付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「青い星まで飛んでいけ」 小川一水

2011-03-20 | ファーストコンタクト
「中年の務めとは何か。いろいろあるが、一番はまあ、耐えること、汚れることだろう」
 何も天職を持たない男、紺野哨平の言葉。

 小川一水による短編6篇の作品集。
 彗星を掘り抜いて作られた世界に暮らす少女の閉塞感を描いた「都市彗星のサエ」。ちょっとだけ『おいら宇宙の探鉱夫』を思い出してしまいました。
 怪しげな通販商品にはまってしまった少女と少年の「グラスハートが割れないように」は水からの伝言に紅茶キノコを足したような話。
 サイバーパンクな時代のファーストコンタクト話の「静寂に満ちていく潮」。冒頭のシーンは『攻殻機動隊』以来のショックかな。
 「占職術師の希望」は人の天職が分かる男と、天職に恵まれすぎている少女の探偵物語……みたいなもの。この作品集の中ではいちばん好みかな。「人は職を持つ以前に、まず人間なんじゃないの?」と言い切る少女、山科寛奈が面白い。
 このオチでいいのか!?と無意識に期待していた結末とは違ったところに落とされて頭を抱える「守るべき肌」。
 そして、無限の時と無限の距離を旅しながらファーストコンタクトを続けるホモ・エクスプロルレスの物語「青い星まで飛んでいけ」。下位機械たちの会話はそのまま2chで大笑い。オーバーロードはクラークそのまんまでした。
 ボーイ・ミーツ・ガールだったりファーストコンタクトだったりしますが、中心テーマは「出会い」。ゲームと思っていたら本当の戦争だったとか、いろいろなタイプの話で見せてくれます。

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