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現代版ゾルゲ(世紀のスパイ)が釈放された???   米国の機密情報をばらしたジュリアン・アサンジが自由の身に

2024-06-27 07:14:36 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)6月26日(水曜日)弐
        通巻第8306号   
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 現代版ゾルゲ(世紀のスパイ)が釈放された???
  米国の機密情報をばらしたジュリアン・アサンジが自由の身に
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 ジュリアン・アサンジは突然釈放された。司法取引に応じて自由の身となり、英国のベルマーシュ刑務所から出所した。英米は国家安全保障の基本を忘れたようだ
すぐにサイパンへ向かう飛行機に搭乗し英国から去った。ロンドンのエクアドル大使館にたてこもった期間を含めると合計十四年を孤独に過ごした。
西側の左翼ジャーナリズムは勝ち誇ったように報道した。彼を支援してきたのは国家破壊を企む左翼団体と、それに同調するメディア、脳幹が汚染された自称「ジャーナリスト」たちである。

ジュリアン・アサンジは五年間拘留されていた英国の刑務所を6月24日の朝にでた。
米国司法省との長期にわたる交渉があった。27日に米国北マリアナ諸島にあるサイパン法廷に出廷し、すでに服役を終えた期間を米国は量刑として言い渡される。つまり米国の刑務所での刑期は免除される。

暴露サイト「ウィキリークス」の創始者であるアサンジは、政府の腐敗と人権侵害に関する機密ファイルを公開したと『仲間』から賞賛されているが、国家の機密を漏洩したことは重罪ではないのか。

今年初め、オーストラリアのアンソニー・アルバニージ首相は、「米国がアサンジ氏に対する訴訟を終結させる方法を見つけられるよう希望する」と述べ、同国の議員らはアサンジの帰国を認めるよう求める動議を可決した。

ドイツのオラフ・ショルツ首相も、英国の裁判所はアサンジを米国に引き渡すべきではないと発言していた。

 アサンジの犯罪とは何か。
かれは国家安全保障の機密文書を不法に入手し、流布した、本来なら18の罪状で有罪となれば、禁錮175年の刑を受ける可能性があった。アサンジは「米国では公正な裁判を受けられない」と主張していた。

 何を漏らしたのか?
2009年に米陸軍の下級情報分析官チェルシー・マニングと共謀して国防総省の機密コンピューターシステムにハッキングし、盗みだした機密資料は膨大な量におよび、ウィキリークスによってオンラインに投稿され、西側諸国の安全保障に深刻な損害を与えた。漏洩した情報の中には、イラクとアフガニスタンで米国に情報を提供していた人物の名前も含まれていた。

 ウィキリークスは2010年から翌年にかけてイラクやアフガニスタンでの戦争に関する文書約50万点。国務省公電約25万点などをネットに漏洩した。そのなかには米軍ヘリがイラクで民間人を誤って射殺する映像も含まれていた。16年の米大統領選では、ロシアがサイバー攻撃で民主党やヒラリー・クリントン候補の陣営から入手した電子メールの内容をウィキリークスが暴露した。ロシアとの繋がりが露呈した。
 そうだ、かれは「現代版ゾルゲ」である。


 ▼アサンジはスノーデンを手下にしてロシアのエージェントだった

 当時、米司法省の国家安全保障担当トップのジョン・デマーズが述べた。
 「ウィキリークスの創設者は、伝統的な報道機関として活動したことは一度もなく、その代わりに、検討や文脈なしに機密文書のすべてを自身のウェブサイトに公開し、政府にはいかなる秘密も知る権利はないという自身の哲学を推し進めた。責任あるジャーナリストであろうとなかろうと、戦場にいる機密情報源だと知っている個人の名前を故意に公表し、彼らを最も重大な危険にさらすようなことはしないだろう」

ジョン・R・シンドラ(元国家安全保障局上級情報分析官)が書いた(『ワシントン・エギザミナー』、4月11日)
「アサンジは血に染まっている。彼は、2013年にエドワード・スノーデンがロシアに亡命する際に重要な役割を果たした。スノーデンは、100万件以上の米国国防機密文書を盗み出し、モスクワにたどり着いたCIAの契約職員だった。スノーデンは現在もモスクワに留まっている。スノーデンは10年以上にわたり、アサンジがロシアの言いなりになっているという現実を露呈した」

シンドラは続けた。
「アサンジはウラジミール・プーチンの部下であり、クレムリンのエージェントだ。米国の諜報機関は何年も前からこのことを知っていた。当時のCIA長官マイク・ポンペオは 2017年4月に率直にこう説明している。『今こそ、ウィキリークスの実態を明らかにする時だ。ウィキリークスとは、ロシアのような国家主体にしばしば支援される非国家の敵対的諜報機関である。我々の諜報機関は、ロシアの軍事情報機関であるGRUが、民主党全国委員会に対するサイバー作戦を通じて入手した米国の被害者のデータをウィキリークスで公開したと断定した。報告書は、
ロシアの主要プロパガンダ機関であるRTがウィキリークスと積極的に協力している』」。

 ▼バイデン派しょせん「口だけ番長」

 さらに続ける。「アサンジを釈放し、罪の裁きを逃れさせることは、世界中でプーチンが行った数々の攻撃的な行為に報いることになる。多くの欧米人がロシアや中国のような独裁政権の側に立つよう促すことにもなる。アサンジの奇妙な経歴は、世界的な有名人となった。欧米には、彼に倣いたいと思う不満を抱くナルシストな若者が大勢いる。複数の地域で緊張が高まり、第三次世界大戦の可能性が迫っている現況のもとにアサンジを釈放するタイミングは最悪だ」。

 アサンジを批判する西側のメディアが少ない。
 「機密情報を漏らすことで米国の安全保障を損ない、情報提供者(すでに相棒は37年の刑を受けている)を危険にさらした」とする囂々たる非難も、左翼ジャーナリズムは、「政府の不正を暴露した」と真逆の報道に興じた。

 アメリカでこの「寛大なる」司法取引に批判はあるが、激昂の声が聞かれない。
 ヒラリーは膨大な機密書類を自宅に持ち込み、自分のパソコンで捜査し、スマホにも収録していたが、バレると金槌で壊した。ところがヒラリーへの判決は「軽率な行為だが犯罪性はない」。それでいてフロリダ別邸に機密書類をもちこんだトランプだけを起訴し、おなじくガレージ一杯に機密書類を持ち込んでいたバイデンは「耄碌していた」とお咎めはなかった。FBIも司法省も腐っている。

バイデン政権は国家安全保障の基本を忘れたようだ。事件はオバマ政権時代だが、起訴したのはトランプ政権になってからだった。国家機密労演が軽犯罪並みとなれば、水面下の外交工作なども微妙に変化せざるを得なくなるのではないのか。
釈然としない結末である。

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