付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「異世界のんびり農家09」 内藤騎之介

2021-01-21 | 異世界転生
「先生、確認ですが、クワで竜を倒した人っているんですか?」
「いるよ」
「それは実在の人物ですか?」
「もちろん」
「種族は?」
「人間」
 えーーー。


 大樹の村から魔王国のガルガルド貴族学院に留学した獣人の子供3人もすっかり学院に馴染んでいた。いささか不本意な形ではあったけれど。
 もともと彼らが学院に送り込まれたのは外の世界を知るためであり、男性比率が極めて低い村の人間として願わくば外で伴侶を見つけて欲しいという村長の希望ゆえであり、やがて入学してくるはずのウルザたちのための足場作りのためだった。
 それが1年も経たないうちに3人そろって生徒から教師へとジョブチェンジし、余暇の冒険者稼業ではトップクラスの成績をたたき出し、今では3人は料理長ゴール、女たらしシール、学者ブロンと二つ名で呼ばれるほど有名になっていた……。

 スローライフものって、スローライフと言いつつ主人公が、チート能力で巻き込まれる重大事件を次々に解決し、立ち塞がる敵をなぎ払う話ばかりなのですが、この話では本当にスローライフを堪能しています。農地を開拓し、村民たちの健康や食生活に気を配り、暇を見つけて子供やペットと遊び、夜は嫁たちが入れ替わり立ち替わり……。大事件は周囲でいろいろ起きているのですが、どれもこれも大半は主人公の知らないところで解決してるのですね。各国の極秘案件も、何年も続いている大戦争のコントロールも、世界の危機でさえ、村に入り浸っている竜王とか魔王とか世界的宗教の教主とか天使族とか、いろんな人たちによって黙々と処理されています。これぞ、スローライフです。そういうわけで、今回は留学している獣人の子供3人中心のエピソードが増えます。果たしてシールは押しかけ嫁が3人で終わるのでしょうか?
 今回は村のアトラクションで始めた「国産みの儀」を模したパレードで、知らないところでだんだん洒落にならなくなってくるあたりが好き。何千年か前の伝承に倣っているだけなのに、もう少しで本当に再現しそうになるんですね。集まってくるアイテムや遊びに来る人々が洒落にならなくなってくるのです。

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