付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「まぼろしのパン屋」 松宮宏

2023-05-27 | 食・料理
「しあわせとは何だろう?
 それは自らの心に寄り添い、正直に生きることだ」

 何ができるか分からないけど、分からないから楽しいのが人生なのだ。

 政治家とゼネコンの皮算用で始まった大規模土地開発が頓挫して、トカゲの尻尾切りで責任者が左遷された結果、高橋はところてん式に出世したが、それは頓挫した計画をなんとかしなければいけなくなったということなのだ。
 うんざりしながら現地に足を運ぶ高橋だが、途中、見知らぬ老女にパンをもらってしまう。紙袋に詰まったホカホカのパンなのだが……。

 パンと神戸の焼き肉と姫路おでんをそれぞれテーマにした3篇の物語。
 現実社会を舞台にした、ほわっとした人情ものっぽい話だけれど、ところどころに超常だか不可解だかサイコ的なエッセンスがふりかかっているあたりが 松宮宏っぽいかなと勝手に感想。ヤンキーが好き勝手に生きたあげく適当に穏当な場所に収まる話とかは個人的には好かんけれど、映画にしたら面白そうではありますね。
 自分としては「ホルモンと薔薇」を一押し。物語の完成度としては「まぼろしのパン屋」の方が良いと思うのだけれど、ホルモンの普通の人たちが普通に集まって焼き肉をするだけの話なのに、わきゃわきゃ大騒動になっていくバカ話っぽい顛末が良いのです。

【まぼろしのパン屋】【ホルモンと薔薇】【こころの帰る場所】【松宮宏】【徳間文庫】【食べ物をめぐる、ちょっと不思議な物語】【人生逆転劇】【外科医】
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「自作3Dモデルを売るために... | トップ | 「星の航海者」 笹本祐一 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

食・料理」カテゴリの最新記事