猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

憲法改正国民投票法案、今国会成立は困難という観測―投票年齢、メディア条項めぐり対立

2006-05-03 21:11:18 | 憲法
 憲法改正国民投票法案は、今国会でも成立が難しそうだという観測が出てきた。自民党の船田元・憲法調査会長は、講演で「今国会中の成立は時間的に厳しくなったかもしれない」と述べている。民主党と連立与党の間で、投票権を有する年齢(18歳以上か20歳以上か)といわゆるメディア規制条項を巡って対立が大きいのが原因らしい。
 投票権を今の段階で18歳以上に設定するのはおかしい。憲法改正に関する国民投票は、国政への参加なのだから、他の選挙権と同じく20歳以上に揃えるのが筋である。私は、選挙権を18歳以上に引き下げることには必ずしも絶対反対というわけではない。引き下げが実施されれば、そのときに憲法改正国民投票の投票権も同時に引き下げればよいだけの話である。
 メディア規制は、当初の案のように、自主規制でないマスコミ規制を含んでこそ意味があると思う。それにマスコミが反対するのはまだ理屈があると認めるにやぶさかではないが、与党が提示したあってもなくてもいいような「報道機関は、国民投票に関する必要な情報の提供について自らが果たす役割の重要性にかんがみ、表現の自由を乱用して国民投票に不当な影響を与えることのないよう配慮する」という修正案にまで反対するのは、了見がさっぱり分からない。新聞協会は「いったん条文に盛られれば、拡大解釈を生み、過剰反応を招く恐れがある」などと言っているが、単なる訓示規定に「過剰反応」しているのは自分たちのほうではないか。「いかなる規制にも反対」と言っているだけでは駄々をこねているようにしか見えない。どうせ反対運動をするならば「これだけインターネットが普及した情報化社会では、報道機関だけ規制しても実効性がない」ということを前面に出したほうがまだ説得力があると思うのだが…。もっとも、私などは、逆にこれだけ中身に乏しい訓示規定など置いておく意味がないから、もはや削ってしまっても一緒ではないかと思わないでもない。
 憲法に改正条項がある以上、その手続を法律で定めておかねばならないのは論ずるに値しないほど自明のことである。万が一今国会でも通らないなどということがあれば、一体いつまで立法の不作為を続けるつもりか。国会対策上、はじめから「民主党抜きでも成立させる」と宣言してしまうのは得策でないということなのだろうが、与党だけでも成立させるべきである。どうしても取引してでも自公民の枠組みでというのならば、整合性に問題が出てくる投票権年齢で妥協するのではなくて、空文化している方のメディア条項を切ってでも通す方がましだろう。



(参考記事1)
[今国会成立は困難 国民投票法案で船田氏]
 自民党の船田元・憲法調査会長は3日午後、都内で講演し、憲法改正手続きを定める国民投票法案について「今国会中の成立は時間的に厳しくなったかもしれない」と述べ、6月18日が会期末となる今国会での成立は困難との認識を示した。
 船田氏は自民、民主、公明3党の共同提案で「何としても今国会で通したい」とも強調したが、「少なくとも衆院段階で実質的な議論が行えるようにしたい」と指摘、民主党との協議が難航している中で、最低限で国会提出と衆院での審議入りを目指す考えを示した。
(共同通信) - 5月3日20時9分更新

(参考記事2)
[いかなる規制にも反対 「配慮規定」で新聞協会]
 全国の新聞社や放送局が加盟する日本新聞協会は2日午後、憲法改正手続きを定めた国民投票法案をめぐり焦点となっているメディア規制について「いかなる形であれメディア規制条項が残ることには反対する。外部からの規制はまったく必要ない」との白石興二郎編集委員会代表幹事の談話を発表した。
 同法案に関しては同日午前、衆院憲法調査特別委員会が明らかにした「論点整理対比表」で、「配慮規定」を設ける与党の新たな考えが盛り込まれた。
 規定は「表現の自由を乱用して国民投票に不当な影響を与えることのないよう配慮するものとすること」との内容。これに対し新聞協会の談話は「いったん条文に盛られれば、拡大解釈を生み、過剰反応を招く恐れがある」と指摘。「広く国民的論議が必要な憲法改正について幅広い情報、判断材料を提供する私たちの使命は、いかなる規制もない、自由で活発な報道活動があって初めて果たせる」と強調している。
(共同通信) - 5月2日20時6分更新

(参考記事3)
[国民投票法案、メディアの自主規制残す…与党・民主]
 自民、公明、民主3党は、憲法改正手続きを定める国民投票法案をめぐる実務者協議で、同法案の論点のメディア規制について、「報道機関は、国民投票に関する必要な情報の提供について自らが果たす役割の重要性にかんがみ、表現の自由を乱用して国民投票に不当な影響を与えることのないよう配慮する」との表現で、自主規制の規定を残すことで大筋合意した。
 衆院憲法調査特別委員会の中山太郎委員長(自民)と同委理事の船田元・自民党憲法調査会長が2日、国会内で記者団に対し、明らかにした。
 国民投票運動に対するメディア規制について、与党案では「報道機関は虚偽の事項を報道し、事実をわい曲して記載するなど、表現の自由を乱用して投票の公正を害しないよう、自主的な取り組みに努める」としていた。自主的取り組みとして、具体的に<1>報道に関する基準の策定<2>学識経験者を構成員とする機関の設置――を例示し、報道機関が自主的に国民投票運動に対する報道基準を作ることを求めていた。
(読売新聞) - 5月2日13時14分更新


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