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『世界』2018年10月号 岡真理 「「ユダヤ人国家法」制定」

2018年09月09日 | パレスチナ・イスラエル

    ▲『世界』2018年10月号 岡真理 「「ユダヤ人国家法」制定 成文法化された植民地主義」ほか

 

『世界』2018年10月号 岡真理 「「ユダヤ人国家法」制定 成文法化された植民地主義」ほか

 

『世界』2018年10月号 岡真理 「「ユダヤ人国家法」制定 成文法化された植民地主義」ほか

 

 

▲『世界』2018年10月号 岩波書店 定価850円+税

 

▲『世界』2018年10月号 目次1

▲『世界』2018年10月号 目次2

 

目次詳細を見てもらえばわかるが、『世界』10月のメイン特集は、原発問題・地震予知、安倍政治チェック、沖縄・基地問題など

 

目次を一瞥すると、私は、いきなりこの号の冒頭に掲載された岡真理

7月19日、イスラエルをユダヤ人の国民国家であるとする「ユダヤ国家法」が可決。ユダヤ国家の本質を覆ってきた「国民国家」という建前・・・無花果の葉は打ち捨てられ、剥き出しのレイシズムが牙を剥く。

「「ユダヤ人国家法」制定 成文法化された植民地主義

に釘付けとなってしまった。

 

これまで、イスラエルは、1948年、暴力(テロ)で国家を樹立してきたにもかかわらず、「中東唯一の民主国家」であると、イスラエル首相は世界にアピールしてきたのだが。

2018年7月19日、イスラエルは、パレスチナに対する不法占領の隠しようもない事実に合わせ、いかに国際的な非難を浴びようと、衰退するアメリカを人質にとり、すでに事実としてはあからさまだった植民地主義を「成文法化」して、「ユダヤ人の国民国家としてのイスラエル基本法」を国会(クセネト)で可決した。

この「ユダヤ人の国民国家としてのイスラエル基本法」はどのような法律なのだろうか。

世界のメディアは、この法成立の事実を伝えたが、扱いは小さく、うっかりすると見逃してしまうような小さな記事だった。

「ユダヤ人の国民国家としてのイスラエル基本法」を詳しく紹介した記事が見つからず、困惑していたのだが、ようやく岡真理が、書いてくれた。

 

▼世界』2018年10月号 掲載の 岡真理「「ユダヤ人国家法」制定 成文法化された植民地主義」の冒頭部分 (20-21頁)

 ▲世界』2018年10月号 掲載の 岡真理「「ユダヤ人国家法」制定 成文法化された植民地主義」の冒頭部分 (20-21頁)

 

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いずれ、このイスラエルの「ユダヤ人国家法」は、ドイツ・ナチスの「ニュルンベルク法」、アメリカの黒人や先住民を差別を合法化した「ジム・クロウ法」、「インディアン移住法」などと合わせ検討され、この法律の人種差別主義、植民地主義を徹底的に批判する論考が現れてくると思われるが、取り急ぎ、まず岡真理の指摘を抄録してみたい。

僅か3ページ程の分量であるが、全部転載することはできないのでこの法律の問題点をピックアップしてみる。

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 文章は大きく4段に別れ、これは編集部がつけたのかも知れないが、4つの見出しがあるので、これに従い記録する。 

1 アパルトヘイト法の誕生

「従来イスラエルは、自国の占領政策を「アパルトヘイト」と批判する者たちを「反ユダヤ主義者」と呼んで論難してきた。」(20頁)

「ユダヤ人の国民国家としてのイスラエル基本法」(以下「新法」)は、イスラエル国家自らがアパルトヘイト国家宣言をしたに等しいものだ。」(20頁)

「11条からなる新法は、エレツ・イスラエル(イスラエルの地。歴史的パレスチナの全土を指す)はユダヤ人の歴史的郷土であり、イスラエル国家は、ユダヤ人の国民国家であると規定(第1条)


「統一エルサレムを首都と定め(第3条)

「公用語をヘブライ語のみに限定(第4条これまで同じく公用語であったアラビア語は「特別の地位」に格下げされた)

「ユダヤ人入植地は「国民的価値を有し、、その建設と教化を推進すると宣言する。(第7条)


「もっとも根幹的な問題はイスラエル国家における民族自決をユダヤ人のみの権利と定めていることだ (第1条第3項)

「何が明文化されていないかも重要だ。(イスラエルの ※ブログ主註)独立宣言は新生国家が「宗教、人種、性にかかわらずすべての住民の社会的、政治的諸権利の完全な平等を保障し・・・・・・・国際連合憲章の原則に忠実であり続ける」と謳っていたが、新法に「平等」の文言は一切、登場しない。」 (21頁)

 

2  すでにあるユダヤ人国家の現実

「新法に表明されたユダヤ人優越主義に基づくパレスチナ人の差別やアパルトヘイトとは、今に始まったものではない。それは、ユダヤ国家の建国以来この70年間ずっと、この地の現実だった。」


「70年前、ユダヤ人国家イスラエルは、パレスチナ人75万人を暴力的に民族浄化して創設された(ユダヤ人の歴史家イラン・パペは、パレスチナの民族浄化が、シオニズム指導部によって組織的、計画的に実行されたことを、著書『パレスチナの民族浄化』で実証的に明らかにしている。このときイスラエル領となるパレスチナの各地で、パレスチナ人住民の集団虐殺が起きている。ユダヤ国家の建国はそのsなかに宣言された。」

「そこに表明された新生国家の二つの理念、「ユダヤ国家かつ民主国家」をイスラエルは標榜してきたが、この二つは根本的に相いれないものだ。」 (22頁)

「「ユダヤ国家なら、ユダヤ人は特権を有することになる。」

「住民が完全に平等なら「ユダヤ国家」ではありえない。」 

「イスラエルの存在理由が「ユダヤ国家」である以上、イスラエルが真に民主国家であることは原理的に不可能だ」 (22頁)

・・・・・・

「ユダヤ国家の70年の歴史は、イスラエルがデモクラシーではなく、ユダヤ人の優越に基づく「エスノクラシー」(特定の民族が他の民族が他の民族を支配する政治形態)にほかならないことを証明している。

・・・・

「新法の制定を待つまでもなく、イスラエル国家の内実はつとに、ユダヤ人の優越に基づく、ユダヤ人によるユダヤ人のためだけの「ユダヤ人国家」だった。」 (23頁)

 

3 無花果の葉

 「イスラエル国家はこの70年間、「ユダヤ国家かつ民主国家」という両立不能な虚偽の看板を掲げ続けた。それは、アダムとイブの「無花果の葉」のようなものだ「ユダヤI国家」の無実を信じたい者たちは、この「無花果」の葉がある限り、王様の醜悪な裸に気づかないふりをしていることができた。」 (23頁)

 ・・・・

新法がイスラエルの民主主義を殺したのではない。そのようなものは初めから存在しなかった。」

「イスラエルのハアレツ紙のコラムニスト、ギデオン・レヴィは皮肉を込めて言う。この「真実に満ちた」新法は、70年間演じられてきた「偽善」と「茶番」に終止符を打ったと。」 (23頁)

4 すべての市民のための国

 

「シオニズムに根差したユダヤ国家の本質が植民地主義にほかならないことを自ら暴露した・・・・新法制定は・・・・・シオニズムの終わりの始まりかも知れない。」 (24頁)

・・・・・

(南アフリカの)「アパルトヘイトなき虹色の共和国も、レイシズムの暴力のただなかで夢見られることから始まったことを忘れてはならない。」  (24頁)

 

 

 続く



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