讃岐うどんやラーメン食べ歩きと、旅のブログ

讃岐うどんの食べ歩きが好きです。また国内・海外問わず旅が好きなので、ぼちぼち書いていこうと思います。

夏の怪談6 「デパートの子供」

2013-08-06 20:00:00 | 日記

 これは、協力会社の人から聞いた話である。昔、K県のあるデパートが火災になった。昔のビルは防火体制もあまりなく、避難誘導も適切に行われなかったので、多くの犠牲者が出た。デパートに限らず、高層ビルの下の階で火災が起きれば、上の人の逃げ道はあまりない。じりじり焼け死ぬのはイヤなものだ。

 当然そのデパートは閉店となったが、ビル自体は残り改修され、名前も変わり営業を再開した。もう何十年も前の話であり、そのことを知っている人も多くないかもしれない。また、あえてそれを口に出すこともないだろう。

 ビルの機器メンテナンスで、行ったときのことである。客商売なので、昼間に作業をするわけにはいかない。少し大がかりな工事だと、閉店から明け方までが作業時間となる。事前に打ち合わせを行い、閉店時間をめがけて訪れたのである。

A氏「すいません、朝までの予定で入ります。宜しくお願いします」
警備「あ~、はいはい注意して作業してね」
A氏「はぃ、大丈夫です。開店時間前にはかたづけますから」
警備「それとね、夜中に声がしたくらいでは呼ばないでね」
A氏「えっ、どういうことですか?」
警備「まぁ、その、あれだ。火災とかそういう緊急事態以外は、大丈夫だから」

 よく分からなかったが、仕事にかかることにした。


A氏「何か、良くわからないけど、声がするらしい。その程度では、驚くなと」
B氏「なんすか?」


 深夜、2時を過ぎたあたりだった。仕事も順調に進んでいる。

 パタパタパタ・・・・・


B氏「なんか、います? ネズミとか」
A氏「さぁな、いるかもしれんな」


 パタパタパタ・・・・ 子供が走るような音がする。



B氏「なんか、いるっす」
A氏「仕事、続けろ。開店までに終わらすぞ」
B「でも、いるっす」
A氏「気にするなと、言われただろ」




 ケタケタケタ・・・・ 子供のような声で、笑い声が聞こえる。





A氏「お疲れ様でした、無事終わりました」
警備「あ~、ご苦労さん」


 空耳かもしれないが、確かに二人とも、子供の笑い声を聞いたといった。決して、一人では、深夜に作業に行ってはいけない。


 こういった、ビル関係の怪談は良くある話である。学生時代、M駅前のスーパーでバイトをしていた時の話である。8階建てのそのビルは、だいぶ古い作りのようだった。ビルの1階のひさし部分が、少しへこんでいた。

H松「知ってるか、あそこはな屋上から投身自殺して、人がぶつかった跡なんや」
N村「まじかぁ、まぁ言われてみればそういう風にも見えるわな」

H松「それに、最上階の更衣室に大きな鏡があるやろう。夜中になると、あの鏡の中に女の人の姿が現れるんや」
N村「鏡、どかせばいいのに」
H松「片付けようとしたら、事故が起こったりするんで、そのままという話や」

 年末商戦で、バイトのくせに帰りが深夜になった。当然更衣室で着替えて帰るのだが、薄暗い更衣室に、その大きな鏡はあった。あまり見たくなかったが、大きすぎて目に入ってしまった。そこには女の人ではなく、ちょっと疲れた自分がいた。

 ちゃんちゃん。

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