付け焼き刃の覚え書き

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「レッドスーツ」 ジョン・スコルジー

2023-12-26 | 宇宙・スペースオペラ
「おまえは現実だ。しかし、虚構のテレビドラマがわれわれの現実を侵食しねじ曲げているのだ」
 そして何よりの問題は、そのドラマがあまりできが良くないことなのだとジェンキンズは告げた。

 紆余曲折あって3年遅れでアカデミーに入学したアンドルー・ダールは、卒業後、新任少尉として銀河連邦艦隊の旗艦イントレピッド号に配属された。
 当初は銀河連邦の主力艦に配属され、未知なる宇宙への冒険の旅が始まると期待していたダールや同期のマイア・デュバル、ジミー・ハンスンだが、彼らは間もなく艦内が奇妙なことになっていると気づいた。
 既知の怪物の襲撃や伝染病など、特定の士官と同行する任務でのクルーの死亡率が異常に高いのに、艦長たち上級士官はまるで死なず、一般乗員は艦長や副長らに呼び止められて任務を言いつけられないよう持ち場から離れたがらない。そして、通常の手順では解決できないトラブルが起きたときには、謎の装置「ボックス」を持ち出して適当にボタンを押して放置していると、そのうちに適当な解決策が出力されてくるのだが、その出力画面も上級士官以外には無意味な記号の羅列にしか見えないのだ……。

 ゲーム世界転生・ラノベ転生ではないけれど、なぜか古の人気テレビ番組『スタートレック』……ならいいのだけれど、そのパクりの(シナリオの出来が悪すぎる)番組が、この世界のリアルに影響を及ぼしていて……そんな大昔の話がどうして!?というところからの若干のメタ的描写が混じりつつの右往左往。タイトルは『レッドスーツ』ですが、原題はレッドシャツ、つまりSFドラマ「宇宙大作戦」で何かあると真っ先に死んでしまうポジのセクションが赤服なんですね。
 艦長や副長あたりと絡むと事件に巻き込まれて死ぬ確率が高くなるので(上級士官3人が同行したら確実)、上級士官との接触を避けようとするローワー・デッキのクルーたちの奮闘劇ですが、できることなら用事を言いつけられないよう船底に隠れていたいけど全員は隠れられないだろう?と主人公が覚悟を決めて理不尽に立ち向かいます。

【レッドスーツ】【ジョン・スコルジー】【工藤稜】【ハヤカワ文庫SF】【宇宙冒険ユーモアSF】【生け贄効果】【イントレビット号航宙記】
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