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半導体は生産過剰なのか、まだまだ発展余地はあるのか    中国、一部半導体自製化に成功、マイクロンを閉め出した

2023-05-28 16:05:58 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)5月28日(日曜日)
       通巻第7769号  <前日発行>
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 半導体は生産過剰なのか、まだまだ発展余地はあるのか
   中国、一部半導体自製化に成功、マイクロンを閉め出した
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 米国の対中ハイテク輸出規制に対抗して「米国マイクロンの製品が中国の国家安全に重大なリスクを与える」という口実を設けて同社からの半導体調達を停止した。 
 中国は2017年に「インターネット安全法」を成立させており、DRAMで世界生産の20%を握るマイクロンをもはや要なしと踏んだことになる。

 同マイクロンは広島に半導体メモリーの最先端チップを生産するために5000億円の投資を発表したばかり。ほかにアプライドマテリアルズ、インテル、サムソンなども日本進出を急いでいる。

 五月に俄然話題となったのは米エヌビディアの株式が急騰したことである。
牽引役はAI向け半導体、とくにゲーム機用AIの需要増だった。時価総額はメタ、テスラ、TSMC、インテリを抜き去ってエヌビデオが世界六位となった。
チャットGPTが半導体業界にもたらした変化はグーグル、アマゾン、マイクロソフト、メタなどが豊富な資金力を活かして自社特別仕様の半導体を作り始めたことだ。

この動きは日本にも押し寄せアドバンテスト、東京エレクトロンなどの株価上昇に繋がった。
熊本ではTSMCの新工場建設が進んでいる。
 ソニーも熊本にスマホ用半導体の進行表を建設する。ソニーは長崎県にも工場を持ち、両工場をあわせると54万平方メートルの敷地、投資額は9000億円になる。
ソニーは主要供給先だったファーウェイが失速したため、この二年ほど低迷していたが、従来のカメラ技術、ビデオ、画像センサーのハイテクに強くスマホカメラの高度画像のニーズに応える。

 こうなるとファンド筋、機関投資家らもAI、半導体への投資を拡大するのは当然の流れである。
 ブリッジウォーターファンドは銀行株と中国「百度」の株保有を減らし、アルファベット、メタ、マイクロソフトへ新規投資もしくは株保有を増やした。
 ソロスもテスラ株、ディズニーなどを売却し、クアルコムに切り替えた。
全米一の投資集団バークシャーハザウェイも銀行株とTSMC株を処分し、日本の五大商社株を大量に保有した。ほかの有数の米国ファンドはAI関連企業への投資を急増中だ。ハゲタカファンドの大手KKRは日立物流を買収したうえに、西友株を買い増しした


 ▲日本の半導体メーカーの捲土重来はあるのか

日本勢のキオクシア、ルネサス、ラピタスなどはどうなったか。
 ルネサスは三菱電機および日立製作所から分社化したルネサス テクノロジーと、NECから分社化していたNECエレクトロニクスの経営統合によって2010年4月に設立された。
ルネサスの主力工場は那珂事業所だが、他に国内に六ヶ所の工場を持ち、半導体企業売上高ランキングで15位、日本国内ではキオクシアに次ぐ2位・とくに車載半導体市場シェアランキングでは三位。

 キオクシアはフラッシュメモリを主力とする半導体メーカーで前身は東芝メモリホールディングス。シェア世界第8位

 ラピダスはソニー、トヨタ自動車、デンソー、キオクシア、NTT、NEC、ソフトバンク、三菱UFJ銀行など、日本大手企業8社が出資し、半導体の専門家集団が設立した半導体新会社で、あまつさえ日本政府も700億円の開発費を拠出している。
世界最先端のロジック半導体の開発と製造を目的にし、千葉に工場を建設中だ。

 かくして米国の中国制裁と安全保障上の脅威視から大きな政策転換がおこり、次世代半導体は米国、台湾、日本、韓国が協力し合い態勢づくりが進捗しているが、機密データ漏洩が最大のアキレス腱になっている。

 5月24日の米国連邦議会下院の「中国特別委員会」でギャラガー委員長は「台湾有事の対処として港湾、空孔のサイバー防衛強化」を訴えた。
 「中国軍はハッカー部隊を駆使して米国の経済活動を停止させ、米軍の弱体化を狙ってあらゆる拠点にサイバー攻撃をかける可能性が高い」とした。

とくにガギャラガーは「台湾防衛を超党派で支援する法案」を提出しており、かれの提言には「日本やグアムなど米軍基地の強靱化。たとえば攻撃されても滑走路を迅速に修理復旧させる能力と掩体の建設などを含む」としている。
 日本のジェット戦闘機などに掩体がないことは承知のとおりである。


 ▲米国さえ対策は遅れているゾ

 米国は2023年二月に「破壊的技術ストライクフォース」を発足させ、データ保護に本格的に乗り出すため司法省、FBIから専門家を集めた

 同日、マイクロソフト社は「中国のハッカー集団がグアムのインフラを標的として活動しており通信や輸送、海運などインフラを担う広範な組織を対象に情報を盗取している。『ボルトタイフーン集団』が、システムの侵入を謀り、破壊工作の能力を高めている」とした。

この新顔の「ボルトタイフ-ン集団」は西側のセキュリティ対策ソフトの弱点を掌握し、認証情報を盗んで侵入手法を獲得してきた。
 将来の危機の際に米国とアジア間の重要な通信が遮断される可能性への技術的基礎を中国軍が構築した可能性があるとマイクロソフトは発表した。

標的には、米国が主要な軍事拠点を置いているグアムの施設も含まれ。すでに2021年半ばからのハッキングの影響を受けた組織は、通信、製造、公益事業、運輸、建設、海運、情報技術、教育の各部門だ。

国家安全保障局、FBI、サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁 (CISA)とオーストラリア、ニュージーランド、カナダ、英国などファイブアイズ機関は、「最近発見された活動群」に関する技術的な詳細を共有する共同勧告を発表した。
 中国はただちに反論し、スノーデン事件をあげて「ハッカー行為を展開しているのは米国だ」と非難した。

 西側のセキュリティ対策の遅れは甚だしく日本ばかりか米国でも、たとえばアップルの元中国人社員が自動運転などの派遺髪データを盗んでいたことが判明している。
この中国人元社員の自宅を捜索した直後、中国人スパイは広州行きの飛行機に飛び乗って逃げたため、事件から五年後の23年5月16日になってカリフォルニア北部地裁に訴追した。
5月26日、イリノイ州デトロイトにおいて西村康稔経済産業相はレモンド米商務長官と会談し、半導体のサプライチェーンの連携強化を柱とした共同声明に署名した。
次世代半導体開発や人材育成に関する日米共同のロードマップ(行程表)を策定することで合意し、日本も参加する米主導の経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」でも協力していくことを確認した。

 西村経産相は会談後、「(半導体に関する)技術開発など日米協力を劇的に加速させたい」とし、また米国商務省は「日本とは半導体供給網強化や、輸出管理に関する協力などを議論した」とする声明をだした。
 両国はともに交渉の詳細には触れなかった。


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