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『現代思想 総特集 安丸良夫 民衆思想とは何か』 2016 8月20日 青土社

2016年08月16日 | 新刊書遊記

               ▲ 現代思想 総特集 安丸良夫』 2016 8月20日 青土社 2200円+税

 

 『現代思想 総特集 安丸良夫』 2016 青土社 

 

今回は『現代思想 総特集 安丸良夫 民衆思想とは何か』 2016 青土社 

 

今年4月、交通事故後、急逝した安丸良夫の総特集号

色川大吉、ひろたまさき、鹿野政直らの民衆史家と呼ばれた論客の中でも、一際歴史の方法意識についての論も目立ち、論争家としても知られていた安丸良夫。

岩波書店から、著作集刊行も終わり、没後特集ではなく、安丸良夫を讃えた特集号が出るのではと思っていたのだが、2016年の今年、追悼号となってしまった。

 

▼ まずは、特集号の目次を掲載する。

 ▲『現代思想 総特集 安丸良夫』 2016 青土社  目次1

 

 ▲ 『現代思想 総特集 安丸良夫』 2016 青土社 目次2

 

安丸良夫の著作集が、岩波書店から出たように、『日本思想大系』の、「民衆運動」の巻、「民衆宗教の思想」の巻の編集・解説、また、『日本近代思想大系 5 宗教と国家』、『日本近代思想大系 21 民衆運動』の共同編集なども手がけている。巻末の著作目録を眺めると、『世界』、『思想』、『岩波講座 日本通史』、『岩波講座 天皇と王権を考える』なども共同編集者に安丸の名前がある。

著作集の刊行後は、岩波の『図書』に「戦後歴史学という経験」という、戦後歴史学の経験と自らの資料探求から、さらに世界史のアナール派社会史学などとの対話も積極的であったことが伺える。この特集号を読みすすめながら、家の中に散在している、安丸良夫の論文を探してみよう。『日本ナショナリズムの前夜』 1977年 朝日新聞社、は、筑摩書房の『現代日本思想体系』を読んでから、ナショナリズムや、国家主義、アジア主義などの関心がわいて、買い求めた記憶がある。

21世紀になって、安丸は、今、私たちの歴史学は、「私たちは、今いま、どこにいるのか」という問いを、問いかけていた。

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1960年代の左翼階級史観の教条的ドグマから、解放する情念と、資料探求からその歴史的視野を与えてくれたのは、色川大吉、ひろたまさき、鹿野政直、安丸良夫らの民衆史研究者であったのは確かである。

2011年3月に、12年ぶりに、色川大吉、ひろたまさき、鹿野政直、安丸良夫が1994年に箱根で会って以来、4人が再会して、酒宴をしたことが色川大吉の巻頭の思い出に記されていた。そのとき(2011年)色川が86才、鹿野80才、安丸・広田が77才で合計320才である。

合計320才の歴史家の酒の入った上での話が面白くないわけががないと思うのだが・・・・・4人で320才の酒宴の実況中継、ぜひ聞いてみたかったものの一つである。

「三酔人経綸問答」ならぬ、「四酔人経綸問答」ということになるのだが・・・・・・安丸良夫は人類学者山口昌男のことも評価していた。中江兆民は随分前から論争相手を探して待っていたのか? 

今頃安丸良夫は中江兆民と山口昌男と口角泡を飛ばして論争しながら、あちらで酒宴をはっていることだろう。

くれぐれも、安丸良夫さん、色川大吉、ひろたまさき、鹿野政直を呼んだりしちゃぁだめだぞ!

色川大吉、ひろたまさき、鹿野政直には、まだ一仕事してもらわなければならん!

 

人民→民衆  という動きが、彼ら、民衆史研究者の中で戦後の日本史研究を彩ったのだが。

まさか、最近の「言語論的転回」後の若手の歴史学研究者からみると、すべての過去の歴史理論や、歴史研究者の作品の中に、「大文字の歴史」、「ヘーゲル的全体主義的歴史理論」を嗅ぎつけ、断罪しているような雰囲気がないとはいえないような傾向が見えるのは残念なことだ。

 

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このところ、ブログは1週間ほど休んだのだが、デイヴィット・バーガミニの奇書『天皇の陰謀』1971年刊行の、日本語翻訳が、インターネット上に公開されている。これを読もうと1000頁越える分量の印刷に時間を要してしまったためなのだ。

古いプリンターなので、印刷の調子が良いとは限らず、頻繁に紙詰まりを起こすので、寝ずの番を過ごすことになったような日もあった。

とにかく、バーガミニの本はめっぽう面白い。

真偽のほどは、読了してからにしたいが、秦郁彦が、デイヴィット・バーガミニのこの『天皇の陰謀』を偽書として最大限の罵詈雑言を投げつける真情もわからぬではないが、やはり、日本人には、「日本近代の戦争に関わる陰謀に昭和天皇が、軍人に騙されたのではなく」、「かなり深いところまで、昭和天皇は計画を知りつつ、さらに計画を進めさせていた可能性を指摘」までしているのだから、心中穏やかではいられないのは天皇潔白説を奉じる近現代史学研究者としては、自然のなりゆきなのだろう。

バーガミニが、この本を書くにあたり、参照した文献一覧や、章別の詳細な脚注もある。時間はかかるが、この本を読破し、秦郁彦が言っている二・三の間違いを指摘するだけで、すべて焚書にすべき、葬り去るべき「とんでも本」なのかは、その後に決めることにしよう。

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少し前のブログで書いていたことなのだが、戦後米軍占領期の日本で起きた未解決の事件で、下山事件、松川事件については、それなりに関連する本を収集して、自分なりの見通しができるようになってきたのだが、「三鷹事件」に関しては、片島紀男の『三鷹事件』と、『戦後政治裁判史録』くらいしか読んでいない。

今年8月後半から、9月にかけては、三鷹事件について触れた本をまず探し出して、戦後占領史の迷路から脱出したい。その後、幕末・明治維新・近代化というプロパガンダの洗脳から充分に解放されていない自らの洗脳状態を解き明かしたい誘惑に駆られる。

 

 

① 片島紀男 『三鷹事件 1949年夏に何が起きたのか』 2005年 新風舎文庫 原著初版は1999年 NHK出版

② 清水豊 『三鷹事件を書き遺す』 

③ 高見澤昭治 『無実の死刑囚―三鷹事件竹内景助』 日本評論社 2009年

④ 小松良郎 『新訂版・三鷹事件』  同時代社 2011年

⑤ 梁田政方 『三鷹事件の真実にせまる』     光陽出版社、2012年 

 

 

このほか、三鷹事件再審を支援する会のホームページには、 ここ ▼ 

再審請求書/証拠開示命令申立書/再審理由補充意見書 がある

http://www.maroon.dti.ne.jp/mitaka-case/saishinseikyusyo.html

 

再審請求書(Word) 

http://www.maroon.dti.ne.jp/mitaka-case/doc/mitaka_saishinseikyusyo.doc

再審請求書(PDF) http://www.maroon.dti.ne.jp/mitaka-case/doc/mitaka_saishinseikyusyo.pdf

証拠開示命令申立書(PDF)http://www.maroon.dti.ne.jp/mitaka-case/doc/syoukokaiji.pdf

 

http://www.maroon.dti.ne.jp/mitaka-case/doc/syoukokaiji.pdf

 

再審請求理由補充意見書(PDF)

http://www.maroon.dti.ne.jp/mitaka-case/doc/syoukokaiji.pdf

 

つづく

 



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