付け焼き刃の覚え書き

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「蒼のサンクトゥス」 やまむらはじめ

2007-08-27 | 異世界結合・ゲート・ゾーン
 海洋冒険SFコミックの『蒼のサンクトゥス』ですが、読んで思ったのは、「これはゾーンものだろ?」ということ。
 ファーストコンタクト・テーマの1つの亜流に「異常地帯もの」と区分した方がいいんじゃないかと思える作品群があります。異世界より高度な知性体が地球を訪問するのだけれど、一見人間には何の興味がないかのごとく、ある一定の地域を障壁で覆ってしまい、接触を阻むというパターン。
 これが単に物理的に壁を作ったとかエネルギー・バリアを張っただけというなら『地球防衛軍』のミステリアンと同じなわけですが、この場合は一帯が通常の物理法則が通用しない世界となり、しかも相手の知性体は人類との接触を拒む(または無視する)のですね。
 このパターンはたぶんA&B・ストルガツキーの『ストーカー』(1972)が最初。原題が「路傍のピクニック」とあるように、来訪体は地球を訪問し、6カ所のゾーンと呼ばれる物理法則が狂ったエリアを生み出すと、またどこかへ立ち去ったらしいという設定。人間がピクニックした跡に残された食べ屑やゴミに虫が群がるように、人間は危険なゾーンで知性体の残したゴミをあさっていきます。知性体と直接に接触するでなく、その異常な空間に挑む人間の変化を描写するものです。
 ファーストコンタクトには違いないでしょうが、かならずしも「直接コンタクトするとは限らない」というのと、それ以前に「なぜ彼らはこれを作ったのか。どうしたらこれに対処できるのか」という課題が提示されているところが特色です。

【蒼のサンクトゥス】【やまむらはじめ】【ゾーン】【海】【異星人】

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