写真日記

自問自答は続く
それにしても
今日は気持ちよい夕日だった
することもなく
会社の椅子に座って死んだふりをしていると
狂いそうになるので
急いで会社を飛び出して
部屋に戻り洗濯をした
その帰りに夕日を見たのだ
市ヶ谷のお堀に西日が輝いていた
カモが泳いでいた

自問自答は続く
バタバタと準備をしている
たくさん着て
帽子にマフラーで
さっき市ヶ谷を歩いてみた
マイナスの世界の練習
少し歩くと暑過ぎて汗をかいた
へんな気分だった

自問自答は続く
写真で仕事をしていかなくてもいいかな
などと　今日
志してから7年目ではじめて思った
僕は写真で飯を食っていこうと
絶対に決めたのは
２０歳の夏だった
はじめて訪れたモンゴルの
草原を走る車の中だった
窓の外の草原を眺めながら
絶対に決めたのだ
27歳になって
なんだか別にこれで写真の仕事でなくても
いいのかもな　などと
思うほど今の僕は病気的に狂っているのかもしれない

自問自答は続く
スーツケースに荷物を詰めはじめたけど
なんだか変な気分だ
いままでスーツケースで旅をしたことがないからか
いつも大きなリュックサックに
押し込むように荷物を詰めていたような気がする
部屋が爆発的に散らかっていて
あぁいつもの旅のはじまりだなと思う
僕の身体が空気に溶けて自由になっていくことを想像する

自問自答は続く
自分だけでは自分だけ過ぎるので
友人に連絡をしてみた
いいとかわるいとか意見が欲しかった訳ではなく
ただ報告したかっただけ
とても存在がありがたかった
メールを読んで電車の中で思わず涙が流れた

自問自答は続く
そう２０歳の夏
はじめての海外に
はじめてのモンゴルに行ったのだ
草原で土になって風に吹かれてなくなってしまおうと
本気で考えていた
途中で運が良かったのか悪かったのか
寝ているところを盗賊の方々に襲われて
乗っていた自転車を盗まれた
ふと朝起きて
生きなきゃ駄目なのだと
歩いて
ウランバートルに戻った

自問自答は続く
明後日月曜日
僕はウランバートルに戻る
戻る進む