後藤さんとまち歩きも後半、いよいよ武家屋敷へ向かいます、
春には枝垂れ桜で大変な賑わいの区画にです。
市役所角館庁舎のある「火除け」といわれるゾーンを越えて入ります。
武家屋敷通りへ入るといきなり道幅が広くなります、その幅約11mだそうです。
その両側からとてつもなく大きな樹木がせり出しており、場所によっては中央で交差しています。
これは壮観です、またこの時期緑がとても濃いですね。
ですからこの武家屋敷通りに来ると今までとても強かったお日様の光がカメラでいう一段低くなります。
この通りの外で撮っていたカメラの設定のままではじめの頃は手振れの画が出てビックリ、
気がつけばシャッター速度が半分から1/3くらいまで落ちてます(笑)。
ただしそれ故に涼しい場所も多いです。
さっそく小田野家から見てまわりました、竹を使った柵をきれいに配したアプローチ、
その中には笹がこれでもかというくらい植えられており、背の高い木々も鬱蒼というくらい。
屋根の木羽葺きなどの特徴から玄関の入る場所が位によって区別されるなど説明をいただく、
そこを歩きながら面白いスポット、下の2つの灯籠に当たります。
下弦と上弦の月をそれぞれあしらった灯籠が並んでいます、
『なぜこんなに近くに置かれたのでしょうね』、謎だそうです(笑)。
そのまま庭づたいに河原田家へ入れます、素敵な回廊のようにになっており、
こちらのお屋敷もそうですが、大きな木が塀の近くにどんと立っております、
私はこの大地にしっかり根を張った様はとても美しく感じました。
周りに苔があり、根の膨らんだ部分に下草をまるで飾りのように配しております、
木の力強さ、生命力を感じさせてくれます。
そして後藤さんお気に入りの景色がこちら、朝日が古さを美しさに変えています。
河原田家の文庫蔵だそうです、光の当たっている下半分がこの角度からはとても美しかったです。
こちらの建物には変わった印がついています、河原田家の家紋は三つ巴だそうですが、
これはその三つ巴の裏家紋といわれる形だそうです、デフォルメ加減がオシャレですね。
そして屋根には先に見た雪止めも見えますね。
河原田家の外に出ると、門の左側に「覗き窓」があります、来訪者を中から品定めしたんでしょうねえ、
それほど大きいものではないのですが、しっかりした作りで飾りも手が込んでます。
話が武家屋敷の「黒塀」になった時、『よく見てくださいね』といわれた、
一様に見えるこの黒塀も高さ、上部の形、下の支えの部分が全く違っているのです。
さらに『ここから見て下さい』と…、
まっすぐに見える通りもこのようにすこ~し曲がってます、
「人生と一緒かな」とは後藤さんの弁、なるほどです。
事前に角館を色々調べている時にとても気になった一枚の写真があった、
それは武家屋敷の名だたる屋敷の門ではなく、南の外町界隈のお屋敷のものでもない。
どこだろうと思っていたのだが、河原田家から次の滑川家へ向かう途中にあるお屋敷だった、
朝5時の早朝散策にて発見した、まさに「この門だ!」
表札には「非公開」となっている、外から見られるだけなのだが、この緑の木々に覆われて、
開いた門の両扉と屋根と2つ置かれた柵に囲まれた四方形の中に素敵に配置された庭石と植木。
私はこちらの場所になぜか惹かれ、二日間で都合5回写真を撮りに来てしまうくらい惚れ込んだ。
私的な写真のタイトルは『非公開という名の開かれた美』である。
こちらはやはり後藤さんお気に入りの滑川家、この時間帯がまたいいという。
確かに東からの朝日によってこちらからは門や塀などが黒い影になり、
借景とした奥の花場山の緑が青い空とともにクッキリと目に飛び込んでくる。
この時間帯ならではである。
その門の前にできている秋田蕗だ、とても大きな葉をつけている。
みごとなものだった、またいい形に葉をつけていますよね…絵になります。
この大きな木は外から見た岩橋家の柏の木、それは太い幹で葉の大きさも半端ないものだ。
手のひらを一緒に移しておけばよかったと思うほど(笑)、天然記念物となっている。
この柏は古い葉が新しい葉が出てくるときまで落ちないで、新しいものが出てから落ちるということで
長く家督が続くという事にたとえ、縁起のいい樹木とされているらしい。
こちらの岩橋家では古い井戸や蔀戸などの説明を聞くことができた。
ここで東勝楽丁から枡形角を経て表町下丁へ入りました。
ここのシンボル「赤いポスト」が水路に映るのを見て後藤さんいわく、
「上が現在へのポスト、下のおぼろげに写ったのが過去へのポスト」という男のロマン。
まずはおすすめの青柳家の医薬門へついたと同時に『咲いた!』のひとこと、
写真中央の白とピンクの花が見えているのが「ハコネウツギ」というものらしい。
初めて目にした花だが2色の花が同居している、と言うか白からピンクへ色が移ろっていくらしい。
とてもきれいだったが、後藤さんも咲いたのを確認したのがこの日が最初らしいです(笑)。
この薬医門に施された素晴らしい「懸魚(げぎょ)」も拝見させていただきました、
中は午後にゆっくり見学させていただいた。
おとなりの石黒家では塀越し門越しに素敵な景色を紹介いただいた、
というのもこちらの石黒家では有料だが、しっかりとした屋敷の説明がたっぷり聞けるのである。
したがって後藤さんからは角館紀行で紹介した素敵なアングルを幾つか教えていただいた。
門越しに見える素敵なカモンと飾り、そして大きな石灯籠(右)、相当な年代モノですね。
この青柳家との境に見える景色も時代を感じさせてくれる味わいのある風景です。
こうして幾つもの蔵を見てくると蔵の窓ひとつとっても家・屋敷によって全然造りが違い、
また周囲の佇まいが素晴らしいのでついつい引き込まれるような魅力を感じます。
この木は外から見た石黒家の樅の木、武家屋敷の中で一番の大木だそうです。
幹周り4.4メートル以上、樹齢300~350年くらいだそうです、みごとですね。
ちょうどこの石黒家の案内をされている時に、現在の石黒家12台目の当主のご子息(13代目)とお会いした、
後藤さんがご挨拶しておられたが、このプランのあとにお屋敷の中を拝見した際にも会うことができました。
お屋敷最後はこちらの石黒(恵)家でした、どちらかといえば昭和の匂いがしますね。
近年大変な思いをして手直しをしたということで、写真でも家の基礎が新しくなっており
近代的な網目の通風口になっています。
そのために家全体を持ち上げる大掛かりな改修工事になったそうです。
後藤さんが見せてくれた面白いところが写真に見える戸にはめられたガラス、
「この適度な歪みがなんともいえません」という、なるほどこうして見える映った景色が凸凹になってる、
いつも見ている人じゃないと気が付かないですよね、さすがです。
さて武家屋敷の見学がひと通り済んで、最後に向かったのがこちらの「平福記念美術館」です。
こうした比較的近代的な建物が、武家屋敷の中にあるという不思議、
でも後藤さんとしては「昔から町に一緒に暮らしている馴染みの外人さん」という感じか。
その素晴らしさは最後に味わうことになる…。
素敵な庭を通ってエントランスに向かいます。
実は後藤さんがこの平福記念美術館にて、すてきなサプライズを演出してくれたのである。
この入口の右にベンチが置いてあります、そのベンチに後藤さんが
「こちらへ腰掛けてみて下さい」と私達を誘います・・・、
その視線の先には回廊越しに朝日を受けた庭園の木々が見られます、
それは素敵な景色ではありますが、なにか特別なものがあるのかなと凝視しました、
緑青の壁が絶妙に景色にマッチします、派手すぎず地味でもなく適度な存在感を示します。
そして私達も腰掛けて後藤さんの話に耳を傾けていたのですが、おもむろに後藤さんが
「さあ、それじゃあちらへ歩いてみましょう」といって腰を上げた、私達もその後へ続きます。
そして上の写真の回廊をくぐって「外へ出たとたん目に入ってくる庭園」を見て鳥肌が立ちました!
上の写真がその景色なんですが、写真にしてしまうとそれだけの景色です、
ですが!この瞬間の感覚、世界、感動、何といえばいいのかわかりません。
でも確かに感じました!目の前にまさにフワーッと視界が広がるにつれて目に入ってくる
朝日を浴びた木々の緑。
そして「何かの空気に全身が包まれる感触」、まさにこれです。
後藤さんが体験させたいと思っていらしたものだとしたら間違いなく追体験できました。
今これを書いている時点でも思い出すと鳥肌が立ちます、
この空気感は言葉や写真では 伝えきれませんね、ぜひご自身で味わって下さい。
素晴らしいですよ、くれぐれも晴れた日の早朝に訪ねてみて下さい。
『角館紀行ブロガー後藤さんとまち歩き』はまさに素晴らしいクライマックスで幕を閉じた。
下のは近くのゴール地点「ぷかぷ館」にて後藤さんに撮ってもらった写真です。
このぷかぷ館でギャラリーを見学して桧木内川の見える涼しい窓際にて
美味しいアイスコーヒーをいただきました。
するとギャラリーの小松様より「結婚30年おめでとうございます」とお声をかけていただき
なおかつ春限定の「さくらロール」をご馳走になりました。
ほどよい甘さで目にも美味しい素敵な「さくらロール」でした、妻もとても喜んでいました。
暑さの中での歩き疲れも吹っ飛ぶ美味しさでしたよ、ありがとうございました。
ぷかぷ館を後にしたのが午前10時過ぎ、なんと中身の濃い2時間だったことでしょう。
それに仙北TICのプランといえども、ブロガー後藤さんやぷかぷ館の小松さんの
旅人に対する「おもてなしの心」、これにはほんとうに感激いたしました。
ぜひたくさんの方に体験していただきたいと思っています。
次からは角館で感じたことや感動の一枚(シーン)などをご紹介できればと思います、
思い出の角館へつづく・・・、