讃岐うどんやラーメン食べ歩きと、旅のブログ

讃岐うどんの食べ歩きが好きです。また国内・海外問わず旅が好きなので、ぼちぼち書いていこうと思います。

夏の怪談8 「遠洋漁船」

2013-08-08 20:00:00 | 日記
 本人から聞いた話である。今は会社勤めをやっているが、若い頃は遠洋漁船に乗っていたということだ。昔の船員は羽振りが良かったそうだ。出港すると半年以上戻れないときもあるが、給料は抜群に良かったと言っていた。使い所もないしな。何年か船に乗っていると、簡単に家が建ったそうだ。数軒持っていたが、結局他人の借金の保証人になったばっかりに、取られてしまったとのことだ。お~、怖い話や。


みや「これは、船に乗っていたときの話や」
N村「だいぶ昔のことですね」

 捕った魚は、船倉の大きな冷凍庫に保管する。あるとき、冷凍庫の温度が上がり始めた。おかしいと思った機関長は、若者に冷凍庫を見に行くように指示した。それと同時に、冷媒のフロンを追加で流し込む操作を行った。

 彼は冷凍庫のハッチを開けて、船倉に降りて行った。そして戻らなかった。おかしいと思ってハッチをのぞき混んだら、異様な空気が充満していた。息を止めて中に入った。視界はなんとかあるものの、空気が重くまるで水中を歩いているような感覚だった。若者が倒れていたのが見えた。息を止めたまま助け出そうと思ったが、急激に体力と意識が遠のく感覚があった。このままではまずいと思って、若者の救出はあきらめ、鉄階段をあわてて上りハッチから飛び出した。



 飛び出した瞬間に、気を失った。



 次の瞬間、自分自身を上から眺めいてる自分がいた。倒れた自分の周りに人が集まっている。なんとか蘇生させようとして、人工呼吸をしていた。それをじっと見ていたそうだ。どのくらい時間がたったのか分からなかったが、気がついたら船のベットの上に寝かされていた。


 船倉の若者は、そのまま冷凍されて帰港したらしい。ん~、魚と一緒に冷凍されるのはイヤだな。

 えっと、儲かって金があるからといって、むやみに他人の保証人になることは危険です。みんなハンコを頼むときは「絶対に迷惑はかけない」と呪文のように言いますが、逃げられて財産を失った話は、ごまんとあります。注意一秒、けが一生。ガス漏れしている部屋にも入ってはいけません。
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