静かの海

この海は水もなく風も吹かない。あるのは静謐。だが太陽から借りた光で輝き、文字が躍る。

s03 アテネのアクロポリス

2016-01-24 12:01:43 | 日記

      アテネのアクロポリス

 

 アテネのアクロポリスに立つパルテノン神殿とその周辺は異次元の世界を創り上げているようにもみえる。しかしそれは,永い時の経過のなかで生み出されたものだ。西洋人と東洋人との感性や考え方の違いでその評価も違ってくるだろう。

1、ニケの神殿

 宗教的建造物はときとしてため息がでるほど美しい、現代人の目から見れば(古代ローマ人の目から見てもそうだった)、なんの現実的な使用価値もない神殿が。このアテナ・ニケ(勝利の女神)の神殿もそのひとつだ。遠くにエーゲ海を望む。(アテネ アクロポリス ニケの神殿<紀元前5世紀末>)                                                                          

 

 

 2、パルテノン神殿

 法隆寺の建築群の背景には山の緑がある。パルテノン神殿の背景は空だけだ。ローマ人のフロンティヌス(30頃-104) はローマの水道アーチを自賛しながら、「無用のピラミッドや、有名ではあるが無益なギリシア人の労作」と述べたし、プリニウス(23/24-79) も同じような意見であった。だが、人間は無益なものをいくらでも造ってきたし、無益な行為を限りなくくり返してきた。今日、この神殿はアテネ最大の観光資源であり、収入源であり続けている。                                                                                

 

 

  3、人間の業(わざ)

 たとえば、イースター島のモアイもそうだが、これらの建造物を眺めていると、人間の底知れぬ巨大な精神力を感じないではいられない、有益か無益かは別にして。だが今もなお、たゆまずパルテノンの修復工事は続けられている。その一方で、大気汚染によって石柱は刻々と蝕まれてゆく。二千数百年の歴史をもつこの建造物は、はた してどれほどの命脈を保つのだろうか。(パルテノン神殿<紀元前5世紀>)

 

 

     4、歎きのアテナ

 これは、死者の碑文の前で悲しみ歎く女神アテナ。本来安置されていたパルテノンのアテナ像(アテナ・パルテノス。フェイディアス制作)は盾と矛を持って武装し、昂然とあたりをはらう軍神であったし、コインに刻まれたアテナは戦車を駆ける勇姿であった。だが、このアテナは・・・。奈良の仏もそれぞれに美しいが、それは今も現役で信仰の対象であり、完全円満な慈悲の心を具現していて、奥の方に安置されており、恐れ多くて近づきがたい。このアテナには、窓からこぼれる柔らかい自然光のなかで対面した。手の届く至近距離でゆっくりシャアッターをきった。(BC5世紀後半、パロス大理石、高さ約56cm  アクロポリス美術館)                                                                         

 

 

 

                 

 

 

                                                             

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

      


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3 コメント

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Unknown (アテナイのアクロポリス)
2020-02-03 20:27:06
アテナイのアクロポリス
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Unknown (大友由貴)
2020-02-03 20:27:23
藤沼建人
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Unknown (川原誠也)
2020-02-03 20:27:41
皆方由衣
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