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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「ミュージック・カプセル~ピュンピュン丸」 原作:つのだじろう

2023-01-07 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 出川哲朗の充電旅を視ていたらBGMに『ピュンピュン丸』のテーマアレンジが使われているのに気がついて、聞きたくなったのでAmazonを調べたら普通に定価で売っていたので購入。1967年作品のサントラが普通に入手できる21世紀。
 オープニングとエンディングもTVバージョンとフルバージョンを両方収録。テーマバリエーションのBGMやニコニコ忍者の歌も収録。BGMも数曲ひとまとめに1トラックではなく、音源1曲につきトラックで、完璧じゃね?

 東映アニメーションのカラー作品の1作目。タイトル的には新聞のテレビ欄で見た『花のピュンピュン丸』が脳裏に焼き付いていたけれど、ただの『ピュンピュン丸』が正式。知らなんだ。伊賀忍者やら甲賀忍者、侍もいるけれど、いつのどことも知らない世界を舞台に、「なんでもOK事務所」に所属する忍者のピュンピュン丸とその弟のチビ丸がさまざまなトラブルに挑むドタバタ忍者活劇。
 ちなみにこの作品は元祖、三大『忍者と名乗ったら何でも許されると思ってやがる!?』の1つ。あとの2つは多分『仮面の忍者赤影』と『変身忍者嵐』。戦車でも潜水艦でも巨大ロボットでも悪魔でもサイボーグでもなんでもありなのだ。
 テレビやラジオ、漫画や小説などのメディアに時代劇があふれていた時代なので、広い下地があってこそ許されるやりたい放題なのだ。今の戦隊もので桃太郎がワッショイやったりしているのと似てると思います。

【ミュージック・カプセル~ピュンピュン丸】【ウルトラ・ヴァイヴ】【東映アニメーション】【つのだじろう】【小川寛興】【財津一郎】【前川陽子】【ズッコケ忍者の物語】【キビシィー!】
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「小説 すずめの戸締まり」 新海誠

2022-11-28 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「いいなあ、草太のやつ!」
 なにやら闇の深そうな(ぴりぴりしっぱなしの)叔母と姪を乗せて何時間も車を走らせたあげく、愛車が路肩に転落して使えなくなったとみるやあっさり置いて行かれた芹澤だったが、ひとしきり大笑いした。散々な目にあったけれど、自分がなにかの役割を果たしたような達成感があったのだ。

 映画『すずめの戸締まり』の小説版。映画制作と同時に執筆していたそうなので、ノベライズじゃないですね。原作というより、あくまで「小説版」かなあ。すずめ視点で事件を回想する、彼女の旅の物語。ここ大事。なので、彼女が自分で体験したことでなく、後で本人から聞くこともできなかった部分の物語については言及されてません。具体的には左大臣と羊朗さんとのやりとりとか。
 羊朗さんといえば、妻は「羊朗さんの若い頃の外伝も見たい!」と言っていたのだけれど、息子の「それよりも、今の羊朗さんの声(松本白鸚)で『お返し申す!!』とか聞きたくない?」という意見に「それ!」と共感してました。

小説 すずめの戸締まり】【新海誠】【角川文庫】【過去と現在と未来を繋ぐ、鈴芽の戸締まりの物語】



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「すずめの戸締まり」 原作・脚本・監督:新海誠

2022-11-25 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「おはよう」「行ってきます」「お帰りなさい」

 震災で母を失い、叔母に引き取られて宮崎県の静かな町で暮らしている17歳の女子高校生、岩戸鈴芽(すずめ)は廃墟になった集落でぽつんと立っている扉を見つけた。なにかに引き寄せられるように扉を開けば、その向こうには星空の下に広い草原が広がっていた。見えるけれど足を踏み入れることのできない不思議な空間に、すずめは思わず逃げ出して学校に戻るのだが……。

 地上に災いをもたらす“ミミズ”が這い出てくる「扉」を封じて回るために全国各地の廃墟を巡る『閉じ師』の青年と巻き込まれた女子高生による、南九州から東北までの伝奇ロードムービー。

 我が家では大好評。

 ただ、東日本大震災を筆頭に地震大国日本の鎮魂がテーマみたいなものなので、未だにトラウマを抱えている人には震災警報が頻繁に鳴り響くから無理っぽい。震災をエンタテイメントに落とし込むなと怒ってしまう生真面目すぎる人にも無理。震災だけじゃなくて原発事故にも言及しないのはけしからんとか見当外れの重箱をつつきがちな人も観ない方がみんなが幸せ(一応、閉鎖地区の前を通過して復興が進まない様子が描写されてます)。女子高生の生足洗いとか椅子に座られるとか監督の性癖を深読みして気持ち悪がる人は、作品ってのは創作者の分身であるのと同時に見る人にとっての鏡でもあるってことを考えてみた方が良いです。エッチっていう方がエッチなんだぞ(小学生の理屈)。
 あと、ネコ映画っぽい気がして観に行く猫好きがいたら、かなりアウトかも。

 神様は害意も悪意もなくても、強大な力があって、気まぐれで迷惑で厄介なのだ。好かれたらなお面倒くさくなる。左大臣のやったあれこれも「神様、そこまで考えてないと思うよ?」で言い切れる気がするよね。思ってることは吐き出した方がいいんじゃない?くらいで。

 伝奇ロードムービーというと古くは『河童の三平~妖怪大作戦』から『さくや妖怪伝』とかいろいろあるのだけれど、単にテーマ的な「少女の成長」とか「心の奥底に押し込めた想いや記憶の解放」といったもの以外に、無人となった田舎の廃墟から都会の喧噪まで2020年代の日本の情景を切り取って記録していく意味合いがかなり大きい感じがします。
 最近の映像作家は日本の中しか視ていないという評がTwitterに流れてたけど、新海誠は現代日本しか舞台にできないのではなく、あえて現代日本をテーマにしているんだと思わせる映像でした。海外の街並みを再現するのもスゴいし、視た事もない異世界を創造するのもスゴいけど、東日本大震災から干支一回りする歳月の現代日本の変遷を、人があふれる大都会から閑散とした田舎まで写して残しているのもスゴいと思うのよ。最近の作品には珍しく、スモーカーの登場人物もがいますね。比率的にリアル。
 そしていきなり始まる昭和歌謡大全。

 ちなみに主人公の岩戸鈴芽の名前は、天岩戸のウズメから来ているんだそうな。あれは開ける方だけど。そして、彼女を導くのは三本足なのだ。

【すずめの戸締まり】【新海誠】【田中将賀】【東宝】【コミックス・ウェーブ・フィルム】【行ってきます。】【扉の向こうには、すべての時間があったー】【土屋堅一】【RADWIMPS】【陣内一真】【廃墟】【後ろ戸】
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「現代陰陽師は転生リードで無双する」 爪隠し

2022-11-13 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 峡部聖の前世は取るに足らないものだった。楽な方に逃げ続けてなにもできず、なにものにもなれず、気がつけば末期癌で病床にあった。
 しかし、今世は違う。現代日本への転生らしいが、どうやら陰陽師の家庭のようだ。この世界には陰陽師がいるのだ。
 今度こそ優秀になって、彼女もつくって、誰かを助ける人生をおくり、自分の生きた証を遺したい!……と、聖は生まれた時から大人の意識があるのを幸い、霊力を鍛えようとするのだが、自分で身動きすら出来ない聖の周囲には、怪しげな不思議生物が蠢き、彼に迫ってきていた。それらはどうやら大人には見えないらしい……。

 タイトルままに現代日本に転生した男の物語『現代陰陽師は転生リードで無双する』は、『無職転生』に代表される「今世は幼少時から大人の意識があるからワンチャンある」、前世では何者にもなれなかった主人公の再起譚。Y◎utubeで(たぶん)会員限定で配信してる子供向けの「おんみょーじチャンネル」で幼児教育してるのに笑う。はーい、陰陽師のおにいさんだよ!とか、実際ありそう。
 この巻では懇親会が終わった直後まで。ナンバリングしてないし、ウェブ連載のストックも多くないけど、2巻に期待です。

【現代陰陽師は転生リードで無双する】【爪隠し】【成瀬ちさと】【ファミ通文庫】【二度目の人生を謳歌する一人の男の転生譚】【小説家になろう】【カクヨム】
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「Devil's Candy1」 REM&BIKKURI

2022-11-09 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 鏡の向こうのもう1つの世界、悪魔とモンスターの世界のお話。
 ヘムロック・ハート・アカデミーの学生、インプで科学魔術師のカズ・デッカーが「生きている女の子を作ろう」の宿題で用意したのは、どこからか集めた素体をつなぎ合わせた人間型の少女パンドラだった。
 しかし、生徒の1人、ギロが他の生徒の持ってきた女性型モンスターを呼び集めて吸収し始めてしまう……。

 ウェブ連載していたアメリカマンガ(コミックに非ず)の『Devil's Candy』の書籍版。悪魔の世界のハイスクールを舞台に、インプの少年と彼が宿題で蘇生させた謎の少女のスクールライフもので、宿題が融合して巨大モンスター化する話と、サイエンスクラブが学園中に幽霊を増殖させる回、ヒトミちゃんのお宅訪問などの回、さらにはおまけの短編やキャラ紹介・クラブ紹介なども収録。
 原作はBIKKURI、作画はREM(『ソウルレス』をコミカライズした人)。2人はモーニング国際新人漫画賞の受賞者なので完全に日本のマンガ文法。リアルなキャラと頭身が縮んだギャグキャラの併用とか、興奮して鼻血を出すなんて表現はアメコミには見られないんじゃないかしら。出版社も『僕のヒーローアカデミア』や『呪術廻戦』などジャンプ系の翻訳してるとこです。
 サブヒロインでサイクロプスのヒトミちゃんが可愛いので、単眼マニアにはお勧め。

【Devil's Candy1】【REM&BIKKURI】【VIZ】
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「まれびとパレード」 越谷オサム

2021-11-26 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 漁師町は寂れていた。サバが売り物の海でサバが採れなくなったのだ。ミナミの実家の食堂も、すっかり閑古鳥が鳴いている。
 ところが、昼休みに浜まで来たミナミは、そこで高校時代の先輩、元彼のコータがサーフィンしているのを見つけた。コータは1年前の嵐の日に波に乗ろうとして、そのまま戻らなかったのだ。
 今は元気に波に乗っているが、もちろん身体は腐り果てていた……。

 半死の町に戻ってきたゾンビの話とか、転居のための仮住まいに座敷童が居たとか、あれやこれやの妖怪短編集。微妙にのんきで微笑ましい話の詰め合わせです。

【まれびとパレード】【サーフィン・ゾンビ】【弟のデート】【泥侍】【ジャッキーズの夜ふかし】【越谷オサム】【あらゐけいいち】【角川文庫】【幸せ保証の短編集】【若草山】【ロメロ】【引きこもり】
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「伝奇世界の悪役令嬢 ※90年代からきました」 海老

2021-08-13 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「兄上が、巫女服をノースリーブにして腋を見せろと、しつこく言うてくる。アレ、マジで死ねばいいのに」

 間宮小夜子は、転生憑依者である。
 死んだのは1991年。冥界の主である伊邪那美によって、黄泉の国から現世に戻された。「悪として生きろ」との言葉を賜って。
 菊地秀行の伝奇バイオレンス小説が好きだったから、【新宿】の住人クラスを敵に想定して準備しようと思ったのだが、意識を取り戻してみれば小学生の小夜子は外道魔道師である父親によって、動くこともできない肉塊の怪物にされていた。ひとことでいうと「目と口のあるユッケ」だった……。

 肉塊の状態を意志の力で克服し、外道オヤジを吹き飛ばした小夜子が美貌の退魔師としてあちらこちらの妖怪やら都市伝説やら堕ちた神と戦う物語です。90年代から来た伝奇小説マニアという設定はあまり活きてないような気はするけれど、テンポ良く、さまざまなシチュエーションでの戦いの合間合間にメシを食う光景が挟まり、バイオレンスアクションかと思えばホラーコメディになったり、緩急落差の激しい作品。コミカライズするなら奥瀬サキとか来留間慎一とかのテイストを希望。神道仏教説話から菊地秀行やクトゥルフ神話までのテイストで、血まみれ臓物まみれのバイオレンスシーンから甘酸っぱすぎるラブコメまで網羅する話です。
 物語のキーとなるのは一浪して高校入学した元読者モデルにしてギャルのギャル谷こと刈谷さん。通りすがりのモブキャラがいつの間にか事件に巻き込まれ、縁ができてしまったことで怪異と出会う日常に巻き込まれることが多くなり、海千山千の退魔師やら奇々怪々な妖怪やらが登場人物がどんどん増えていきますが、一貫して何の能力もない「只の人」なのに只人だからこそ強い。良識を説き、常識を語る、常に正論を吐く少女。ただ、人のポンデリングを勝手に食うのはいかんぞ。只人なのはトミーおじさんも同じく。強さではとうてい敵わないけれど、普通の人は無敵なのです。

【伝奇世界の悪役令嬢 ※90年代からきました】【海老】【小説家になろう】【せんべい屋の糸使い】【美形の魔界医師】【水蛭子】【瓜子姫】【トイレの花子さん】【吸血鬼】【桃太郎】【火車】【安倍晴明】【ティンダロスの猟犬】【シュレディンガーの猫】【一番強かったで賞】【コメダ】【関西の喫茶店】【ギリシア神話】【北欧神話】
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「水路の夢[ウォーターウェイ]」 早見裕司

2021-07-11 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「これだけ古い建物になると、それ自体が魂を持ち始めるもんだよ。しかもここは図書館だ。いってみれば、本の墓場みたいなもんだからな。何が起きたっておかしくないさ」
 司書教諭、森本一彦は映画研究会が図書館の時計塔で撮影したいという要望に反対し、陣内を煙に巻く。

 最近、季里の力がなくなったような気がする。それで普通の少女になれたかというと違うみたいだ。どこからともなく水の流れる音が耳に届くようになり、彼女はまぼろしの『水』に呼ばれるように東京を彷徨うようになる……。

 タイトルままの物語。
 街があって、人の営みがあり、それなのにあり得ないモノが存在し、存在しないはずの場所があり、誰もが見ているはずなのに誰も見なかった水の流れがあった……という都市幻想譚と1人の少女の物語。
 川原由美子のキャラ紹介もあいかわらず良い雰囲気です。学園モノという感じであふれてます。巻末の著者紹介も含めて。

【水路の夢[ウォーターウェイ]】【早見裕司/早見慎司】【川原由美子】【アニメージュ文庫JuJu】【ファンタスティックな都市冒険小説】【三夢記】【オッペルと象】【彫刻家の娘】【俺を呼んだかい?】【地下倉庫】【ライオン】【幻水局】
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「さくや妖怪伝」 原案:原口智生

2021-06-28 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「ハッピーエンドを目指したい。登場人物は最後は幸せに成らなきゃ」
 というのが原口(監督・原案)と光益(著)の口癖。一方、岸川(著)と冬目(コンセプトデザイン)は多少暗めにしないと整合性が……という主張。

 宝永4年、霊峰・富士が噴火。神々の結界は破られ、地の底より悪しき妖怪達が地上に溢れ出た。
 幕府はこれを鎮めるため妖刀・村正を与えられた妖怪討伐士、17歳の少女である榊咲夜を討伐行に送り出した。しかし、村雨には妖怪を討つ度に使い手の魂を喰らうという秘密があった……。

 映画の脚本を担当した光益がノベライズしたものに、企画担当の岸川が枚数オーバーした分の3割を削ってまとめたもの。無味乾燥なただのノベライズにはしないという意欲の表れ。Amazonではコミックにカテゴライズされてたけど、コンセプトデザインのマンガ家、冬目景が挿絵を描いたライトノベル。
 咲夜の役職は正式には公儀妖怪討伐士。ちゃんとした幕府のお役目なので、エピローグでは咲夜自身が右往左往する様がちらりと言及されます。こういう細かいツボを抑えるのがいいよね。望むなら、あの鬼転大筒のギミックをもっと執拗に描写して欲しかった。鬼兵衛のこだわりほど、こだわって描写されてないので。

【さくや妖怪伝】【原口智生】【光益公映】【岸川靖】【冬目景】【マガジン・ノベルス・スペシャル】【鬼転大筒】【平将門】【崇徳天皇】
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「さくや妖怪伝」 原案・監督:原口智生

2021-06-25 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「この世に、神々の力及ばざる時、妖魔をもって、妖魔を討つ。公儀妖怪討伐士、榊咲夜!」

 宝永4年、霊峰・富士が噴火。神々の結界は破られ、地の底より悪しき妖怪達が地上に溢れ出た。
 幕府はこれを鎮めるため妖刀・村正を与えられた妖怪討伐士、17歳の少女である榊咲夜を討伐行に送り出した。しかし、村雨には妖怪を討つ度に使い手の魂を喰らうという秘密があった……。

 妖怪とかホラーは苦手なんだけれど、なんとなく「観に行かなくては」という気になって劇場へ向かい、DVDはちゃんと購入。ヒロインとか監督とかには興味は無かったけれど、音楽が川井憲次で、丹波哲郎や藤岡弘や嶋田久作が出ていて、コンセプトデザインが冬目景で、特技監督が樋口真嗣だったら見るしかないじゃないですか? 数え役満ですよ!
 妖怪たちのクリーチャーデザインも良いし、重火器をがんがん投入する忍者は全然忍んでないところが良いし、そして、随分前の映画だし、予告とかでもがんがん流れているので言いますけど、妖怪たちの御大将、土蜘蛛御前の松坂慶子が最強ですよ。巨大松坂慶子のパワーモンガーぶりだけでも見る価値がある作品なのです。
 自分はホラーは苦手で、妖怪は嫌いで、バッドエンドは放り出す人間ですが、『妖怪百物語』と『妖怪大戦争』(どちらも大映作品の方)と『さくや妖怪伝』だけはソフトで持っているのです。この特撮テレビ番組版『仮面の忍者 赤影』から敵忍者を抜いたような話が好きなんですね。

【さくや妖怪伝】【トワーニ】【ワーナー・ブラザーズ】【原口智生】【安藤希】【山内秀一】【嶋田久作】【逆木圭一郎】【藤岡弘、】【松坂慶子】【丹波哲郎】【黒田勇樹】【川井憲次】【光益公映】【竹中直人】【冬目景】【樋口真嗣】

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「小説どろろ」 辻真先

2021-06-16 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「勝つわ……百鬼丸」
 それが村娘みおの最後の言葉。

 時は室町時代も後期。長く続く戦で両親を失った孤児、どろろは盗賊稼業で糊口を立てていた。
 そのどろろが出会ったのは、父親によって身体を48匹の妖怪への貢ぎ物にされた百鬼丸だった。彼は失われた身体の部位すべてを鉄や木の作り物とすることで生きながらえ、日本全国を巡って妖怪を倒すことで奪われた部位を取り戻し続けていた。
 最初は百鬼丸の刀を奪うべくつきまとっていたどろろだったが……。

 手塚治虫のマンガが原作の、日本全国妖怪退治道中記。定番の万代さまから、妖刀、白面不動、妖狐ばんもん、無情岬経由で船幽霊まで。ノベライズとしてはそつなく少年向けの伝奇アクションにまとめた感じですが、最後は「少年2人は旅立った」エンド。えーっ!?って思うよね。手塚治虫のフェチが抜けてます。
 この作品が手塚作品初のノベライズで、最初の刊行は1969年。それが1978年に復刻されたのが、このソノラマ本。さらに2007年にも復刊しています。
 あおり文句でわざわざ「北野英明のさし絵でおくる」とか謳ってますが、イラストの北野英明は、手塚治虫のアシスタント出身のアニメーターで、『どろろ』『ジャングル大帝』などの作画監督などを務めた人。日本で最初に麻雀漫画を連載したマンガ家でもあるそうです。

【小説どろろ】【辻真先】【北野英明】【手塚治虫】【ソノラマ文庫】
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「夏街道[サマーロード]」 早見裕司

2021-03-02 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 バンド「FACE」でヴォーカルをやっている加野湘子は、西東京の私立高校、逝川高校の二年生。その湘子が不良と噂される少女・美砂に連れ込まれたのは図書館の資料調査室。そこは文芸部の溜まり場になっていたのだ。
 文芸部の水淵季里は占いが得意なので、気になったことがあれば頼めという、美砂に勧められた湘子は音信不通になった「FACE」のリーダー、友樹の所在を占ってもらう。だが、そこで彼女が見たのは不思議な扉をくぐって出て行く友樹。思わず後を追おうとした湘子は、占いの鏡に呑み込まれそうになってしまう……。

 水淵季里シリーズの1冊目。というか、作者の小説家デビュー作。
 当初は超能力バトルアクションのつもりで企画していたけれど、できあがってみたら都市奇譚になってしまったそうです。また、水淵季里シリーズとはなっていますが、この話の主人公は加野湘子。基本はホラーなので被害者になる側が湘子で、助ける側が季里なのですが、バトルアクションではなくなったので2人揃って大変なことになり、代わりに他の文芸部員たちが走り回って何とかしようと頭をひねることになります。
 作者のブログ「うらそえ日記」によれば、本人が水淵季里シリーズと認めているのは、デビュー作である『夏街道』、その続編『水路の夢』、細かな設定を変えてリブートした『夏の鬼 その他の鬼』、沖縄を舞台にした『精霊海流』、連作短編集『ずっと、そこにいるよ。』と『何もない、夏の一日。』の6作ですが、季里の遺児が活躍するSF武侠小説『野良猫オン・ザ・ラン』、季里がカメオ出演する沖縄を舞台にした都市奇譚『となりのウチナーンチ
ュ』などもありますので、もうちょい増えます。
 このシリーズは、あくまで都市奇譚なので、背筋も凍る学園ホラーとか、邪霊と戦うバトルアクションを期待すると拍子抜けだし、かといって普通の青春小説のつもりで読むと、誰もいないのに足音だけするとか、写真に少女が写るとか不思議な現象を誰もが自然に受け止めていて調子が狂うかも知れません。この静かで不思議な空気を味わうのがこの作品の楽しみ方ではないでしょうか。

【夏街道[サマーロード]】【早見裕司/早見慎司】【川原由美子】【アニメージュ文庫】
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「レベル94少女からの最後の挨拶」 汀こるもの

2020-11-21 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「若人は悩みが多いなあ。昔の日本人、もっと無茶苦茶やってしれっと生きてたぞ」

 三の姫の従者で汚れ仕事専任の雀が壊れた。報われないまま、ちょいと人を殺しすぎたらしい。ついでに諍いで殺せぬはずの神使である毛野まで殺してしまったので、霊的にぽっかり大穴が開いてしまった。
 この穴を埋めるために現れたのが、1つのネタで800年使い回されてきた男ことネームド大天狗、遮那王尊。つまり源義経である。
 かくして渋谷のスクランブル交差点を舞台に、たった2人の妖怪大戦争が始まった……。
「人を鬼舞辻無残みたいに。別に現行人類に迷惑かけるつもりなかったんだよ。楽しくやってたらヘリ落として瘴気出てただけで。ごめんって。忘れて」

 いつもより若干ハイテンションな最終巻。そして、今回は講談社ではなく、クラウドファンディングによる自費出版で、装丁は講談社版と並んで遜色なし。面白いけれど打ち切られた話は多いので、こういうスタイルがもっと増えると良いな。

【レベル94少女からの最後の挨拶】【汀こるもの】【usi】【れべきゅーシリーズ完結】【ショーマストゴーオン】【神使殺し】【ゆるキャン△】【FGO】【無人在来線爆弾】【イゼルローン要塞】【シドニア】【海軍精神注入棒】【日高屋】【銀河英雄伝説】
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「南国流星怪奇譚」 芝村裕吏

2020-05-29 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「生きると死ぬとの間には、いくらでもその間がある。危険性という間がな。そのどこを狙うかという話だ」
 セイこと西村清吉は、コステンロスにそう言った。

 時は大正20年4月。
 不慮の事故で脚を悪くした元憲兵・西村清吉は、海軍司法警察官として日本統治下の南国パラオにある南洋庁に出向することとなった。
 素行不良なものは即座に内地に送り返され、現地人といえば酒を呑んでのんびりしているだけの南洋で事件など起きるはずもなかったのだが、パラオからさらに2000キロの彼方、サイパン支庁のそのまた先の孤島アナタハンで、駐留している日本人が相次いで行方不明になるという連続失踪事件が起きているという……。

 帯のあおり文句は「カタブツの軍人×南国の美丈夫×金髪の美少年」ですが、雰囲気としては「ホジスン×海野十三×ウィンダム」かな。クトゥルフRPGのキャンペーンシナリオ第1回みたい。ただ、初っぱなから栗の花が香るような展開に、話がどちらに転がっていくか不安になるくらい先読みのできない序盤からの、出会う人すべてが胡散臭い調査パートを経てのクライマックス。まさに武侠の快男児……というのともちょっと違うかな。素直に考えて「南国」で「流星」から始まる「怪奇譚」なのです。

【南国流星怪奇譚~アナタハンの影~】【芝村裕吏】【ミドリノエバ】【星海社FICTIONS】【大正流星怪奇譚】【関東大震災】【遷都】
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「100億人のヨリコさん」 似鳥鶏

2019-10-22 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「胃に入れば皆同じ蛋白質だ。蛋白質に貴賤はない」
 たとえそれがカメムシでも。

 大学には4つの学生寮があるのだが、入寮できるのは2年生まで。しかし、今度教育学部3年になる小磯にはカネがない。貧困家庭の苦学生なのだ。やっとのことで見つけたのは、寮費が月額1300円という、存在しないことになっている5番目の富穣寮に引っ越すこととなった。
 しかし、その寮は政令指定都市の大学構内にあるとは信じられないほどのおんぼろで、山姥の棲家か廃屋かというありさま。しかも、ネズミやゴキブリどころか幽霊まで出るのだ……。

 変人奇人が集まる「究極超人あ~る」や「キケン」みたいな部活ものというか、「めぞん一刻」みたいな下宿ものみたいなところから始まる、パニックホラー・ミステリー。小ネタの多さは「私、能力は平均値でって言ったよね!」並み。

【100億人のヨリコさん】【似鳥鶏】【あらゐけいいち】【光文社文庫】【ノンストップエンタテインメント】【四神】【パンツダケ】【寮号】【世界ふしぎ発見!】【Ever Dream This Man?】【超電磁ロボ コン・バトラーV】【ラジャ仮説】【攻殻機動隊】【無敵超人ザンボット3】【蒼き流星SPTレイズナー】
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