付け焼き刃の覚え書き

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『宇宙戦艦ヤマト2199』 第七章「そして艦は行く」

2013-09-20 | ミリタリーSF・未来戦記
 そろそろテレビ放映も追いついてきたことだし、劇場版の感想の補足を。
 やはり途中で作画が荒れたし、一部にカットされたシーンもあったらしいので、とにかくブルーレイでの完成を待つ!!……ということで、いち早く振り込みに。
 終盤の展開にご不満な旧作ファンもみえるみたいですが、(こまめに新旧比較で視聴してますが)旧作の総統ってアレより酷いですよ? 帝都の市民を巻き添えにするどころか都市をちぎっては投げ、爆雷を振りまき、陶酔しきったあげく制止しようとした文官を射殺するくらいとち狂ってます。
 自己陶酔型の独裁者ってのは、あんなものでしょうか。飼っていた鳥をひねり潰すような描写で延々と伏線張ってましたし、そもそも『さらば…』で放浪の武人として再登場し、以後サムライみたいな描かれ方をしたのがおかしいのです。ぜったい『影武者徳川家康』ですって。

 さて、最終章の前夜祭、劇場はいい年した(声高に早口でしゃべる)おじさん、おばさんばかり。20年経っても40年経っても、人の性根や嗜好はそうそう変わらない。三つ子の魂百まで。若い頃にアニメやSFに夢中になった世代は、年を取っても趣味を囲碁や三味線や演歌に変えたりしないで、深夜にアニメ映画を観に劇場に出向き、アニメソングを聴き、聞き知った業界情報を大声で話すものなのだ……orz。
 もう少し若い連中を連れてくる努力をすべきだと思わないでもないが、とにかくみんな金払いがよくて、劇場内は新春初売りのデパートのようです。

 しっかりヤマトの話をしているのに、そこかしこに見覚えのある構図やシーンが出てきて、あのシーンはあの作品のパロディだとかリスペクトしているとかいうではなしに、なんというかヤマトから始まったものが一周してヤマトに戻ってきた感じです。
 なんというか、最終章だけに山あり谷あり思わぬところにサービス回あり……と息をもつかせぬ展開で、思わぬ人が死ぬ一方で、予想外の人が生き残って良い見せ場を作り、忘れられた人は忘れられたまま終わり、いつの間にかやることやっている人はいて、予断を許しません。ヒス副総統は(ボーマン船長みたいに)視聴者がやりたいことをやってくれたんだなあと思いました。旧作の結末を知っている視聴者なら、ヒルデとかの存在を知った瞬間に思ったことだと思います。
 そしてデスラー総統は、『さらば宇宙戦艦ヤマト』以後の(ドメル将軍の役割を乗っ取って)宇宙の侍……みたいにはならず、あくまで孤高にして狂気の独裁者として幕。むしろドメル将軍を残して、次シリーズにつなげるべきではなかったのかと思うのです。

 さて、旧作リメイクがこれで終わっても心残りはほとんどなくなりました……。
 あえていうなら、空間騎兵隊の対戦車戦がなかったなということくらいですが、きっと今回の保安部の件で懲りて次の航海では空間騎兵隊を投入することでしょう。艦内の秩序を維持するどころか叛乱を起こすし、七色星団や総統府突入(計画のみ)、そして最後の戦いでは明らかに白兵戦力不足でしたから。
 でも、へたな続編を作るよりMSイグルーみたいな裏方話のOVAとか、劇場版でJ・J・エイブラムス版スター・トレックみたいな新規まき直し版があっても良いと思います。今まででも、メインキャラがほとんど死んだの無かったことに!から始まり、紆余曲折して大ヤマト零号になったりパチスロいったり実写版があったりといろいろあったので、やろうと思えばまだまだ30年くらいは楽しめますよ。
 「波動砲」の扱いについても封印されちゃいましたので、拡散波動砲は出てこないのかとか、あの地球の武断派がおとなしく従うとは思えないとか不安はありますが……、実際、波動砲ってイメージ的に戦果を上げてないんですよね。浮遊大陸を吹き飛ばしたときに巻き添えで1隻沈めて、バラン星を吹き飛ばしたときに射線上の何百隻か沈めてますが、そんなことしなくてもショックキャノンとミサイルで十分血路を切り開いているわけで、もう少し艦艇の数がそろえば(扱いがデリケートで暴発したら宇宙崩壊の危機があるなどという)波動砲など要らないと軍部が判断しても不思議じゃないと思いますよ。
 
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