「５６５６！～Knight's Strange Night」 成田良悟

　工事半ばで放棄され、悪党や社会のオチコボレの吹きだまりとなった廃島『越佐大橋』を舞台にしたシリーズ外伝にして連作短編集。短編なだけに、頭のネジのはじけ飛んだキャラクターたちが縦横無尽に右往左往する本編よりは取っつきやすいし、このシリーズに手を出し始めるには良い本かも。
　メインになるのは、狗と戌の２人。それに撲殺魔の眠り姫などのエピソードがはさまりながら、「正義の味方ｖｓ悪の島」という構図で、頭の悪い血まみれの戦いが繰り広げられます。

『潤ちゃんラブラブ大作戦！　～温泉街の湯煙に轟くエンジン音、好き好きチェーンソーは死の香り～』

　あいかわらず、みんな十分に凶人で、狂人で、兇刃です。同じ著者の他のシリーズのように吸血鬼も妖怪も悪魔も出てきませんが（世界は共通のふしがありますが）、同じくらい凶悪な普通の怪人ばかりです。
　あ、チェーンソー娘は健在でした。

【５６５６！】【Knight's Strange Night】【成田良悟】【越佐大橋】【ギータルリン】