もう会場すぐそこだから少し歩こうか・・そうハーレーに言うと神取はタクシーを降りた。
会場付近まで来ると数名が神取とハーレーに気づき、遠巻きに見ている。
神取!負けちまえ! と罵声が浴びせられた。
神取は雑音を無視して、堂々とした足取りで会場に向かう。
大試合の前で気が立っている神取は、なるべく北斗の事を考えないようにしていた。
恐る恐る握手をねだる若い女性ファンに神取は照れくさそうに応じた。
そんな光景を咥え煙草で宍倉が眺めている。神取が立ち去ると、その女性に声をかけた。
「あなた、神取選手のファンですか?」
女性は突然の事に少し驚いたが、すかさず答えた。
「別に。どうせ今日、北斗に引退に追い込まれるんだし」
関係者入り口から神取が会場入りすると後ろから不意に声をかけられた。
「ちょっと、ここは関係者以外は立ち入り禁止だよ」
すこしムッとして神取が振り返ると、そこに長与千種が笑って立っていた。
「長与、アンタかい・・・・」
「神取、今日はアンタの実力、楽しませてもらうよ」
「ああ。まぁ見ててよ。損はさせないから。アンタ、ちゃんと稽古して来たの?」
「大丈夫。見といて損は無いと思うよ」
長与は笑いながら手を振ると忙しげに去っていった。
控え室前で先に会場入りしていた風間と半田に会う。
控え室に入ると神取は長椅子に深く腰を掛け大きく息を吐き出した。
「神ちゃん、まだ時間あるけど、何か飲む?」
風間の問いかけに、「いや、いい」と答え神取は目を閉じた。
長与千種の事を考えていた。
結局夢に終わったが長与との対戦が実現していたら勝てただろうか。
もし本格復帰となったら対戦の可能性も有るかも知れない。
全女出身選手の実力は良くわかっているつもりだ。
ジャッキーとは壮絶な喧嘩試合、デビルには血みどろにされた事がある。
北斗は・・・どんな戦法で立ち向かって来るのだろう。
あれだけナメた口を叩く位だから、相当な自信が有るのだろう。
いつの間にか北斗の事を考えている自分に気づき神取は苦笑いと舌打ちをした。
会場付近まで来ると数名が神取とハーレーに気づき、遠巻きに見ている。
神取!負けちまえ! と罵声が浴びせられた。
神取は雑音を無視して、堂々とした足取りで会場に向かう。
大試合の前で気が立っている神取は、なるべく北斗の事を考えないようにしていた。
恐る恐る握手をねだる若い女性ファンに神取は照れくさそうに応じた。
そんな光景を咥え煙草で宍倉が眺めている。神取が立ち去ると、その女性に声をかけた。
「あなた、神取選手のファンですか?」
女性は突然の事に少し驚いたが、すかさず答えた。
「別に。どうせ今日、北斗に引退に追い込まれるんだし」
関係者入り口から神取が会場入りすると後ろから不意に声をかけられた。
「ちょっと、ここは関係者以外は立ち入り禁止だよ」
すこしムッとして神取が振り返ると、そこに長与千種が笑って立っていた。
「長与、アンタかい・・・・」
「神取、今日はアンタの実力、楽しませてもらうよ」
「ああ。まぁ見ててよ。損はさせないから。アンタ、ちゃんと稽古して来たの?」
「大丈夫。見といて損は無いと思うよ」
長与は笑いながら手を振ると忙しげに去っていった。
控え室前で先に会場入りしていた風間と半田に会う。
控え室に入ると神取は長椅子に深く腰を掛け大きく息を吐き出した。
「神ちゃん、まだ時間あるけど、何か飲む?」
風間の問いかけに、「いや、いい」と答え神取は目を閉じた。
長与千種の事を考えていた。
結局夢に終わったが長与との対戦が実現していたら勝てただろうか。
もし本格復帰となったら対戦の可能性も有るかも知れない。
全女出身選手の実力は良くわかっているつもりだ。
ジャッキーとは壮絶な喧嘩試合、デビルには血みどろにされた事がある。
北斗は・・・どんな戦法で立ち向かって来るのだろう。
あれだけナメた口を叩く位だから、相当な自信が有るのだろう。
いつの間にか北斗の事を考えている自分に気づき神取は苦笑いと舌打ちをした。