猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

米軍再編に備えて特措法検討

2005-10-30 05:37:24 | 安全保障・自衛隊
 在日米軍基地の再編問題では、先日のエントリーで指摘したように、早くも各方面から反発の声が上がっている。「国防は国の専権事項であるから地方の声は全く聞く必要はない」とまで極論する気は毛頭ないが、だからといって地方のエゴがまかり通った結果、日本国の安全保障政策に支障を来たすことなどあってはならないことである。国と地方の間で相当程度の協議がなされた後は、国の責任において迅速に当該施策を推進せねばならない。そのためには、何らかの法的措置が必要である。大体、法律や条例などに基づく地元との協議・許認可手続きが煩雑に過ぎて、時間と手間がかかり過ぎるのである。よって、以下に紹介する記事にある特措法の検討は、普天間飛行場のシュワブ沿岸移設案への批判とは別に、立法論として、これを強く支持したい。

(参照記事)
[米軍再編に特措法検討、環境影響評価などを国が代行]
 政府は27日、在日米軍再編の中間報告に盛り込む米軍基地見直し案が固まったことを受け、米軍再編に関連する事業については、環境影響評価や公有水面埋め立てなどの法的手続きを特例的に早めることを可能にする特別措置法の検討に入った。
 米軍基地移設を巡っては、法律や条例などに基づく地元との協議・許認可手続きに必要以上に時間がかかる例が多い。このため、県や地方自治体の許認可権などを国が代行できるようにし、国の責任で移設を進めることで再編を早期に実現する狙いがある。
 特措法の具体的な内容としては、通常は3年程度かかる環境影響評価を1~2年でできるようにするほか、公有水面埋め立ての許認可、建築確認、道路使用許可など様々な手続きの際に自治体の協力が得られない場合でも、国が事業を進めることができる方策を盛り込みたい考えだ。
 政府は、今回の米軍再編については、地元の理解と協力を得ながら進めたいとしており、27日から関連自治体への説明を始めている。大野防衛長官は同日午前の参院外交防衛委員会で、「誠心誠意、地元に説明し、地元の理解を得ることが一番だと考えている」と述べた。
 ただ、移転を受け入れる自治体の同意を得られる保証はないうえ、同意を取り付けることができても、選挙で移設反対の首長が選ばれるなどで、途中から協力が得られなくなる可能性もある。慎重な審査などを理由に、許認可手続きが長期間、放置される例もある。
 米軍基地問題を巡っては、沖縄県の米軍楚辺(そべ)通信所の土地の強制使用を巡り、当時の大田昌秀知事が代理署名を拒否したことを契機に、政府が1997年に駐留軍用地特措法を改正して、国が暫定使用できるようにした。米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)の移設を巡っても、96年に日米両政府で合意した後、地元との調整に時間がかかり、名護市辺野古沖の代替施設の基本計画案が固まったのは2002年だった。
 在日米軍再編に絡む特措法について、政府は、来年の通常国会への提出を目指している。政府関係者によると、米軍再編を早期に進めるための対応策の検討は、小泉首相の強い意向を踏まえたものという。
 首相は26日夜、記者団に対し、普天間飛行場の移設に関連して、「SACO(沖縄施設・区域特別行動委員会)の移設返還が多くの反対運動にあって実現できなかった反省を踏まえ、できるだけ早くやらなければいけない」と述べた。また、首相は27日昼、米軍再編に関する特措法の必要性について、「その時点で検討する」と語った。
(読売新聞) - 10月27日15時20分更新


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2 コメント

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同盟の深化に向けてテロ対策特措法の恒久化を! (tsubamerailstar)
2005-11-05 16:23:53
頂いたお返事が遅れまして。(礼)



先日延長されたテロ対策特措法に関しても、速やかに恒久法化することが必要だと思います。



米国の有力研究機関「外交評議会」上級研究員のM・ブート氏が、保守系雑誌「ウィークリー・スタンダード」誌の最新号で、米国は自衛隊の海外派遣が可能となるような法体系の整備と防衛費の規制撤廃を行い、アジア版NATOのような集団防衛同盟の結成を目指すべきだという論文を掲載していたそうですが、この手の論調はヘリテージ財団といった共和党寄りのシンクタンク等の報道でも度々目にするところです。



日本の自覚の欠如と申しますか、その辺の温度差が素人目には気になるところです。グローバルなトランスフォーメーションの中で残るは日本だけ、しかも普天間飛行場といったたった一つの基地を何年もずるずるやっていた訳で、不良債権処理と同じく悪しき日本の姿を見る思いがいたします。



もはや、一つでもずれたら全体がどうにもならなくなる、ジグゾー・パズルみたいな段階となっていますので額賀長官は背水の陣で取り組んでいただかないといけませんし、先日も研究員様のこの提案には賛意を表しましたが、そういう状況の中においては、ある程度の強引な政治決着へ持ち込むのは止むを得ません。恨むなら橋本首相以下と中共、北朝鮮であり、米国に文句いうのは全くのお門違いです。



その辺が傍から見ていると素人目には結構冷や汗ものに映りますよね。



http://blog.goo.ne.jp/tsubamerailstar/e/d6b12208248e2a4f98bae5a2036c1d2f

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ありがとうございます (猫研究員(高峰康修))
2005-11-05 19:58:59
>tsubamerailstarさま

ご丁寧にありがとうございます。

テロ対策特措法の恒久化か、もっと望ましいのは安全保障基本法の制定ですね。「基本法」は相変わらず憲法解釈をめぐって甲論乙駁で結局役に立たないものができる可能性があるというのが難点ですが…。

今の状況は、呑気に各方面の意見を聞いて調整して、などという段階を通り過ぎているんですよね。郵政民営化どころの騒ぎではないリーダーシップが必要です。

ところで、集団防衛(集団的自衛権に基づく)と集団安全保障(典型的には国連)の区別がついていない人が多いですよね。確かに字面は似てますけど…。
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