猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

公明党、自民党改憲案の「自衛軍」保持明記に反対方針

2005-11-30 16:58:24 | 憲法
 公明党が、憲法改正案に「軍」を保持することに反対することを明言したのは、さもありなんという感じではあるが、納得の行かないことである。公明党の主張によれば、憲法第9条は第1項第2項ともにそのまま残すべきだそうだ。
 ところで、自民党が憲法草案をまとめるにあたっては、旧陸軍の将校や元幹部自衛官により組織される財団法人「偕行社」が「今の自衛隊に近い印象を与える自衛軍ではなく、国防軍などの名称にしてほしい」と陳情を続けてきた。偕行社の会長である山本卓真・富士通名誉会長は「イラクのサマワにいる自衛隊の諸君は、他国の軍隊に守ってもらう屈辱に耐えている。世界の普通の軍隊は、自国防衛だけでなく、各国と協力して世界の平和を維持、拡大する活動を行なっている。せっかく憲法を改正しても『自衛軍』と名乗れば、自分たちは自衛しかやらないという利己的な『自警団』のようなイメージを与えてしまう」と述べている。また、自衛隊OBたちからなる社団法人「隊友会」も「諸外国と同様に、国を防衛するための実力組織(例えば、国防軍、防衛軍など)として憲法に明記すべき」との署名運動を展開している。これらの主張には大いに賛同できるものがある。「名は体を表す」というではないか。
 これに対して、起草委員会幹部らは「国防軍なんて名称ではおどろおどろしいイメージを与え、憲法改正ができなくなる」として一蹴してしまった。その結果自民党の憲法草案では「自衛軍」という名称が使われているのである。私は私案を考える時には「国防軍」という名称を用いている。「国防」というれっきとした日本語があるから、それを用いたまでのことである。「おどろおどろしいイメージを与え」というのがレベルの低い議論だという批判ももちろんだが、交渉の仕方という次元で考えても判断ミスだったのではないかと思う。百歩譲って「自衛軍」が落としどころだとしても(これは先に述べた理由で賛成できないが)、それならば公明党の反対を見越して草案では「国軍」とでも銘打っておくべきだったのではないか。交渉の「糊しろ」になった可能性はある。さらに、民主党が軍の保持に基本的に賛成しているのだから、何も初めからそんなに配慮する必要はないのである。おそらく公明党抜きでも民主党と連携して「軍」の保持という形に持っていけるのだろうから、防衛軍とか国防軍の名称でもすんなり決まる可能性は低くなかったと思う。それ以前に、何よりも自民党内で「軍」の名称に関心が低かったのが原因ではあるが…。
 今更、名称を国防軍や防衛軍に改められるかは分からない。私は、国防軍という名称にこだわるべきだと思う。公明党がパフォーマンスではなくて心底から軍の保持を拒否するというのであれば、憲法改正を軸に政界再編が進むことは間違いないだろう。


(参考記事)
<公明党>自民党改憲案の「自衛軍」保持明記に反対方針
 公明党は27日、自民党がまとめた新憲法草案に盛り込んだ「自衛軍」保持の明記に反対する方針を固めた。公明党は来年秋をめどに独自の改憲案をまとめるが、現行9条1項、2項の条文を維持する「加憲」を前提とする以上、新条項を追加しても自衛軍の明記とは整合しない、と判断した。
 「自衛軍」は自民案が目玉と位置付けていたものだけに、公明党の方針は今後の9条見直し論議に影響しそうだ。
 自民案は9条1項の戦争放棄はそのまま維持する一方で、戦力不保持を定める2項を改定し、現在の自衛隊を「自衛軍」と明記した。公明党の太田昭宏幹事長代行(党憲法調査会座長)は27日、NHKの討論番組で、自民案について「わが党は『自衛軍』には賛成できない。現憲法での平和主義は、大事な項目だと思っており、憲法9条は1項2項とも堅持する」と明言した。
 これに対し、自民党の舛添要一・新憲法起草委員会事務局次長は「(憲法改正の)一番大きな眼目は9条。最新の戦闘機や、イージス艦を持つ自衛隊はやはり軍隊であり、現状を追認し、歯止めがなくならないよう、国会できちんと(安全保障基本法などの)法律を作る」と説明。「自衛軍」を含む9条改正は重要部分、との認識を強調した。【田中成之】
(毎日新聞) - 11月28日3時10分更新


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