自由民主党の憲法調査会は、12日に憲法改正の手続きを定める国民投票法案の骨子素案をまとめ、これを了承した。自民、公明両党が2004年12月にまとめた与党案からの最大の変更点は、投票の公正を害さないため「虚偽報道等の禁止」を明記していたものを、「報道機関の自主的な取り組み」に委ねると改めた点である。ただし、その代わり、諸外国の事例も参考にして、投票前1週間はテレビやラジオのCMを禁止するという項目を追加した。
私は、「投票の公正を害さないため虚偽報道等の禁止」は、憲法改正の持つ重大な意味を考えれば、原則的に妥当なところであると考えている。しかし、この情報化社会で有効な規制をすることの困難さを考えると、投票前1週間はテレビやラジオのCMを禁止するという項目を追加した点をもって、骨子素案の線は、やむを得ない妥協だろうと思う。ただし、報道機関の自主的な取り組みに委ねるといっても、何らかの緩やかな監視及び是正勧告権をもった機関は必要である。
また、有権者の年齢は衆参両議員の選挙権を有する者、すなわち現行では２０歳以上としたのは当然である。ともに１８歳以上に改めるのならばともかく、憲法改正に関する国民投票の有権者だけを１８歳以上にするとなれば、著しく整合性に欠けることになってしまう。
いずれにせよ、ようやく憲法改正手続に関する立法の不作為が解消されようとしている。一日も早く法案の成立を果たさねばらない。
骨子素案要旨は以下の通り。
【総則】国民投票は、国会が憲法改正を発議した日から起算して六十日以後百八十日以内に国会の議決した日に行う。衆参両議員の選挙権を有する者は国民投票の投票権を有する。
【周知】発議があったとき、国会に憲法改正案広報協議会を設ける。
【投票】投票用紙は、国会の発議にかかる憲法改正の議案ごとに調製する。投票人は賛成するときは○、反対するときは×を記載する。
【規制】報道機関は虚偽事項を報道し、事実を歪曲して記載するなど、表現の自由を濫用して投票の公正を害しないよう、自主的な取り組みに努める。投票の期日7日前から投票に関する広告を放送できない。
【憲法改正発議】改正案提出には、衆議院議員１００人以上、参議院議員５０人以上の賛成を要する。改正案を審査するため、両院に憲法調査会を設ける。
(参考記事１)
[メディア規制は削除、CMは制限＝憲法改正国民投票法制で修正案－自民調査会]
自民党憲法調査会（船田元会長）は12日午後、党本部で会合を開き、憲法改正の手続きを定める国民投票法制の修正案の骨子を了承した。修正案は、メディア規制条項を削除する一方、投票前のCMを制限したのが柱。会合では、これを基本に民主党との協議を進めることを確認し、今後の折衝を中川秀直政調会長に一任した。
自民、公明両党が2004年12月にまとめた与党案では、投票の公正を害さないため「虚偽報道等の禁止」を明記していたが、民主党は「言論統制につながる」と反対していた。このため、修正案は「報道機関の自主的な取り組み」に委ねるとした。一方で、諸外国の例を参考に、投票前1週間は、テレビやラジオのCMを禁止する項目を追加した。
（時事通信） - 4月12日19時1分更新
(参考記事２)
[国民投票法案 報道規制は緩和 自民、骨子案を了承]
自民党憲法調査会（船田元会長）は十二日の総会で、憲法改正手続きを定めた国民投票関連法案の骨子案を了承した。自民党は来週中に公明党と協議して与党案とし、民主党との協議に臨む方針だ。
今回の骨子案は自公両党が平成十六年十二月にまとめた当初案を修正した。関連法案は国民投票制度に加え、国会での憲法改正案発議の手続きを整える国会法改正も含んでいる。
メディア規制をめぐって、与党は当初案では公選法の規定を参考に虚偽報道の禁止や罰則規定を盛り込んでいた。その後、「原則自由」へ転じたことを受け、今回の骨子案では、「新聞社、通信社、放送機関その他の報道機関」に対して、虚偽報道を防ぐ学識経験者の機関の設置といった自主的取り組みを促す規定を設けた。
また、憲法改正案の審議権を持たない衆院憲法調査特別委員会と参院憲法調査会の後継機関として、改正案を審議できる「憲法審査会」を衆参両院に常設することを盛り込んだ。
この骨子案について公明党との調整はほぼ済んでいる。しかし、船田氏はこの日、投票年齢を原則二十歳以上（自民党案）とするか、十八歳以上（民主党案）とするかなど民主党との複数の相違点を指摘しており、今後、自公と民主党との調整は難航しそうだ。
（産経新聞） - 4月13日2時59分更新
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私は、「投票の公正を害さないため虚偽報道等の禁止」は、憲法改正の持つ重大な意味を考えれば、原則的に妥当なところであると考えている。しかし、この情報化社会で有効な規制をすることの困難さを考えると、投票前1週間はテレビやラジオのCMを禁止するという項目を追加した点をもって、骨子素案の線は、やむを得ない妥協だろうと思う。ただし、報道機関の自主的な取り組みに委ねるといっても、何らかの緩やかな監視及び是正勧告権をもった機関は必要である。
また、有権者の年齢は衆参両議員の選挙権を有する者、すなわち現行では２０歳以上としたのは当然である。ともに１８歳以上に改めるのならばともかく、憲法改正に関する国民投票の有権者だけを１８歳以上にするとなれば、著しく整合性に欠けることになってしまう。
いずれにせよ、ようやく憲法改正手続に関する立法の不作為が解消されようとしている。一日も早く法案の成立を果たさねばらない。
骨子素案要旨は以下の通り。
【総則】国民投票は、国会が憲法改正を発議した日から起算して六十日以後百八十日以内に国会の議決した日に行う。衆参両議員の選挙権を有する者は国民投票の投票権を有する。
【周知】発議があったとき、国会に憲法改正案広報協議会を設ける。
【投票】投票用紙は、国会の発議にかかる憲法改正の議案ごとに調製する。投票人は賛成するときは○、反対するときは×を記載する。
【規制】報道機関は虚偽事項を報道し、事実を歪曲して記載するなど、表現の自由を濫用して投票の公正を害しないよう、自主的な取り組みに努める。投票の期日7日前から投票に関する広告を放送できない。
【憲法改正発議】改正案提出には、衆議院議員１００人以上、参議院議員５０人以上の賛成を要する。改正案を審査するため、両院に憲法調査会を設ける。
(参考記事１)
[メディア規制は削除、CMは制限＝憲法改正国民投票法制で修正案－自民調査会]
自民党憲法調査会（船田元会長）は12日午後、党本部で会合を開き、憲法改正の手続きを定める国民投票法制の修正案の骨子を了承した。修正案は、メディア規制条項を削除する一方、投票前のCMを制限したのが柱。会合では、これを基本に民主党との協議を進めることを確認し、今後の折衝を中川秀直政調会長に一任した。
自民、公明両党が2004年12月にまとめた与党案では、投票の公正を害さないため「虚偽報道等の禁止」を明記していたが、民主党は「言論統制につながる」と反対していた。このため、修正案は「報道機関の自主的な取り組み」に委ねるとした。一方で、諸外国の例を参考に、投票前1週間は、テレビやラジオのCMを禁止する項目を追加した。
（時事通信） - 4月12日19時1分更新
(参考記事２)
[国民投票法案 報道規制は緩和 自民、骨子案を了承]
自民党憲法調査会（船田元会長）は十二日の総会で、憲法改正手続きを定めた国民投票関連法案の骨子案を了承した。自民党は来週中に公明党と協議して与党案とし、民主党との協議に臨む方針だ。
今回の骨子案は自公両党が平成十六年十二月にまとめた当初案を修正した。関連法案は国民投票制度に加え、国会での憲法改正案発議の手続きを整える国会法改正も含んでいる。
メディア規制をめぐって、与党は当初案では公選法の規定を参考に虚偽報道の禁止や罰則規定を盛り込んでいた。その後、「原則自由」へ転じたことを受け、今回の骨子案では、「新聞社、通信社、放送機関その他の報道機関」に対して、虚偽報道を防ぐ学識経験者の機関の設置といった自主的取り組みを促す規定を設けた。
また、憲法改正案の審議権を持たない衆院憲法調査特別委員会と参院憲法調査会の後継機関として、改正案を審議できる「憲法審査会」を衆参両院に常設することを盛り込んだ。
この骨子案について公明党との調整はほぼ済んでいる。しかし、船田氏はこの日、投票年齢を原則二十歳以上（自民党案）とするか、十八歳以上（民主党案）とするかなど民主党との複数の相違点を指摘しており、今後、自公と民主党との調整は難航しそうだ。
（産経新聞） - 4月13日2時59分更新
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