わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
頂門の一針 6515号
頂門の一針 6515号
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広島G7の成果とサプライズ
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高橋洋一
【日本の解き方】原爆資料館視察の不足を補って余りあるゼレンスキー氏訪日 中露の孤立ぶりを際立たせたインドとの握手 夕刊フジ令和5年5月25日号
21日に閉幕した先進7カ国(G7)首脳会議ではどのような成果があったのか。日本として得るものは大きかったのか。
筆者は、自分のYouTube「高橋洋一チャンネル」で「広島サミットの注目は原爆資料館に連れて行けるかどうか」だと提示した。
そこでは、広島でしかできないこととして、G7首脳を原爆資料館本館に連れて行けるかどうかを挙げた。その上で、核廃絶は長期的な目標として、それまでは核保有国の責任、核共有・核抑止に議論を持っていくべきだとした。他のネット番組では、原爆資料館本館に連れて行き、それを全世界に発信できるかどうか、バイデン米大統領が原爆という戦争犯罪に対して謝罪するかどうかなどもポイントと言った。
実際には、G7首脳の原爆資料館視察の中身はほとんど非公開だった。漏れ聞くところによると、視察したのは本館ではなく東館だったようだ。各国首脳の反応も限定的だった点はやや不満が残るが、原爆資料館にG7首脳全員を連れて行った点は評価できる。
その後、ウクライナのゼレンスキー大統領の訪日が急遽発表された。これは大きなサプライズであり、原爆資料館視察の足りないところを補って余りがあったと言ってもいいだろう。
それ以上に、衝撃だったのは、ゼレンスキー氏がインドのモディ首相と会談したことだ。特に、両者の握手の写真が世界に発信されたのはすごい。もちろん、インドはどの国とも等距離に外交するので、西側にくみしたとは簡単にいえないが、それでもロシアには痛い写真だ。これだけでも、今回の広島サミットは開催意義があっただろう。
今回の成果文書であるG7広島首脳コミュニケには、1,ウクライナ2,核軍縮・不拡散3,中国問題などが盛り込まれた。
1,では、ロシアは、進行中の侵略を止め、国際的に認められたウクライナの領域全体から即時、完全かつ無条件に撤退せよ、それまで、G7は支援するというものだ。
2,は、将来目標は核のない世界だが、それまでは核保有を 認めて核軍縮現実路線だ。
3,は、中国に対してさまざまな問題を指摘している。
これに対し、名指しされたロシアと中国は反発している。もっとも、今回のサミットには、先進国のG7だけではなく、豪州、ブラジル、コモロ、クック諸島、インド、インドネシア、韓国、ベトナムの首脳の参加を受け入れたので、中露の孤立を際立たせた。
3,中国問題のところでは、中国に対し、「ロシアが軍事的侵略を停止し、即時に、完全に、かつ無条件に軍隊をウクライナから撤退させるよう圧力をかけることを求める」とされたのもよかった。
これで、岸田文雄政権の支持率は上がるだろう。株価上昇、コロナ減退という環境で、安倍晋三元首相1周忌、懸案のLGBT法案もスキップできるという「惑星直列」ともいえる解散・総選挙の好機だが、岸田首相はどう判断するのだろうか。(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)
広島G7の成果とサプライズ
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高橋洋一
【日本の解き方】原爆資料館視察の不足を補って余りあるゼレンスキー氏訪日 中露の孤立ぶりを際立たせたインドとの握手 夕刊フジ令和5年5月25日号
21日に閉幕した先進7カ国(G7)首脳会議ではどのような成果があったのか。日本として得るものは大きかったのか。
筆者は、自分のYouTube「高橋洋一チャンネル」で「広島サミットの注目は原爆資料館に連れて行けるかどうか」だと提示した。
そこでは、広島でしかできないこととして、G7首脳を原爆資料館本館に連れて行けるかどうかを挙げた。その上で、核廃絶は長期的な目標として、それまでは核保有国の責任、核共有・核抑止に議論を持っていくべきだとした。他のネット番組では、原爆資料館本館に連れて行き、それを全世界に発信できるかどうか、バイデン米大統領が原爆という戦争犯罪に対して謝罪するかどうかなどもポイントと言った。
実際には、G7首脳の原爆資料館視察の中身はほとんど非公開だった。漏れ聞くところによると、視察したのは本館ではなく東館だったようだ。各国首脳の反応も限定的だった点はやや不満が残るが、原爆資料館にG7首脳全員を連れて行った点は評価できる。
その後、ウクライナのゼレンスキー大統領の訪日が急遽発表された。これは大きなサプライズであり、原爆資料館視察の足りないところを補って余りがあったと言ってもいいだろう。
それ以上に、衝撃だったのは、ゼレンスキー氏がインドのモディ首相と会談したことだ。特に、両者の握手の写真が世界に発信されたのはすごい。もちろん、インドはどの国とも等距離に外交するので、西側にくみしたとは簡単にいえないが、それでもロシアには痛い写真だ。これだけでも、今回の広島サミットは開催意義があっただろう。
今回の成果文書であるG7広島首脳コミュニケには、1,ウクライナ2,核軍縮・不拡散3,中国問題などが盛り込まれた。
1,では、ロシアは、進行中の侵略を止め、国際的に認められたウクライナの領域全体から即時、完全かつ無条件に撤退せよ、それまで、G7は支援するというものだ。
2,は、将来目標は核のない世界だが、それまでは核保有を 認めて核軍縮現実路線だ。
3,は、中国に対してさまざまな問題を指摘している。
これに対し、名指しされたロシアと中国は反発している。もっとも、今回のサミットには、先進国のG7だけではなく、豪州、ブラジル、コモロ、クック諸島、インド、インドネシア、韓国、ベトナムの首脳の参加を受け入れたので、中露の孤立を際立たせた。
3,中国問題のところでは、中国に対し、「ロシアが軍事的侵略を停止し、即時に、完全に、かつ無条件に軍隊をウクライナから撤退させるよう圧力をかけることを求める」とされたのもよかった。
これで、岸田文雄政権の支持率は上がるだろう。株価上昇、コロナ減退という環境で、安倍晋三元首相1周忌、懸案のLGBT法案もスキップできるという「惑星直列」ともいえる解散・総選挙の好機だが、岸田首相はどう判断するのだろうか。(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)
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