しかしまた右から左、左から右へと道を進むだけでした。なんとなく歩いているところ、途中で横たわっている木につまずき、腰を曲げた前傾姿勢になりながら大またで「おー、とっ、とっ、と」状態で走った状態みたくなりました。道は細く、横は急斜面。一歩道を踏み外すと、あの勢い、あの急斜面では転落してもそう簡単に止まらなかったと思います。アドレナリンが出まくりました。一瞬にして緊張状態です。この旅行において、もっとも危険な瞬間でした。もしあそこで転落していたら・・・・・ニュースになっていたかも?(そう言えば、保険はクレジットカードに付いているものだけでした)
その後、一度休んだ割には疲れが出ました。足取りも重く、腰に手をおいて途中立ち止まることが何度かありました。途中の岩に寄りかかって座っていると、ドイツ人カップルの女性に「大丈夫?」と話しかけられたので、さすがに疲れたと言ってしまうくらい疲れていました。もう私も若くないな、とこの時悟りました。
上を見上げると頂上らしき岩が見えるのですが、歩いても歩いても逃げ水のようにそこには着きません。それでも次第に山道に岩や大きな石が増えてきたことが唯一の救いでした。時々、手を使って登りましたが、多くの人は本当にこの道を通ったのか?、と思うこともありました。
ようやく頂上らしきところに来た時、石の上には年配の方のグループがおいしそうに弁当を広げていました。こんな景色のいいところでの弁当とは、かなりうらやましかったです。こちらは何も持っていないし・・・
もう少し先に進んだところで私も一服。そこから見えた景色はフュッセンの街を見渡す素晴らしい景色でした。
ノイシュヴァンシュタイン城とホーエンシュヴァンガウ城が小さく見えますが、見えませんが手前の山の中腹がさっきいたところと思います。う~ん、随分と登りました。
休んでいる先にいたのは、先程のドイツ人のカップル。「水、要る?」と聞かれたので、本音としては欲しかったのですが、2人の山登りでは必要なモノの水なので、断りました。そうすると、「かなり疲れている様に見える」とのこと。確かにこの時点で横になることができれば、即寝ることができる状態でした。
この時点で私の水はなくなっていたので、水を分けてもらうことにしました。文字通り、「命の水」でした。向こうは合せて2.5Lくらいの水を準備しているのに対して私は500mlの半分くらい・・・・「勢いで登っちゃったもので」、と冗談も言えない体力の消耗具合でした。情けないし。
そして、何とお菓子ももらいました!この時点でお昼を過ぎているのに空腹だったので、本当に救いでした。
この水とお菓子、むっちゃおいしかったです!!水がこれ程おいしいとは思いませんでした。お菓子は景色を見ながらじっくりと味わって、頂きました。この時、私の後姿からフュッセン周辺の写真に撮っていたらなかなかサマになっていたと思います。
(神から頂いた水とお菓子)
お二人のお名前を聞いて、顔を忘れないように写真を撮らせてもらい、しばし休息。ドイツに神がいました。
後日談ですが、日本に戻ってからメールが着ていて、この後さらに登った先にも山があるのですが、その山で男性がプロポーズされたとのこと!私はお二人の記念すべき日に会うことが出来て、本当に嬉しいです。あの時、水と一緒に幸せも分けてもらえたかもしれませんし。多分・・・・・
メールに添付されていた私の写真はぐだぐだな顔でした。一目で疲れていることが分かりました。今さらながら、よく頑張った、自分!よく生きて帰ってきた!
さて、ここで引き返さず、というか引き返そうにも引き返せないところまで来ているので、もう行くところまで行くしかないという判断をしました。引き返す勇気も必要だと思いましたが、匹夫の勇でも行こうと考えました。もう1つ上にある山へ・・・・・
To be continued・・・・・