付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「イース トリビュート」 原案:日本ファルコム

2012-12-26 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 アクションRPG『イース』が今年でシリーズ開幕25周年を迎えるのを記念して刊行された、5人の作家によるアンソロジー集。

「人間は--俺も含めて、善意で行動しているときにこそ熟慮を欠く」
 アドル・クリスティンの足跡を追い続けた男の述懐。

 9世紀の中頃に活躍したとされる赤毛の「冒険家」、アドル・クリスティンはその覚え書きと記憶をもとに100余冊の冒険日誌を残したという。しかし、それはさまざまな英雄歌や武勲詩としてアレンジされたり民間伝承となるなど西洋文学における一大ジャンルとなったが、それゆえにオリジナルの底本、原本の内容がいかなるものであったかは、今まさに研究が進められているところである。
 本書では、アドル・クリスティンの生涯を歴史の虚構と史実のはざまから汲み出そうとする試みによる、5つの文献が紹介される……。

 本家のゲームの方はプレイできる環境はあったものの、アクションが苦手な夫婦であったため、まともにプレイしたことはないのです。なので、思い入れはまったくないのだけれど、1冊の短編集として面白く読めました。
 もちろんゲームのお約束とか内容を前提にした話をされると「はあ……」となってしまいますが、神出鬼没の巻き込まれヒロイン、エレナ・ストダートの正体を語った断章は納得しながら読んでしまいました。こういう「なぜ、ここにいるかわからない」人って、他のゲームでもちらほらいますものね。これに匹敵する解説は『アラビアの夜の種族』のあれくらい。
 自分がいちばん面白かったのは、アドル63歳の物語。遭難して装備0からというお約束(らしい)から始まり、最後の最後までパターンで攻めつつも、食えない老冒険者の退場シーンの余韻が良い感じに残りました。

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