前回、""国債の発行とは、政府の借金の証文の発行と同じことです。国債を発行して「民」(この場合、銀行などの金融機関が介在します)から金を借りるわけです。国がそれを返済しようとすれば、①「民」から税金を取って、その中から返済するか、さもなければ ②新たにお金を発行して返済するか二つに一つしかありません。""と記述しました。
ところが、財務省の資料(1964~2008年)によれば、過去40数年間に亘り、公債残高は増加の一途をたどり、過去一度たりとも減少した記録はありません。ということは借金を歳入(税収ほか)で返済に当てたことは一度もないことを意味します、従って冒頭にのべた①「民」から税金を取って、その中から返済するという考え方は存在し得ないことになります・・・これが現実です。
実は「民」から税金を徴収してそれを返済金に当てるという考え方そのものが欺瞞です、論理破綻しているのです。だから財務省が「借金はやがて税金で返さなければならず、公債発行による借金は、将来世代の借金の先送りにほかなりません。私たちの子供や孫といった世代が、借金の返済に苦しむことになるのです」というのはウソっぱちです。ただ単に「消費税アップ」を受け入れさせるための脅し文句に過ぎません。
それでも、今後も借金は容赦なく増え続けていきます。景気がよくなれば、金利を上げざるを得ません、金利を上げれば借金は雪だるま式に増えていきます。財務省はそれを恐れているのだと思います。よく「このままでは財政破綻する」という識者がいます。実は、国の「民」からの借金を、真正の借金としてとらえる限り、この国の財政はとっくに破綻していると言わなければなりません。
国の借金のとらえ方として、GDP(名目)比で何%という見方をします。財務省のHP(日本の財政を考える)もそういう見方をしています。通常はGDP比70%程度以下がベター、わかり易くいえば国の総売り上げの7割程度以下が望ましい。日本の場合は、現在約200%近くになっています。1996年のGDPは、504.3兆円でした。これに対して同年6月末時点の借金残高は、国債費ベースで233兆円でGDP比46%、国債費、借入金、政府短期証券合計334兆円でも66%です。従って、今から15年前までは極めて正常であったと言えます。このバランスが崩れたのは、この年以降です。借金は猛烈な勢いで大きくなるのに、経済成長(名目GDP)は、殆ど止ったままです。
そもそも、1995、6年以降の日本経済が異常な状態だった。世界各国が2倍近い経済成長を遂げるなかで日本だけがおいてけぼりでした。一人当たり名目GDPは先進国のなかでは、最低にまで落ちている。日本は世界一の経済大国になりうる潜在能力を有しながら、悲惨な現状です。
何故このような馬鹿げたことが起きたのかと言えば、結論を言えば政治が悪いからです。
金融ビッグバンと称して、新自由主義(市場原理主義)の考えが横行しました。米政府筋の言いなりで規制緩和とグローバリゼーションが錦の御旗となり、時価会計制度の導入、BIS規制の導入、超円高の導入等、マネーでマネーを売ったり買ったりアメリカ型ユダヤの金融資本主義経済(カジノ経済)に巻き込まれ大損しました。政府・官僚は、自分で自分の首を絞める事ばかりやって来ましたね。ゲーツCIA長官(当時)の言う通りの、日本経済の弱体化が実現しました。
菅首相は内閣改造して、市場原理主義を信奉し似非財政再建論者であり、消費税アップ論者である与謝野馨氏を経済財政担当相に迎えた。消費税をアップして緊縮財政を採ればどのような結果を招くか、日本の産業の根幹を成す中小企業に決定的なダメージを与え、日本経済はますます萎縮し庶民の生活を苦しめることになるだろう。そのような事態に至って、ようやく国民は目を覚ますのだろうか。
次回もこの続きです。
蛇足:
厄病神与謝野!
トッペイ:
与謝野の入閣も正式に決まりあまりのばかばかしさに怒る気も失せています。
与謝野は、海江田さんと東京1区の議席を争い、選挙民は海江田さんを選んだのではないですか。
海江田さんに負けた政策の全く違う与謝野を入閣させるとは菅は民意というものを如何に考えているのでしょう。
与謝野は、「民主党が日本経済を破壊する」という本を書いていたようですね。この本で民主党の政策を徹底的に批判しておきながら、お呼びがかかると臆面もなく大臣の座に座る。
こんな無節操で恥知らずな男は前代未聞です。
しかも、参院選の大敗北の責任者、枝野を官房長官に指名するなど言語道断、この内閣の顔ぶれを見ると無責任デタラメ増税内閣としか見えないです。
いかりや:
与謝野氏は市場原理主義者で、小泉政権時代の欺瞞の構造改革(市場原理主義)がもたらした災厄を彼は理解できていない。上述の本文でも指摘したように、国の借金はここ15年くらいの間に、自民党の失政によって異様に膨らんだものです。彼の信奉する市場原理主義は日本国民に大きな災厄をもたらした。自己責任のはずですが、自分たちの失政については何一つ語らないし、わかっちゃいないんだ、こいつは。何かと言えば、「財源、財源」と言い、消費税アップを唱える。
昨年3月にこんなことがあった。
与謝野氏の勉強会に自公政権時代の経済財政諮問会議の主要メンバーの一人だった市場原理主義信奉者の吉川洋東大教授が招かれていた。そこへ、尾辻自民党参議院会長が乱入してどなり込む騒ぎがあった。吉川氏と対立していた尾辻氏は、骨太のまともな庶民派である。