いせ九条の会

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自衛隊の「派兵恒久法」は、明らかな立法改憲/山崎孝

2008-02-25 | ご投稿
2008年2月22日発行の「映画人九条の会」事務局ニュースにとても分かり易い自衛隊海外派遣恒久法についての説明がありましたので紹介します。

【自衛隊の「派兵恒久法」は、明らかな立法改憲!】

 自民党は2月13日、「国際平和協力の一般法に関する合同部会」の初会合を開き、自衛隊の「海外派兵恒久法」の検討に着手しました。座長は山崎拓前副総裁です。

 「派兵恒久法」とは、いつでも政府の判断だけで自衛隊の海外派兵ができる法的な枠組みを作ることです。いままでは海外派兵ごとに時限立法である特措法を作り、国会の審議を経た上で自衛隊を出動させていました。しかし「恒久法」が成立すれば、政府の判断一つでいつでも自衛隊を海外へ派兵させることができるようになるのです。

 この「派兵恒久法」は、昨年の福田・小沢による「大連立」協議の中心テーマとして政治の表舞台に浮上してきました。その後民主党は、新テロ特措法案の対案として、昨年12月に「アフガン復興支援特措法案」を提出しましたが、その中には恒久法の「早期整備」が明記されており、自民党はあえてこの法案を継続審議としました。民主党は「派兵恒久法」の先導役を果たしているのです。

 そして今年1月29日衆院予算委員会で、福田首相は「ぜひ一般法(恒久法)を作りたい」と表明し、通常国会への法案提出を示唆しました。また山崎拓氏は、「新テロ特別措置法が来年1月に期限切れになる。恒久法を制定しておかないと対応できない」と強調して、今年中の法案成立を狙っています。

 自民党「合同部会」が検討の土台にするのは、自民党・防衛政策小委員会が2006年にまとめた石破試案=「国際平和協力法案」です。この石破試案では、自衛隊の海外活動は国連の要請によるだけでなく、「国連加盟国の要請」でも日本政府が必要と判断すれば可能だとしています。

 また石破試案は、武器使用基準を大幅に緩和し、「安全確保活動」(これは治安活動そのものです)や「警護活動」「抵抗の抑止」にまで活動の幅を広げて、現地での武力行使や武力弾圧を可能にする恐るべき内容になっています。「合同部会」幹部の一人も、「武器使用基準の緩和が検討の重要なテーマになる」とし、他のメンバーも「自衛隊を海外に出す以上は(武器使用基準の緩和は)当然必要だ。武器使用制限は交戦規則でもできるので、法律で厳格に制限するのは適当でない」と述べています。

 「派兵恒久法」の制定を許せば、憲法9条は実質的に破壊され、日本は本当に「戦争ができる国」になってしまうのです。

 日本の平和憲法は、戦争を放棄しています。平和憲法があるからこそ、諸外国からの信頼を得ることもできるし、平和のための運動や国際貢献もできます。いま世界では、紛争が起きても外交的・平和的に解決する流れが大勢を占めています。武力で平和は作れない、これが世界の共通の認識であり、これこそが憲法9条の輝かしい精神であり、世界で9条に対する評価が高まっている理由です。

 しかし「派兵恒久法」は、その平和憲法を真っ向から踏みにじるものです。憲法9条を立法によって破壊し、実質的に改憲し、戻れないところにまで行ってしまおうとしているのです。

 私たち九条の会の活動の中心テーマは、「戦争の放棄」を明記した憲法9条を守ることであり、9条を生かすことです。これが私たちの活動の原点です。9条を破壊する「派兵恒久法」は、絶対に成立させてはなりません。

 おりしもアメリカでは、大統領選挙の予備選挙の真っ最中です。「ブッシュのアメリカ」はもうお仕舞いです。なのに、日本はいつまでアメリカの言いなりになり、屈辱的な追従を続けるつもりなのでしょうか。

 9条を守り、生かすために全国で行動をつづけている映画人九条の会の皆さん、自民・民主両党による「派兵恒久法」の制定を何としてもくいとめましょう。そのために、それぞれの地域、職場で、「派兵恒久法」の危険性を伝え、反対する世論を大きくひろげましょう。