いせ九条の会

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試作品段階とも言うべき迎撃ミサイルを搭載するイージス艦/山崎孝

2008-02-20 | ご投稿
【膨大経費、MDに逆風も イージス艦衝突事故】 (2008年2月19日東京新聞)

最新鋭のイージス艦が起こした漁船との衝突事故。日本に飛来するミサイルの探知・追尾機能を備え、ミサイル防衛(MD)の中核を担うはずの護衛艦が、日本の領海内で民間船を事故に巻き込む事態となった。

防衛省内では、今回の事故がMD計画に波及することへの懸念がすでに生じている。同省幹部は「足元の国民を守ることさえできずに、莫大な金を出して配備する必要があるのかと言われかねない」と話す。

「イージス」はギリシャ神話でゼウスが娘に与えた「盾」を意味する。高性能レーダーで1度に100以上の目標を追い、ミサイルや大砲など武器を自動的に選択して迎撃。データリンクシステムで米イージス艦と情報を瞬時にやりとりできることから、日米同盟の象徴とも言われてきた。(共同通信配信記事)

この事故で行方不明になっている漁師親子の安否がとても心配です。昨日のテレビで千葉県勝浦の女性たちが二人の無事の救出を祈る姿を見て、奇跡が起こることを願いました。

衝突したイージス艦「あたご」は、ハワイ沖でミサイル迎撃実験を終えて横須賀基地に戻る途中でした。ミサイル迎撃実験は成功していますがこの迎撃ミサイルは敵側の攪乱戦法には対応できない迎撃ミサイルだといわれています。このことについて「世界」3月号で田岡俊次さんは詳しく述べていますからお読みください。

少し紹介しますとイージス艦に搭載した迎撃ミサイルは《防衛省の担当幹部も「開発の通過点」と認める試作品的なもので、速度、高度が不十分なうえ、オトリ弾頭と本物の弾頭を見分ける能力がない…(以下略)》と書いています。

迎撃ミサイルの費用は、「こんごう」の場合は9発で4億5800ドル、今日の為替レートで一発当たり54億円(ミサイル本体は16億円)もし、イージス艦1隻当たり、弾道ミサイル2基ないし4基しか対応できないと言われています。イージス艦「あたご」の建造費は1400億円です。これに装備費がいります。地上迎撃システムのパトリオットは一発8億円もします。

海上型(SM3)と地上型(パトリオットPAC3)の迎撃ミサイルシステムは、1999年に弾道ミサイル防衛の日米共同研究を初めて以来、2007年度までに5638億円が投じられ、2008年度は1338億円の予算が見積もられている。現在の計画完成まで1兆円の費用が要るとされています。これで日米のミサイル防衛計画は終わらず次世代のミサイル防衛計画があります。

到達点がなく際限のないミサイル軍事対抗で膨大な国費を使うことより、6カ国協議の到達点でもある、東アジアの平和と安定に全力を挙げることの方がよほど合理的だと思います。