中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

【対訳】《雲郷話食》を読む: 臘八粥的情趣(臘八粥の情緒)[前篇]

2011年01月30日 | 中国グルメ(美食)

 もう春節を迎えますので、いささか時期を逸してしまいましたが、農暦の12月8日を“臘八”と言い、この日に特別に作られる粥のことを“臘八粥”と言います。旧暦の年末年始の重要行事である“臘八”を取り上げたいと思います。12月8日はお釈迦様が悟りを開いた日であり、またそのきっかけが、村娘スジャータが捧げたミルク粥で、それによりお釈迦様が気力を回復し、悟りを得ることができたわけですが、中国の風習も仏教起源です。

■ 飲饌的事,各種食品,不只是要味道好,色彩好,而且還要情調好。没有好的情調,再好的酒、菜,吃起来也乏味。所以説,在“色、香、味、形、器”之外,還応該加一個“情”字,就是要有情趣、有情調,説得再広汎一些吧,就是要有生活的趣味,不管是広筵盛饌、珍惜雑陳也好;或是豆腐青菜、村酒濁醪也好,只要尽歓、尽興,情趣盎然,便津津有味,是一種生活的享受。反之,再好的盛饌佳肴,也是食而不吃其味了。

・情調 qing2diao4 ムード。情緒。気分
・乏味 fa2wei4 味気ない
・筵 yan2 宴席。酒席(“筵”の本来の意味は竹のむしろ。昔はむしろに座ったことから座席を“筵”と言ったが、今はもっぱら酒席の意味で用いられる)
・盛饌 sheng4zhuan4 盛大なもてなし。(“饌”zhuan4はごちそうの意味)
・濁醪 zhuo2lao2 にごり酒
・盎然 ang4ran2 満ちあふれるさま
・雑陳 za2chen2 取り混ぜて並べる
・津津有味 jin1jin1you3wei4 たいへんうまそうである。興味津津。

  飲食について言えば、各種の食品は、味がよく、見た目がきれいでなければならないだけでなく、ムードが良くなければならない。良いムードがなければ、良い酒、料理も、食べても味気が無い。だから、「色、香、味、形、器」の他、もう一文字、“情”を加えなければならない。つまり情趣がなければならず、ムードがなければならない。もう少し範囲を広げて言えば、生活の興趣があれば、大宴会のもてなし料理や、珍しいものを取り混ぜて並べたものでも良いし、豆腐と青菜の炒め物や、地酒やどぶろくでも良い。歓待を尽くし、興趣を尽くし、情趣が満ちあふれてさえいれば、たいへん旨そうで、これは生活の中の楽しみである。そうでなければ、どんなに素晴らしいごちそうでも、食べてもその本来の味を味わうことはできない。

■ 労働人民,一年辛苦,歳尾年頭,是最有空閑,講究一点吃喝的時候,這期間,毎一様東西,都充満了生活的情趣,也反映了我国悠久的歴史文化的燦爛光輝。

・燦爛 can4lan4 光輝く

 労働人民は、一年間懸命に働き、年末と年初は、最も閑で、食べ物と飲み物に工夫を凝らす時期で、この期間は、全てのものが、生活の情趣に満ちあふれていて、我が国の悠久の歴史文化のきらびやかな輝きを反映している。

■ 就拿“臘八粥”来説吧,読過《紅楼夢》的人,馬上会想起《情切切良宵花解語,意綿綿静日玉生香》的故事。宝玉編造瞎話,説什麼“林子洞”中“耗子精”要熬ao2臘八粥等等,什麼“惟有山下廟里果米最多”,“米豆成倉,果品却只有五様:一是紅棗,二是栗子,三是落花生,四是菱角,五是香芋。”説的極為風趣,這雖説是曹雪芹的生花筆墨,但生活的根据却是真実而又古老的。注意這几点:一是“廟里”,就是説和尚廟里更重視熬ao2臘八粥;二是“米豆”,就是説臘八粥,既要有米,又要有豆;三是“果品却只有五様”,就是説臘八粥,果品不只用五様,還要多。“却只有”,説其少,不足也。

・情切切良宵花解語,意綿綿静日玉生香 :
   情は切々として良宵、花は語を解し、
   意は綿々として静日、玉は香を生ず。 
              《紅楼夢》第19回より。
・熬 ao2 (穀類を水に入れて)長時間煮る。/通常は、“熬ao2粥”で、「かゆを作る」の意味に使う。
・果品 guo3pin3 果物とドライフルーツの総称
・生花筆墨 sheng1hua1bi3mo4 =生花之筆墨[成語]すぐれた文章を書く才能。([語源]李白が少年の時、筆の穂から花が咲きだした夢をみて、それから文才が急に上がったという伝説から)

  “臘八粥”について言えば、《紅楼夢》を読んだことのある人なら、すぐに《情切切良宵花解語,意綿綿静日玉生香》の物語を思いつくだろう。宝玉はでたらめな話を作り出し、“林子洞”というところの「ねずみの精」が臘八粥を作らないといけなくなり、「山の麓のお寺に米や果実がたくさんあります」だとか、「米や豆は倉になるほどたくさんあるが、果実は五種類しかありません。一つ目は乾しなつめ、二つ目は栗、三つ目はピーナツ、四つ目は菱の実、五つ目は里芋です」と、言い方にたいへんユーモアがあり、これは曹雪芹の文才の為せる技ではあるが、生活に根ざしていることは事実であり、しかも古いものである。いくつかの点に注意しなければならない。一つ目は「寺の中に」で、つまりお寺で臘八粥を作ることが重要な行事となっていた。二つ目は「米と豆」で、つまり臘八粥には米も豆も入れたのである。三つ目は「果実は五種類しかありません」で、つまり臘八粥には果実は五種類だけではなく、もっと多くのものが要るのである。“却只有”とはその少なさを言っており、足りないのである。

■ 臘八粥是很古老的一種節令食品,在宋人筆記《夢粱録》《武林旧事》中均有記載。最早是来源于佛教伝統的。《永楽大典》中摘抄元人《析津志》云:

     是月八日,禅家謂之臘八日,煮紅糟粥以供佛飯僧,都中官員士庶,作朱砂粥,伝聞禁中亦如故事。

・節令 jie2ling4 節季。季節。
・摘抄 zhai1chao1 (本から)写し取る。抜粋する
・飯僧 fan4seng1 僧侶に食べ物を布施する

 臘八粥はたいへん古い季節の食品である。宋の人が筆記した《夢粱録》《武林旧事》には何れもその記載がある。最も古いものは仏教の伝統を起源としている。《永楽大典》の中に元代の人の書いた《析津志》の次の文が抜粋されている:     

     今月の八日は、禅宗で言う臘八日(12月8日)であり、赤いごった煮の粥を煮て仏様にお供えし僧侶に布施する。都中の役人や士族、一般庶民までが辰砂色の粥を作る。伝え聞くところでは禁中にも同様のしきたりがあるそうだ。

■ 這説明元代就以臘月初八為臘八,在這一天煮臘八粥供佛飯僧了。但是宋代吃臘八粥的日期与后来則稍有不同。《日下旧聞》引元人孫国敕《燕都遊覧志》云:

     十二月八日,賜百官粥,以米果雑成之。品多者為勝,此蓋循宋時故事。然宋時臘八,乃十月八日。

・蓋 gai4 [書面語]おおかた、思うに。(前文を受けて)それは~だからである
・故事 gu4shi4 古いしきたり、習慣。(「お話」の場合は“故事 gu4shi”と後ろが軽声で発音する)

 このことは元代には12月8日を“臘八”と言い、この日に臘八粥を煮て仏様にお供えし僧侶に布施していたことを説明している。しかし宋代に臘八粥を食べた日は、その後の時代と多少異なる。《日下旧聞》は元の孫国敕《燕都遊覧志》を引用し、こう言っている:      

     十二月八日は、百官が粥を賜り、それには米や果実が入っていた。中に入っているものの品種が多い方が良いとされ、これはおそらく宋の時のしきたりを起源としているのだろう。然るに宋の時の臘八は十月八日であった。

■ 這是宋時臘八与后来的臘八在日期上小有差異。至于説到熬ao2粥的材料,“果品只有五様”,蓋言其少。那麼多少才“不少”,才比較符合標準呢?世俗習慣,喜歓湊数,“八”才够gou4上標準数,臘八麼,没有“八様”,哪能够gou4得上臘八的標準呢?如果十二様,那就更好,可以上譜了。劉若愚《酌中志》云:

     初八日吃臘八粥,先期数日,将紅棗槌破,泡湯,至初八早,加粳米,白米,核桃仁,菱米,煮粥,供佛聖前,戸牖you3園樹井灶之上,各分部之。挙家皆吃,或亦互相饋送,夸精美也。

・湊数 cou4shu4 数を揃える、合わせる
・譜 pu3 系譜、類別、系統に従って、表または箇条書きで編纂された本。[例]年譜、家譜、食譜など
・粳米 jing1mi3 うるち米(モチ米のような粘り気を持たない普通の米)
・牖 you3 [書面語]窓
・饋 kui4 物を贈る

  これは宋の臘八とその後の臘八が時期の上で多少差があるということである。粥を作る時の材料に至っては、「果実は五種類だけ」というのは、蓋しその少なさを言っている。それならいくつなら「少なくなく」、基準に合うのだろうか。世俗習慣では、数を合わせることが喜ばれるので、“八”になってようやく基準の数に達する。臘八なのに、「八種類」無くて、どうして臘八の基準に達することができるだろうか。もし十二種類あればもっと良く、本に載せることもできる。劉若愚は《酌中志》でこう言っている:     

     八日に臘八粥を食べるには、事前に日数を数えておき、干したなつめを槌で叩いてつぶし、熱湯をかけ、八日の朝、うるち米、白米、くるみの実、菱の実を加えて、粥を煮、仏様の前にお供えし、門や窓、庭木、井戸、かまどの上にも、分けてお供えする。家中で食べ、或いは互いに贈り合い、その出来栄えを褒めるのである。

■ 這是明代吃臘八粥的情况。在清人著作中,関于臘八粥的記載就更多了。富察敦崇氏《燕京歳時記》云:

     臘八粥者,用黄米、白米、江米(即粳米)、小米、菱角米、栗子、紅江豆、去皮棗泥等,合水煮熟。外用染紅桃仁、杏仁、瓜子、花生、榛穰、松子,及白糖、紅糖、瑣瑣葡萄,以作点染。切不可用蓮子、扁豆、薏米、桂元,用則傷味。毎至臘七日,則剥果滌器,経夜経営,至天明時,則粥熟矣。除祀先、供佛外,分饋親友,不得過午。

・黄米 huang2mi3 きび
・榛穰 zhen1rang2 ハシバミの実。ヘーゼルナッツのようなもの
・瑣 suo3 些細な
・点染 dian3ran3 絵に点景を添えたり彩ったりする。飾りつける
・薏米 yi4mi3 ハト麦の実
・桂元 gui4yuan2 龍眼の実。

 これは明代の臘八粥を食べる情景である。清の著作の中では、臘八粥に関する記載がもっと多くなる。富察敦崇氏《燕京歳時記》ではこう言っている:     

     臘八粥は、きび、白米、江米(うるち米)、粟、菱の実、栗、小豆、皮を取ったなつめの果肉などを用い、水にいれてよく煮る。外側は赤く染めた桃仁(桃のさね)、杏仁(あんずのさね)、かぼちゃの種、ピーナツ、ハシバミの実、松の実、及び白砂糖、黒砂糖、少しの乾し葡萄で飾りつけをする。ハスの実、インゲン、ハト麦、龍眼を入れてはならない。入れると風味を損なう。毎年12月7日には、果実の皮を剥き食器を洗い、夜通し準備をし、夜が明けると粥は煮えている。祖先を祀り、仏様にお供えをする他、親戚や友人に贈り、お昼を過ぎてしまってはならない。

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  今回はこれまでとします。続きは次回をお楽しみに。


【出典】雲郷《雲郷話食》河北教育出版社 2004年11月

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