだけ打撃となるかEU諸国は真剣に再考すべき。」と結んでいる。

 私もこの意見には賛成であり、いまやEUは少々の無理をしてでもトルコをメンバーに迎えるべきと考える。

 現在のトルコ共和国は約600年続いたオスマントルコに代わって、白人の植民地となることも無く現在の規模で、1923年に建国された。初代の大統領は ムスタファ ケマル アタチェルク。トルコの父として今もって称えられている英明な大統領で、1925年に政教分離令(イスラム法によらない社会)を発布し、トルコをイスラム国家から国民国家へ変えるべく、宗教・教育に始まる8大改革を行い、現在の礎を作っている。 
 しかし、上からの急激な改革であったため、今もってイスラム原理主義者との軋轢を生んでいるようであり、なかなか西洋の望む形でのトルコ社会の近代化は進まない。これを小説にしたのが2006年ノーベル文学賞受賞のオルハン・パムクであり、その作品の「雪」である。

 トルコはイスラム原理主義者との問題に加えイラクとの国境にいるクルド族との民族問題を抱えており、内藤教授が言うまでも無く、もし折角掴みかけている世俗社会―現代社会の条件の一つーがイスラム社会に逆戻りするようなことがあれば、トルコ一国の問題ではなくなり、中東和平の更なる障害になってしまう。なぜなら、イスラム社会はいまもってイスラム法による国家支配しか示してきていないからであり、これでは今までのところどの国も国民国家を形成できず、したがって現代社会には到達していないからである。

 先進諸国家にとってはトルコはイスラム社会の希望の星と言っても過言ではないのだと思うがキリスト教徒には理解しがたいことなのだろうか?


自らの時代を省みる

2006-12-23 08:45:53 | Weblog

  自らの時代を省みる

 自らの生きてきた時代を歴史として認識する等と言う事は所詮不可能な試みなのかもしれない。でも、明治維新から現在に至る日本、これだけの大きな変動を受けた時代に生を受け、その時代を知る努力もせずに諦めてしまうには、あまりにも情けなく且つもったいない。いつも少しでも理解し、少しでも次世代に申し送りしてという気持ちで一杯であるが、歴史の扉は頑丈に出来ている。
 そして、明治維新からの日本を知るには同時に同時代の世界も知らねば成らないが、そこに横たわるとてつもなく大きな問題は、一つには宗教、二つには人種問題と呼ぶには軽すぎる白人だけが人間だとする思想、まあ「白人主義」とでも呼んでおくか、この二つが立ちはだかる。そして、この二つは微妙に絡み合うのだが、後者の「白人主義」は奴隷問題と原住民殺戮問題とに分かれる。

 22日の産経は「奴隷貿易廃止から200年迎える英国」という記事を掲載しているが、産経らしい良い取り上げ方である。
 外信部の坂本英彰によると「ブレア英首相はほぼ2世紀も前にさかのぼって、奴隷貿易について謝罪に一歩手前とも言える‘深い悲しみ’を表明したのを機に、英国内で首相表明の適否めぐる論議が起きている。来年三月に廃止200周年を迎える英国の奴隷貿易とその克服の歴史を振り返りつつ、首相の微妙な言い回しの真意を考えてみたい。」とし、「謝罪にまで踏み込まなかった点に、補償問題につながりかねないとの懸念が見え隠れしてくるのだ。」と締めくくっている。

 更に興味が湧くのはこの記事には「欧米の奴隷廃止をめぐる動き」とした、各国の年表がついている。
   1787   米、オハイオ川以北の州で奴隷禁止
   1802   デンマーク、奴隷貿易を禁止
   1807   英、奴隷貿易を禁止
   1808   米、奴隷貿易を禁止
   1834   英、領内の奴隷制度廃止
   1848   仏、領内の奴隷制度廃止
   1865   米、奴隷制度廃止
          (平凡社‘世界大百科事典’などから)

 英、仏で領内の奴隷制度が廃止されてから、直ちに差別解消に実効が上がったのか定かでないが、アメリカに例を採れば、その取り上げ方がいつも英仏に遅れており、奴隷制を廃止するにもその影響が大きかったことが良くわかる。公民権法が成立し南部での黒人への差別が緩和しだしたのがこの記事では取り上げられていないが、なんと1964年、ケネディが死んだ翌年であり、150年近く掛かっていると言って良いのだろう。
 従って、今もってアメリカには人種差別の影響が色濃くあると考えざるを得ない、そして日本はそれを良く知った上でアメリカと付き合ってゆかなければならない。それが日本が先の戦争から学び取らねば成らないことではないか?
 
 果たして2年後の2008年、アメリカ大統領はブレア同様に悲しみを表明するのだろうかという興味もあるが、私にはこのようなアメリカの人種問題がアメリカの外交に与えたであろう点にも注目してゆきたいと考えている。きわめて微妙な話になるのではと思っており、その取り上げ方が難しい。

パパブッシュの理解不足!

2006-12-18 10:36:58 | Weblog


(2006.12.18)パパブッシュの理解不足!

パパブッシュが中国で、靖国遊就館の「大東亜戦争はアメリカの責任」という記述は間違いだから、日本の首相は靖国に詣でるべきでない、といったとか。パパブッシュは日本軍と戦った経験があるようだが、元大統領の発言としてはお粗末な歴史観ではないのか?
それともボチボチ認知症が出てきたのか?

遊就館の記述も今ひとつ正確でない。「大東亜戦争の責任は長年の白人による‘白人優越主義’に基づく非白人を人間とも思わない暴力的侵略行為に端を発している。従って、日本には開戦への責任はない。」とはっきり書いておけば誰も否定出来ない。あの戦争はアメリカだけによっておきたのではなく、その責任は白人全部にあるということだ。私はこれが歴史への正しい理解であると思うし、物議をかもすことではあろうが、日本が国としてとることのできる立場だと思うようになってきた。

この件については、追々書いてゆきたいと思う。

アメリカはイラク・北朝鮮でどうするのか?

2006-12-17 20:42:25 | Weblog
(2006.12.17)アメリカはイラク・北朝鮮でどうするのか?

 半月ほどブログをお休みしていたが、その理由はこの問題しか関心が無く、且つ何も先が見えないことが大半の理由だ。いまもってたいしたことが言える状況には無いが、18日から六カ国協議、その前に少しでも考えておくことが必要と考えてと大げさに言うが筆を執る。

1.イラク
 中間選挙に破れ外交政策の見直しを迫られているブッシュであり、撤退の早期化がメディアでは一人歩きしているが、そう簡単にはことは運ばない。民主党にも実行可能な具体案があるわけではない。ヴェトナム戦争を終えるにあたって苦労したニクソンを思い出すが、国として一度戦争を始めるとやめるには勝負が決まるか、途中でやめるには国としての大儀がいる。ヴェトナムのときに果たして大儀があったのかを突き詰めると疑問ではあるが、少なくともアメリカには中国を国際舞台に出すという材料があった。イラクに止まらず中東全体がここまで混沌としてくると、イスラエルをなだめながらイスラム諸国との解決を図るといっても、そう簡単にことは進まないだろう。ライスがいかに優秀かは知らないが、中東に関してこれまでのところその優秀さが見えてはいないと考えるのは私だけであろうか?
もし、そして無いとは思うがアメリカが簡単撤退の道を選んでしまうと、世界の秩序が変わってしまい、少なくともロシア、中国、イスラムはアメリカの言うことを今ほどは聞かなくなるだろうし、アメリカ自身も孤立化の道を選んでしまいかねない。そうなると無資源・小国の日本はちょっと大変だ。アメリカを含めることは勿論であるが民主主義国家同盟でも作らないといけないが、それでも安全保障ということになると不安が出てこよう。

2.北朝鮮
18日からの再開を前にヒルが日本に立ち寄り佐々江と話をして言ったが何か理由があったのだろうか?日本の立場特に拉致について考えに代わりが無いことを確かめに来たのか?それとも、アメリカとして何かを伝えに来たのか?
北朝鮮が日本は六カ国協議に出る資格はないと何度も言っているが、それは日本の制裁、国内での総連への捜査、国連人権委員会での非難決議への主導権等につき、頭にきているだろうし実際に影響も出ているのだろう。安倍―金のチキンレースが始まったという向きもあるが、そんなことを考える必要も無い。しかしアメリカの支持だけは絶対につなぎとめておく必要がある。又、過去にも述べたが半島・列島非核化などという提案に乗ってはいけない。その場合には可能かどうか分からぬがロシア・中国からの核の脅威を取り除く方策が無い限り認めてはいけない。
さて、今回は六カ国とも結果が出ない可能性が高いといっているが、だとすると又北朝鮮に時間稼ぎさせるだけになってしまい、制裁が続けばこれまで程のスピードではないかもしれないが開発がさらに進むだけになる。
中国の役割はどうなるのだろうか?これまでアメリカは中国に六カ国協議を任せ、中国の立場・役割を尊重してきているが、この方針に変化は無いのか?即ち、アメリカが中国を頼りとせずむしろ圧力をかけ、自らの軍事力を背景に金正日と直接交渉に入る。あまりありえないシナリオだが、他に方法があるのか?このままでは北朝鮮の核保有を認めてしまうことだけで終わってしまうことになりかねない。一国の安全の為には、軍事力というものが大切であるということを改めて知らされる。

 いずれにしてもこの二つは密接に関連しておりアメリカの対応如何では、今後の世界に大きな影響が出る。そしてこの二つを並べて比較すればアメリカにとっては中東政策の方に比重が置かれるということになり勝ちであろうが、その影響を考えれば致し方なかろう。従って、状況によっては日本は難しい判断を迫られるのかもしれない。日本が如何に自らの国の安全保障をアメリカに依存しているかが良く理解できるが、うまく片付いて欲しいものだし、今後の軍事的備えも充分にやる必要がある。日本が軍備を拡張すればアメリカが引いてゆくという意見を述べる人がいるがどうだろうか?アメリカは日本なしでアジアへの影響力を発揮しえない状況に来ているとみてよいのではないか?それが岡崎久彦がいう日米対中のバランスオブパワーではないのか。この辺が日本にとっての救いであろう。アメリカにあまり負担をかけさせないでアジアを守らせることこそ日本に一番必要なことのように思える。そのためには日本がアジアのため、そして何よりも日本の安全保障のために金を使うしかないのだ。