猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

横田早紀江さん・拓也さん、米国で北朝鮮の拉致問題解決訴え

2006-04-29 08:11:31 | 朝鮮半島
 北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさんの母親の早紀江さんと弟の拓也さんが、拉致問題解決を訴えるために訪米している。早紀江さんは、現地時間27日午前(日本時間28日未明)に、米下院国際関係委員会小委員会の公聴会で、拉致問題について証言し「世界各国の被害者を助け出し、これからの人生を自由の地で過ごさせてやりたい」と悲痛な心情を吐露した。そして、拉致被害者が、日本のみならず韓国や中国、タイなど12か国に及ぶことを指摘して、「世界が心を合わせ、『拉致は許せない。全被害者をすぐ返しなさい。それがないなら経済制裁を発動します』とはっきり言ってほしい」と、国際社会に訴えかけた。さらに、現地時間の28日午前11時(日本時間29日午前0時)すぎからブッシュ米大統領とホワイトハウスの大統領執務室で面会した。
 ブッシュ大統領は、拉致問題解決への協力を約束しただけでなく、「きょうはこれまでに最も心を動かされた会談だった」と心のこもった言葉を横田さん母子にかけたという。このニュースに接して、ブッシュ大統領の言葉には率直に感動を覚えた。あれは、外交辞令などではなく、まさに心から北朝鮮の非人道的な行為に憤慨し、被害者を心から思いやっているように感じられた。人はブッシュ大統領をとかく批判するが、こういう人間性には私は非常に共感を覚える。自由と民主主義と人権の価値を心底から重要だと思っているのだろう。下院国際関係委員会小委員会の公聴会で早紀江さんの証言を聞いた議員の中にも、「我々はこれまで拉致問題にふさわしい重みを与えてきたと言えるのだろうか」(クリス・スミス下院議員)と述べた議員がおり、なんだかんだ言ってもアメリカはやはり自由民主主義と人権の国なのだと感銘を受けた。もちろん、実際の政治では、常に人権尊重・自由と民主主義の推進一本槍で進めることは不可能だし、時にはダブルスタンダードになるのも事実だが、これらの概念が米国の建国の理念であり最大のバックボーンであることはあらためて実感できた。そのゆえに、米国は、もちろん数多くの失敗も犯すのだが、それでも唯一のスーパーパワーたりうるのだろう。
 北朝鮮の問題では、米国の最大の関心事は核開発である。それさえ解決してしまえば、他国の拉致問題などはどうでもよいと放置してしまっても外交政策としては十分ありうることである。米国の建国の理念を考えれば、そういう冷徹な政策を採らないではないかと、今回のニュースを見て楽観的に思ったりもしたのだが、我が国の外交政策としてはそこまで米国頼みでよいわけはない。例えば、クリントンのような人物が大統領だったら、今言った悪いシナリオで動きかねないところである。
 公聴会で早紀江さんの証言にも大変感動した。「家族が帰ってきますように」という「私」の次元を超越して「全ての被害者が帰ってきますように」と「公」の次元で訴えているのだ。
 毎度のことながら、日本政府の対応には、どうしても一言言っておかねばなるまい。自国民の保護という国家主権の基本中の基本を果たす事ができず、被害者が他国の政府に頼る事態に立ち至ったとは、一体どういうことか。1988年に既に梶山静六国家公安委員長(当時)が、国会で北朝鮮による拉致疑惑を認めているのだ。今回、日本政府の必死の働きかけでブッシュ大統領との面会が実現したのは、結果としてはよかったのだろうが、筋論としてはおかしい。過去のことを責めても生産的ではないのでこれ以上は差し控えるが、米国もこれだけ真摯に考えてくれている上に、米国は既に対北朝鮮経済制裁を実施しているのだから、日本も直ちに制裁発動すべきである。もっと、国民の痛みに敏感な政治をしなければならないと思う。



(参考記事1)
[横田さん拉致解決訴え、ブッシュ大統領が協力約束] 
 【ワシントン=石間俊充】北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさん(当時13歳)の母親、早紀江さん(70)と、めぐみさんの弟、拓也さん(37)は28日午前11時(日本時間29日午前0時)すぎからブッシュ米大統領とホワイトハウスの大統領執務室で面会した。
 大統領は「米国は人権を尊重し、自由社会を実現することを強く保証する」と述べ、拉致問題解決への協力を約束した。
 被害者家族は今回の大統領面会を事態打開への大きな一歩と位置づけており、米国の支援を受けることで拉致問題解決に向け北朝鮮に対する国際圧力がいっそう高まるのは確実とみられる。
 ブッシュ大統領が首脳以外の日本人と面会するのは極めて異例。大統領は北朝鮮からの脱出住民(脱北者)家族らとともに約30分面会した早紀江さんらに対して「きょうはこれまでに最も心を動かされた会談だった」と述べるとともに、「信じがたいのは北朝鮮が国家として拉致を許したことだ。国際社会から尊敬を得たいのなら、人権を尊重することだ」と、北朝鮮を激しく非難した。
(読売新聞) - 4月29日1時58分更新

(参考記事2)
[娘の自由とり戻したい…早紀江さん米下院公聴会で証言]
 【ワシントン=石間俊充】訪米中の横田めぐみさんの母親、早紀江さん(70)が27日午前(日本時間28日未明)、米下院国際関係委員会小委員会の公聴会で、拉致問題について証言した。
 早紀江さんは「世界各国の被害者を助け出し、これからの人生を自由の地で過ごさせてやりたい」と述べた。米議会で日本人拉致被害者の家族が証言するのは初めて。
 早紀江さんは冒頭、用意した文面を読み上げ、めぐみさんについて、「北朝鮮にいることが分かってから9年以上が過ぎたのに、まだ救出できない。なぜ助けられないのか、くやしくて、悲しくてたまりません」と心情を吐露した。
 拉致被害者が、日本をはじめ、韓国や中国、タイなど12か国に及ぶことに触れ、「世界が心を合わせ、『拉致は許せない。全被害者をすぐ返しなさい。それがないなら経済制裁を発動します』とはっきり言ってほしい」と強調したうえで、「それが私たち家族の心からの願いです」と訴えた。
 途中、証言席の後ろにいた弟の拓也さん(37)が立ち上がり、めぐみさんの小学生時代に家族で撮影した写真と、北朝鮮が提供した制服姿の写真を引き伸ばしたパネルを、証言に合わせて高く掲げた。
(読売新聞) - 4月28日3時4分更新


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