恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

7/9(火)鈴本演芸場夜席(主任:三遊亭天どん)

2019年07月10日 | 噺とか
鈴本の7月上席は天どん師匠がトリを務め、他の顔付けも何とも魅力的。
一度は足を運ばなかれば、と思いながら気が付けば9日。
何とか仕事に区切りをつけて久々に定席へ、しかも夜席へまいります。
平日の夜席ということもあって、客席はほどほどの客入り。
後刻、これが「精鋭のお客様」と評されてしまうのですが・・・。

ぐんま「金明竹」
めぐろ「ニワトリ」
翁家社中「太神楽」
駒 治「生徒の作文」
扇 遊「初天神」
ニックス「漫才」
小ゑん「ほっとけない娘」
白 酒「粗忽長屋」
-仲入り-
のだゆき「音楽パフォーマンス」
歌 奴「西行鼓ヶ滝」
正 楽「紙切り」(女子バスケ・パリ祭・家庭菜園)
天どん「船徳」

前座のぐんまさんは久しぶりに拝見しました。
兄弟子の青森さんが二つ目になって久しいですが、
こちらにも頑張ってほしいものであります。
古典の「金明竹」ですが、かなり腕を上げられたかな、と。

めぐろさんの「ニワトリ」は初めて聞く新作。
焼き鳥屋を訪れて、そこで出会うニワトリを助けて・・・、
というところから始まるありがちな展開ですが、なかなか面白い。
なんというか、もっとウケてもいいような気もするのですが、
なんせ客席もまばらで、どうもつかみどころのない感じでありました。

駒治師匠の「生徒の作文」も久しぶりに聞きました。
改めて鉄分の多い落語だと思いますね。
テーマはそっち系ではないわけですが、端々にちりばめられているという。
ファンやマニアにはたまらないのですが、一般ウケするのかしら。

小ゑん師匠は久しぶりの「ほっとけない娘」でした。
ロングバージョンもあるということなので、どこかで聞いてみたいものです。
客席の空席に目をつけて、光る背もたれのビニールが星空のよう、とは何ともロマンチック。
弥勒菩薩や金剛力士像の所作はもう芸術の域ですね。

白酒師匠は相変わらずの毒舌で「粗忽長屋」へ。
行き倒れ→粋なオーレ あたりが油断したところに可笑しな笑いを呼びます。
それまで硬かった客席が緩んだ瞬間でもありました。

仲入り後、のだゆきさんに続いて歌奴師匠の登場。
本来は白鳥師匠と百栄師匠の交互で、この日は文蔵師匠だと思ったのですが、
出囃子を聞いてびっくり。
後で調べて分かりましたが、文蔵師匠は歯の治療のため休演なんだそうな。
そういう時でも手堅くいい話を聞かせてくれる歌奴師匠、さすがです。

天どん師匠、Twitterでは新作と古典の五分ということで、
どちらをかけてくるかなぁと思っていましたが、ここでまさかの「船徳」でした。
天どん師匠の古典らしい古典を聞くのは本当に久しぶりかもしれません。
(先日の「大師匠噺」での「不精床」は置いといて)
やたらと自分が大好きでナルシストな若旦那がある意味で今風にアレンジされており、
船に乗る二人の客のやり取りもまた秀逸。
新作でなくて少し残念だなぁとも思いましたが、
終わってみるとなんとも満足感のあるトリネタでありました。

なかなか夜席に足を運べなくなりましたが、こういうのんびりした空気こそ一番。
ゆったりとした贅沢な時間を過ごさせてもらいました。

恐懼謹言。
コメント
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