付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「走りたがりの異世界無双1」 坂石遊作

2023-05-17 | 異世界転生
「目を逸らしてもいいし、他のことに夢中になってもいい。でも、偶に向き合って、時間と心を費やしたら、ひょっとしたら思わぬところで叶うかもしれない。それが夢だ」
 ウィニング=コントレイルは自分の前世を思い出しつつ、夢は持ち続けるだけで楽しいよと語る。

 コントレイル子爵家の長男は転生者だった。
 前世は生まれつき足が不自由で「いつか思いっきり走りたい」という願いを抱きつつの車椅子生活。病院に向かっていたと思ったら、異世界に生まれ変わっていた。はいはいができる、立てる、歩ける……すべてが彼にとっての喜びだった。しかし、彼の紋章は3級、魔力が少なくて魔法を使いこなせないのだ。普通の人間は。
 ウィニングは無意識のうちに、その少ない魔力をすべて走ることに費やしていた。全身を覆うはずの《身体強化》が、なぜか下半身、脚部にしか届いていなかったのだ……。

 昔はラノベの新刊は全部買うか読むかしてました。ウェブ小説の書籍化が始まった頃は、買う前にウェブで下読みして買うかどうか判断してました。でも女性向けレーベルも増え、一般文芸でもアニメ絵・マンガ絵のものが増えました。ライトノベルの新刊紹介サイトに登録される毎月の新刊が300を超え、Amazonで「ラノベ新刊」で1ヶ月以内の新刊を検索してもオーバーフローするようになると、もう全チェックは無理ですね。なので、チェックもれを確認しにリアル書店に行くのは大事。少なくとも巧いイラストレイターを採用している作品は、(巧い下手の先にもう1つ好みかどうかの分岐点はありますが)少なくとも中身も編集者がそこまで手間をかける価値があると判断したのだろうと想定して買うようにしてます。
 この作品は『凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ』とイラストが同じ人だったので購入。アニメ版「盾の勇者」の作画監督の人なのですね。

 すごい努力の才能、規格外の思考力と目的を達成するための執念はあるのに、その才能すべてを「走る」ことだけに費やしてしまって、「天才じゃない。奇人・変態だ」と評された少年の物語です。異世界で無双といっても、膨大な魔力とか、前世知識とかによる金儲けや技術革新とか関係なく、ただただ走り続けるだけです。
 そして、両親や師匠たちがみんなして彼の育て方に悩む話でもあります。きちんと学んで育てば立派な領主にもなろうというのに……。
 もう親の苦労が身にしみる話です。

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