立ったままのむコーヒーの尊さよわたしは誰の娘だったか
日の陰にシルバーリーフけむらせて隣家の人という慕わしさ
夏闌けてきしむ手足をなだめつつ没ファイルから拾うプランは
あたらしいことばいくつもおそわって発音すればぎこちない口
夏空をかきまぜている枝先よ種子の時代を遠くへだてて
葉裏までよごれているね 炎天のぼうりょくだけがともだちだった
広すぎる夜のことばの悔恨のおととし買った線香花火
虫たちのはしゃぎやまない夜の底わけへだてなく愛してやるよ
どの性もすこしふるえて立っているあおいうつしみ芯までひやし
はらわたに塵を芥をひからせて鮒に近しい者でありたい