「ときときチャンネル」 宮澤伊織

「人間はみんなｂｏｔだからな」
　いつも誰かと同じ言い訳をすると指摘された多田羅未貴の開き直り。

　十時さくらが始めた動画配信サービス《ときときチャンネル》のメインのネタは、同居人の多田羅未貴と彼女の発明品を紹介すること。今日もさくらは撮影機材と共に未貴の部屋に突入していくが、彼女は実は空前絶後のマッドサイエンティスト。「宇宙」を切り取ってカップの中に固定してみたり、「時間」を少しばかり屋根裏で走らせてみたり。
　そうこうしているうちに、《ときときチャンネル》の登録者に別の世界の存在までカウントされているのではないかという疑惑が生じ始め……。

　『ウは宇宙ヤバイのウ！』の宮澤伊織の新作は、小林めぐみの『食卓にビールを』を彷彿とさせる、マニアックなＳＦネタを一般向けの不思議ネタにかみ砕いてコメディにするタイプの短編集。ただし、こちらは幼妻女子高生のひとり語りではなく、配信者としての一人称と視聴者コメントで構成されています。

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