米上下両院の本会議は12日、韓国との自由貿易協定(FTA)の実施法案を賛成多数で可決した。TPP(環太平洋経済連携協定)は環太平洋9カ国間の「自由貿易協定」であるのに対して、FTAは2国間の自由貿易協定であるところである。米韓FTAにより、日本に対するTPP参加への締め付けが大きくなるだろう。
本日の植草氏のブログは、
「TPPの罠はやはり日米会談で仕掛けられていた」と題して、冒頭次のように述べています。
9月23日付本ブログ記事
「野田佳彦首相お披露目日米首脳会談に隠された罠」
と同時に、
「メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
に9月23日、創刊準備第1号として、
「野田佳彦首相お披露目日米首脳会談に仕掛けられた罠」
と題する記事を掲載した。
9月21日の日米首脳会談の焦点は何であったのかという問題だ。
当時のメディア報道を見ると、普天間基地移設問題=日米合意の履行問題について、オバマ大統領が
「結論を求める時期が近づいている。」と発言し、異例の強いトーンで日本側の対応を求めたことを強調して伝えていた。
他方、TPP交渉参加問題については、野田首相が「議論を積み重ね、できるだけ早い時期に結論を出したい。」
と述べたことだけが伝えられていた。
この日米首脳会談について、私は、オバマ大統領の真意は、TPPへの交渉参加を日本に強く求めた点にあったのではないかと推察した。
表向きは普天間問題でプレッシャーをかけるように見せかけるが、本音でプレッシャーをかけてくるのはTPP問題だと読んだのである。
筆者はこれまでTPPの危険性について何度も述べてきました。TPP参加は基本的に反対です。だが、どうしても参加するなら、最低でも為替レートを正常レベル(1usドル150~170円)に戻しておかないと、日本経済は壊滅的打撃をうけます。
以下は昨年、11月11日の日記を、再記載します。
TPP参加の危険性について
2010-11-11
筆者がTPP参加に反対している理由は本ブログの読者なら充分理解されていると思います。
根本は、不当な為替レートによる直撃を受けているのが、ほかならぬ農業だからです。食料自給率の問題のところでも、縷々のべましたが、そもそも農業って儲かるの?儲からないのです、農業が衰退しているのは、農業では飯が食えなくなっているからです。農業で飯が食えなくしたのは、何が原因か?それは為替レートにあることを経済学者も政治家も知っているのかいないのか?知っているとすればアメリカに媚を売っているのか? 知っていないとすれば、彼らは実体経済を経験していないので理解できないのか・・・勉強不足です。
先日も書きましたが、体重80kg(現状の為替レート約80円)の人が自分より倍の150~170kg(適正為替レート150~170円)の人と相撲をとるようなものです。為替レートが1US150~170円ならば、ハンデなしの対戦だから良しとしましょう。
極端な言い方ですが、アメリカは自分たちの都合によって、輸入したくないものは輸入禁止にする国柄です(アメリカは常にダブルスタンダードの国です)。
アメリカは為替に関係ないから関税障壁なんかない方がいいのです。日本から1台1万ドルの車を輸出すれば、日本側は為替レート1ドル150円ならば150万円の売り上げですが、1ドル80円の時は80万円の売り上げです。アメリカ側はレートに関係なく1万ドルは1万ドルです。アメリカは円高誘導で日本を締め出すことができたのです。
アメリカの魂胆は、
『今度こそ、日本の輸入障壁(例えば:コメの関税kg当たり402円、小麦65円、牛肉輸入価格の50%)を取払って、安くて美味しい(?)カリフォルニア米とアメリカ産の牛肉を日本人に食わせてやるぞ』と日本の消費者を喜ばせて???やるぞ!・・・と言いながら、自国農業振興を図るとともに、いざと言うときは、食料の輸出をストップできる脅し、つまり食料を武器に日本を半永久的に支配下に置きたいのだと思う。アメリカの罠?ですかね。いったん日本の農業を潰したら、例えば水田の場合、元に戻すには少なくとも数年はかかるでしょう。
お隣の韓国は、TPP参加の方向で進んでいると言われている。工業製品で韓国と厳しい競争にさらされているため、日本経団連の米倉弘昌会長は8日の記者会見で、””「日本に忠誠を誓う外国からの移住者をどんどん奨励すべきだ」と述べ、人材の移動が自由化される環太平洋経済連携協定(TPP)への日本の参加を、改めて促した。””と、とても正常とは思えないピントのずれた発言をしている。
韓国の場合は、1997年終盤に発生した通貨危機以前の韓国の通貨ウオンの為替レートは1USドル600~800ウオンだったが、1998年には一気に1800ウオンのウオン安を記録した。2009年は1300~1600ウオン、現在は1000~1300ウオンであり、韓国経済は輸出で景気回復し、失業率も危機前以上によくなっている。いかに為替レートが重大な影響を及ぼしているかということです。
外需(輸出)依存度〈2006年)は、GDP比は日本が14.8%、韓国は36.7%、中国は36.6%である(JETROの資料)。韓国は農業を犠牲にしてでも、TPPの参加のほうが有利だとみて、選択をしようとしているのです。
補足:TPPの影響は、農業だけではないことはいうまでもありません。
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