いせ九条の会

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植木枝盛の「東洋大日本国国憲案」/山崎孝

2008-02-28 | ご投稿
映画「日本の青空」で憲法研究会が草案要綱を討議する場面で、高野岩三郎が鈴木安蔵の起草した案に意見を述べるとき、度々、自由民権運動の活動家植木枝盛の作成した憲法草案と同じ考え方だと指摘していました。

植木枝盛の「東洋大日本国国憲案」 は第1編から第18編までで、附則1条をふくみ全220条からなる膨大な憲法草案でした。その中の基本的人権や思想信条などの自由に関係した部分を紹介します。

第4編 日本国民及日本人民の自由権利

第40条  日本の政治社会にある者之を日本国人民となす。

第41条  日本の人民は自ら好んで之を脱するか及自ら諾するに非ざれば日本人たることを削かるることなし。

第42条  日本の人民は法律上に於て平等となす。

第43条  日本の人民は法律の外に於て自由権利を犯されざるべし。

第44条  日本の人民は生命を全ふし、四肢を全ふし、形体を全ふし、健康を保ち、面目を保ち、地上の物件を使用するの権を有す。

第45条  日本の人民は何等の罪ありと雖も生命を奪はれざるべし。

第46条  日本の人民は法律の外に於て何等の刑罰をも科せられざるべし。又た法律の外に於て麹治せられ、逮捕せられ、拘留せられ、禁錮せられ、喚問せらるることなし。

第47条  日本人民は一罪の為めに身体汚辱の刑を再びせらるることなし。

第48条  日本人民は拷問を加へらるることなし。

第49条  日本人民は思想の自由を有す。

第50条  日本人民は如何なる宗教を信ずるも自由なり。

第51条  日本人民は言語を述ぶるの自由権を有す。

第52条  日本人民は議論を演ぶるの自由権を有す。

第53条  日本人民は言語を筆記し、板行して之を世に公けにするの権を有す。

第54条  日本人民は自由に集会するの権を有す。

第55条  日本人民は自由に結社するの権を有す。

第56条  日本人民は自由に歩行するの権を有す。

第57条  日本人民は住居を犯されざるの権を有す。

第58条  日本人民は何くに住居するも自由とす。又た何くに旅行するも自由とす。

第59条  日本人民は何等の教授をなし、何等の学をなすも自由とす。

第60条  日本人民は如何なる産業を営むも自由とす。

第61条  日本人民は法律の正序に拠らずして室内を探検せられ、器物を開視せらるることなし。

第62条  日本人民は信書の秘密を犯されざるべし。

第63条  日本人民は日本国を辞すること自由とす。

第64条  日本人民は凡そ無法に抵抗することを得。

第65条  日本人民は諸財産を自由にするの権あり。

第66条  日本人民は何等の罪ありと雖も其私有を没収せらるることなし。

第67条  日本人民は正当の報償なくして所有を公用とせらることなし。

第68条  日本人民は其名を以て政府に上書することを得。各其身のために請願をなすの権あり。其公立会社に於ては会社の名を以て其書を呈することを得。

第69条  日本人民は諸政官に任ぜらるるの権あり。

第70条  政府国憲に違背するときは日本人民は之に従はざることを得。

第71条  政府官吏圧制を為すときは日本人民は之を排斥するを得。

      政府威力を以て擅恣暴逆を逞ふするときは、日本人民は兵器を以て之に抗することを得。



第72条  政府恣に国憲に背き、擅に人民の自由権利を残害し、建国の旨趣を妨ぐるときは、日本国民は之を覆滅して新政府を建設することを得。

第73条  日本人民は兵士の宿泊を拒絶するを得。

第74条  日本人民は法廷に喚問せらるる時に当り、詞訴の起る原由を聴くを得。 己れを訴ふる本人と対決するを得。己れを助くる証拠人及表白するの人を得るの権利あり。(以下略)