いせ九条の会

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文部科学省の学習指導要領改定案について/山崎孝

2008-02-17 | ご投稿
文部科学省は2月15日、小中学校の学習指導要領と幼稚園教育要領の改定案を発表しました。改悪された教育基本法を冒頭に掲げ、国が決めた通りの「道徳教育」の推進を前面に出しました。算数・数学、理科を中心に、授業時間を増やし、基礎的な知識や技能を「活用する力」や「言語力」の育成を重視するとして、具体的な指導法まで細かく示しました。(しんぶん「赤旗」の情報)

この学習指導要領改定案についての対照的な談話を紹介します。(朝日新聞掲載)

◆ 「日本教育再生機構」理事長を務める八木秀次・高崎経済大教授の話 教育基本法改正で掲げた理想が骨抜きにされ、現行指導要領とほとんど変わっていない。「伝統と文化の尊重」や「我が国と郷土を愛する」ことは、主に社会科で学ぶはずだったが、小学校で増えたのは縄文時代くらい。道徳教育も「全教科で行う」と書いてあるが、具体性に乏しい。国の質を高める戦略に基づいた教育が必要だ。

教育再生会議はそのためにでき、確かな学力や規範意識を打ち出したが、メンツを守りたい文科省官僚による捲り戻しが起きた。安倍内閣があと3カ月もってくれていれば、と悔やまれる。(以上)

◆ 「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」呼びかけ人だった小森陽一東京大教授の話 注意深く読むと、改訂案は国家統制的内容であることがわかる。特に、すべての教科に張り巡らされた言語教育は、上から与えられたものだけを読み取らせ説明させるばかりで、自発的思考と表現を養う視点がない。「伝統と文化の尊重」では「伝統音楽のよさを味わう」と国家の価値判断が前提とされている。改正教育基本法に入った「公共の精神」の名の下で、子供を国家に従わせ、自らが主人公・主権者になる力はつけさせないという思想に貫かれている。大声で「愛国心」を叫ばれるより怖い。(以上)

八木秀次氏は、教育再生会議は子どもたちに規範意識を持たすために出来た意味を述べて、今回の学習指導要領改定案には物足りないと思っています。規範意識を持たすとは国家の言うことに従うという規範意識です。改定教育基本法には「愛国心条項」がありますから、将来的にはこの条項を強く反映した学習指導要領になっていくと思います。