デジカメWatchの記事で知ったのですが、オリンパスのカメラ設計者の米谷美久さんが亡くなられました。
ぼくは米谷さんにはお会いしたことが無く、非常に残念ですが、ぼくがもっとも影響を受けたカメラ設計者です。
写真家であるぼくが、設計者に影響を受けるというのはヘンですが、しかしカメラ改造はもとより、作品制作の面でも、米谷さんのカメラ設計はぼくに多大な影響を与えてくれました。
例えば、米谷さんの設計によるオリンパスXAシリーズですが、ぼくの持っているXA、XA2、XA1を並べてみました。
どれも似たような外観で、共通パーツも多いのですが、中身が違うと言うか、それぞれに別のアイデアが盛り込まれています。
XA(下)は距離計内蔵ファインダーと、絞り優先AEを装備した玄人向けのカメラです。
対してXA2(左上)は目測式でプログラムシャッター装備の初心者向け普及機で、XAの絞りレバーがXA2ではピントレバーになっていると言うアレンジが秀逸です。
XA1(右上)はXA2よりさらに低価格のカメラですが、露出機構がPEN EEと同一のセレン式と言う、旧世代のメカニズムが採用されています。
そしてエレクトロフラッシュA11は、どのXAシリーズとも共用できます。
つまりXAシリーズは、どれも共通の「構造」を持ちながら、それぞれに別の「構造」を取り入れることで「バリエーション展開」してるわけです。
これは一つのアイデアを1回で終わらせずに展開させるための方法論であり、それをぼくは自分の作品製作にも取り入れているのです。
これはOMシステムのエレクトロフラッシュT-20ですが、このストロボがすごいのは「OLYMPUS」と書いてある「O」の部分です。
この「O」の部分が、なんとオートストロボのセンサーになっているのです。
まさに徹底的に無駄を排した、合理的かつエレガントなアイデアです。
ぼくはこういうのに影響を受て、「レンズキャップ兼ストロボディフューザー」を作ったりしたのですw
まぁ、素人のぼくはともかく、米谷さんの設計がカメラ界に与えた影響は大きく、特にライバル会社のペンタックスやリコーなどに、かなりそれを意識したと思しきカメラが発売され、その伝統はデジカメ時代にも脈々と受け継がれているように思います。