第二グラウンド2007年4月12日
久しぶりにものすごく久しぶりに
サッカーボールを蹴った
春の暖かい空気が気持ちよくて
毎年写真を撮る桜が散って花びらが舞う
グラウンドに花びらが落ちて
僕はボールを蹴って走り回る
いつものように
グラウンドに入って気がついて
背筋がゾクッとした
向こうの森の木がぜんぜんなくなっていた
風景がまったく違っていて
ここが第二グラウンドだと思えないくらいに
とても酷い
世界はとても酷いことばかり起こるけど
ここもまたしかり
もしこれが10代のころならば
たぶんやるせない怒りにまかせて
叫びまくっているだろうな
20代後半の僕は思わず
この森の弔いに伐られて悲しいグラウンドに置かれている
木々たちを思いっきり燃やしてあげようと
本気で思ったけど
放火で警察に捕まりそうなので我慢する
それにしても酷い
世界は馬鹿なんだろうな
きっと
懐かしい枇杷の木も切られていた
とても簡単に
埋もれていた中から
ギリギリ生きていそうな枝を折って
水を差してあげてから
グラウンドの隅に植えてみた
植えながら自分の甘さを嘆いてみた
大人になったというのに
木さえ守れないの
昔、大学生のころ
雨の中、仲間と土手を歩いていた時
ダンボールに子猫が捨てられていて
ミャーミャー鳴いていたのだけど
なにもしてあげられず
ただ抱きかかえて温めてあげたけど
ものすごい小さくて
まだ目も開いてなくて
でも温かくて
小さい心臓がドクドク動いていて
その時も、大人になったくせに
こんな小さな命も助けてあげられないのだなと
泣いた
酷いことばかりの世界を生きてきている僕は
大切な森が伐られても
感情を殺してサッカーボールを蹴る
桜の花吹雪
僕の大切な土手も
イキナリなぜだか舗装されてしまった最近
まったくクソだな
アスファルトになった土手をオモイッキリ
マフラーを外した轟音のバイクで走ってみた
もしこのまま土手から吹っ飛んでもいいなと思った
菜の花がものすごい勢いで咲いていて
バイクを停めて眺めていると
土手を黒い犬の散歩していたおばさんが
すごいねー菜の花
と言うので
そうですねーっと笑う
第二グラウンドから
昔、ここでサッカーをした仲間に電話をしてみた
さすがに平日だからか誰もでなかったけど
森が伐られたことも
どこにも繋がらないのだろうか
そんなことはないと信じているけど
日々は流れ世界は溢れそう
ギリギリに皆々日々を生きている
そうやって理解しようとする
春なのに寒い気もする