写真日記

新宿御苑には
僕の好きな大きな木が幾つかある

ひさしぶりに会いにいくと
その木を絵に描いている人がいた

確かにこの位置から見るのが
一番いいかもしれないなと
なんだかうれしい気持ちになった

さすが絵を描いている人は見えている

僕にも絵を描く才能があったら
近くの世界堂まで走って行って
リキテックスとカンバスでも買ってきて
一日中描いていたいと思う

残念ながら絵を描くのがうまくないので
あきらめて芝生に座ってエビスビールを飲んで
逆立ちなんかをしちゃうのだけど

土曜日
早稲田から
東西線と総武線と武蔵野線と
乗り継いで
辿り着いたら
中興新村だった

駅前の台湾料理屋で
カシューナッツ炒め定食を食べながら
水を飲んだ
ものすごく暑い一日で
汗をたくさん掻いた

帰りの電車の中で
人はモノが好きなんだな
と思った
いや
人＝モノ　くらいに
そしてモノが
彼らを語らせるのだ

大学3年生の時
台湾に行った
大地震の被災地に
ボランティアってやつで救援活動ってやつで
南投縣の中興新村
とにかく建物が酷く壊れていた
不安定な空気だった
たくさんの人に出会った

台湾料理屋の壁に掛けてあった地図
確かに僕はそれを思い出しながら
カシューナッツをボリボリ齧り
ゴクゴクと水で流し込むのだ