写真日記

無事に生きて
祖国の日本に帰還しました
いま新宿に向かって
高速を走っていますが
窓の外は雪が降っていて
さっき東京に入った瞬間に止みました
それにしても
日本は海があるからいいな
風が強くて白波が立って
飛行機が揺れながら着陸すると
機内のモンゴル人たちから拍手が起こりました
懐かしい感じのやつです
灰色の空の東京にようこそ

到着するためではなく旅をするため
なんて誰かが言ってたけど
いやはや、到着したいよね、ほんとは
でもまた旅をしている
まだ旅をしている
旅をするため、ではなくて
旅をしているだけ
それからまた続く

今日もウランバートルで
時間があったので
古い友人の家に遊びに行って
美味しい料理をご馳走になりました

もう15年以上前から知り合いなのだけど
私もいつのまにかおじさんなのに、
なにしてんのかねー
ウランバートルは私にとっての
センチメンタルな場所です

今日はウランバートルで
特にやることもないので
ひとりでザハで買い物して
古い友人と会って
肉の食べ歩きをしてから
親戚のおじいさんに会いにいきました
88歳になるというので
耳が遠くて
耳元に大声でモンゴル語を話しました
ずっと笑っていました
おじいさんの故郷のザブハンに
オットンテンゲルという山があって
その山の絵が壁に掛けてありました
とても高くていい山なんだよと
また笑っていました
私のおじいちゃんを思い出して
切ない気持ちになりました
でもおじいさんはずっと笑っていました

小さい飛行機で
ホブドからオブス経由で
ウランバートルまで帰ってきました
無事に生きて帰ってこれました
身体中が子ヤギ臭いけど
とてもいい感じです

昨日まで動物映像カメラマンでしたが
今日から人物写真カメラマンに戻りました

遊牧民のカザフ族のおばあちゃんたちが
静かに優しく笑ってくれました
私のおばあちゃんを思い出して
別れ際に抱きしめておきました
やっぱり写真はいいね

撮らせてくれて
ありがとうございます

1週間くらい
山奥へ撮影に行ってきました
無事にホブドまで戻ってこれました
−40℃で山登りしたら死ぬかと思ったけど
生きてますー