いかりや爆氏の毒独日記

最近の世相、政治経済について「あれっ?と思うこと」を庶民の目線から述べていきたい。

鳩山首相の施政方針演説と、岡田外務大臣、菅財務大臣の演説を聞いて

2010-01-30 15:51:47 | 日記

 昨日(29日)は午後1時から鳩山首相の施政方針演説と、岡田外務大臣、菅財務大臣の演説をすべて聞いた。すべて聞いたとういうより聞き流したのだが・・・。

 鳩山首相の演説のなかで美辞麗句?ガンジーの慰霊碑に刻まれた「七つの社会的大罪」(七つのうちの六っつ)をあげています。
「理念なき政治」、 「労働なき富」、 「良心なき快楽」、 「人格なき教育」、 「道徳なき商業」、 「人間性なき科学」 

「理念なき政治」、「労働なき富」は当然としても、彼の発言になんとなく重みというか毒気が感じられないのは何故だろうか。
 自民政権のアメリカ型の「効率と利益を最優先する市場原理主義がもたらした惨禍」をもっと具体的に取りあげて、鳩山政権は「だからこうするんだ」という踏み込んだ発言になっていない。

 七つの言葉のうち「労働なき富」とは、世界の経済を危うくさせた「金融資本主義」のことを指しているのだろう。しかし、彼の演説のなかには、金(マネー)で金(マネー)を売り買いする金融取引の危うさと、それが何らの社会的経済的貢献をももたらしていないことへの言及がない。また金融取引に対して何らかの規制をかけるという踏み込んだ発言もなし。

 世界的金融危機は、最近は世界的経済危機と呼び名を変えてごまかしている。金融取引に長けた欧米の金融業界は、金融危機が強調されることで「金融取引」が規制されることを避けるための擬態だろう。金融デリバティブ商品と言えば、いかにも具体的な商品であるかのように擬態しているが、中身をはがせば、所詮「金」で「金」を売買する取引でしかなかった。

 金融資本主義、つまり「金」で「金」を売り買いする取引で、日本円は世界の通貨の中で「円」の独歩高を招いた。世界のなかで、日本の経済が一番疲弊しているにもかかわらず、円の独歩高とはこれ如何?

 世界的金融危機の破綻といえば、参加したものすべてが損したかのごとく印象を与えているが、たとえ99%の人がギャンブルで損したとしても、残りの1%が99%の損した分を手にしていることを誰も言わない。以前にも言及したが、資本主義の会計原則によるバランスシート(貸借対照表)は左側(資産の部)と右側(負債および資本の部)は必ずイクオールである。資本主義の世界はおおまかには、ゼロサム構造になっている。誰かが損をすれば誰かが得する世界である。日本が円高によって損した分、推測だが数百兆円が外国の金融機関へ渡ったものと思われる。

 蛇足だが、日本がこの円高をチャンスと捕らえて、将来の危機に備えて国家戦略として金(ゴールド)買い付けて備蓄することだと思うが、それだけの器量は菅財務相にも仙谷国家戦略相にもなさそうである。

 我々は日常生活するうえで、あらゆる商品に5%の消費税を払わされている。現在の「金」で「金」を売買する取引をそのまま容認するのであれば、せめて0.01%程度の取引税を課すなどのなんらかの社会へ還元する方策を検討してしかるべきと思うが、いまのところそういう発想もみられない。

 アメリカ型の市場原理主義は「道徳なき商業」をはびこらせた。儲けさえすればいい、効率最優先して労働者をまるで部品や在庫品のごとく扱った。結果として卵を産む鶏を虐待したために、鶏は卵を産まなくなってその災難は自分たちの身に降りかかっていることに経営者たちもようやく気づいたのかどうか・・・。