いせ九条の会

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国際平和協力活動は軍事活動という視野狭窄/山崎孝

2008-01-23 | ご投稿
【派兵恒久法 検討を/首相が民主に呼びかけ】(2008年1月22日付「しんぶん赤旗」)

 福田康夫首相は、二十一日の衆院本会議で、自衛隊の海外派兵を常時・迅速に可能とする恒久法について、「わが国が迅速かつ効果的に国際平和協力活動を実施していくためにふさわしく検討を進めていく。野党とも十分議論させてもらいたい」とのべ、民主党へ協議をよびかけました。

 民主党の鳩山由紀夫幹事長の質問にたいする答弁。鳩山氏は「歴代自民党政権の外交安保政策には基本原則がない。原理原則もないのに一般法をつくれるはずがない」などとのべ、恒久法の必要性を強調しました。

 恒久法は、これまで個別の戦争ごとに特別措置法をつくって自衛隊を海外派兵してきたのに対し、政府の判断でいつでも派兵できるような法的枠組みをつくろうというもの。民主党は、政府提出の新テロ特措法に対する「対案」の中で、恒久法に盛り込むべき「基本原則」として国連による軍事行動を含む強制措置への対応や、「憲法の下での自衛権の発動に関する」ものをあげています。これは、海外での武力行使=集団的自衛権の行使を可能にする危険があるものです。

 鳩山氏はこうした「基本原則」を念頭に、「民主党がつくる政府は、日本の外交安全保障政策にしっかりした原則を導入する」と主張しました。(以上)

鳩山由紀夫幹事長のいう、外交安保政策の基本原則は、憲法に明示してあります。これを生かすべきなのです。

民主党が国会に提出した「アフガン復興支援特措法案」は、アフガニスタンに自衛隊を派遣し、今までは自衛隊員の「正当防衛」に限られていた武器使用基準を「復興支援活動への抵抗抑止」まで拡大しています。PKOの活動は、武器を持った人たちに国連から付託された任務を妨げられた場合は、妨害を排除する権限が国際派遣部隊には与えられていますが、PKOは停戦合意、紛争当事者の国際部隊の受け入れ容認が前提です。そして日本は武器使用の基準が他国より強くこの活動に参加していません。軍事部門ではなく医療活動、道路の補修など復興支援活動を行なっています。

アフガニスタンに停戦合意、紛争当事者の国際部隊の受け入れ容認はありませんから、絶えず「復興支援活動への抵抗抑止」とみなされる事態は起こります。「復興支援活動への抵抗抑止」活動は国際治安支援部隊の活動と同類の活動になると思います。国際治安支援部隊は住民を巻き込み犠牲者を出す戦闘を行なっています。

民主党が国会に提出した「アフガン復興支援特措法案」は、インド洋で船舶の臨検などテロリストの海上阻止活動も可能となっています。これでは自民党が目論むことと同じ内容で憲法違反です。

かつては国連で難民救済活動を行ない、現在、国際協力機構(JICA)の理事長をしている緒方貞子さんは、2008年1月15日の朝日新聞紙上で次のように述べています。

《アフガニスタンが復興から平和の定着、そして成長へと発展していくためには広く着実に民生支援が行なわれ、より多くの人々が「平和の果実」を享受できる必要がある。本来、開発援助はこうした役割が期待されており、これがテロの予防にもつながるということは認識されなければならない。》と述べています。

日本の与党、民主党の議員たちは、国際平和協力は自衛隊を派遣して軍事活動に参加することという視野狭窄から抜け出すべきです。